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短編小説 好きな世界で楽しむんだ

 もっと陽キャにならないといけないのかな?休日はいつも部屋でネットフリックスの好きなアニメを見ている。好きな漫画やラノベを読んで満足している。でも本当にこのままで良いのかな。

 職場でもよくそのままで良いの?もっと女の子とデートしたり、みんなが好きなものに合わせた方が良いんじゃないの、その方がみんなと会話も弾むでしょと、そういえば男の子なんだからもっとアウトドアに過ごしなさいとか、アニメみたいなオタク気質だと私達から変な目で見られるよとかも言われたこともあるな。こうやって僕を違う世界に連れて行こうとする。
みんなが好きなものって何だろう。ただここで1つ疑問がある。なんで他の人に合わせないといけないんだろう。
 協調性が大事なこともわかるけど、自分の好きなことまで他人に合わせないといけない理由って何だろう。自分の好きなことなんだから、自分の好きなことに没頭して何の不都合あるんだろう。

 僕はこのままアニメや漫画が好きな人間だったらダメなのか。でもこれが僕の1番心が落ち着く時間。これがないと考えただけでゾッとする。僕と同じような趣味や生活をしている人と楽しく過ごせたらそれで良いじゃないかな。僕はそれ程みんなと楽しくしたり、裕福な暮らしも求めていない。

 確かにオタク活動もそれなりにお金もかかるし、僕よりずっとお金をかけていろんなものに手を出している人もいるけど、僕はそうじゃない。特別推しのグッズを集めているわけでもないし、好きなアニメや漫画を見れたらもうそれで良い。僕はもうそれで十分幸せなんだ。それも同じ作品を好きな友人と貸し借りをしていたら全部を買う必要も無い。

 そうだ、何も無理して他のみんなに合わせるより自分の好きなことと共通する点が多い人仲良くすれば良い。考えてみれば自分の周りの友人で、素直にこの人は相性が良い人と思える人はそういう人達ばかり。
 オタクのイベントに行けばいろんな人がいる。その中で共通する作品やなんとなく気が合う人と関係を広げたり、深めていけば良い。
 じゃあそういう人達に対して僕が主催となって、そこの輪に集まってきた人達と仲良く繋がっていくというのはどうだろうか。僕はそういう人達なら繋がる自信がある。なぜなら好きな作品のことを話していえれば、それでいくらでも会話が続くし、そこが話のきっかけにもなっていく。相手の話を聞くことも全く苦にならない。
むしろ僕が気付けなかったことを知れたり、僕より情報が多い人なんていくらでもいる。その人達から情報を得ることも僕にとっては嬉しいひと時。そんな話ならいくらでも聞いていたい。

 それに相手の考えを知れることも嬉しい。僕の考えに固執することなく、僕の真逆の意見だったとしても相手を認めることも出来る。

 そんな生き方ってどうだろう。他のみんなも好きな作品や好きな声優さんだといくらでも話せると思う。どんな話し下手な人でも自分が心から好きなことに関しては、率先して話したくなると思う。いやむしろそういう人こそ話したくなると思う。
 聞く人が同じ目線、同じ世界で生きていて、話す側の警戒心を取ってあげれば、その人も自分の話を聞いてもらえると嬉しくなってくれるかもしれない、話して良いんだと思ってくれるかもしれない。僕は僕の世界に入ってきてくれた人に、自由に話せる場所と空間を用意してあげたい。それが僕の思う理想の世界。
もちろんそこでも一定の秩序は必要になる。一方的な発言になってしまったり、固執した意見で他人の意見に否定的な人もいるかもしれない。実際そんな人も少なからず見てきた。その時は他の人からすれば不満も残るかもしれないけど、自分が中心地となってバランスを考えれば、その場の空気感もどうにかなるかもしれない。

 それを自分の好きな作品ごとに集めたり、それを複数合わせて1つの集まりにすることも良い。そんな生き方があっても良いはず。
 そうすればそこに参加した人も僕自身も生きやすい生活になる。これまで自分の趣味を話す機会がなかった人に思う存分話せる場を提供する。
そこを足掛かりに職場や家庭、学校で分かってもらえない人がいるなら分かってあげる、共感する居場所を僕が作る。僕にはそれ程知識も多くない、資格もないけどただ聞くことなら出来る。これまでも職場でもいろんな人の捌け口になってきた。僕に強く当たってくる人も愚痴を言いたい時には、わざわざ僕を呼び出して一方的に自分の話をされたことも何回もある。それをただじっとうなづきながら聞いてきた。そんなことでも誰かの役に立てるかもしれない。ただ自分の気持ちを聴いて欲しい人だっているはずだから。
よし、すぐには大きな世界にはならずでも、時間をかけてでも作り上げていこうか。

みんなが言っているからそこに無理して合わせる必要なんてないんだ。自分の人生なんだから、どんな時に生きやすさを感じるのか、どんな時に幸せを感じるのか、それを追求したらこんな風になった。
少しずつ僕の世界を創っていこう。

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