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仏教福祉 各論.7 仏教福祉の組成

仏教福祉の元は『四諦八正道』『慈悲』『四無量心』『六波羅蜜』の4つを組み合わせて考えることができる。

まず、『四諦八正道』。『四諦』は、苦諦、集諦、滅諦、道諦の4つ。このうち『滅諦』と『道諦』に注目したい。
滅諦とは苦の解決方法であり、「苦」の原因を滅すれば苦は断たれるとする。即ち、執着(煩悩)から離れることができれば、苦を滅することができるとした。
そして道諦。道諦とは『苦』を滅する実践方法であり、道諦に至るにはどうすればよいか。それは正しい修行が必要。これ、即ち『八正道』という。

その修行の実践方法である八正道。
①正見…正しくものごとを見ること
②正思惟…正しく考えること
③正語…正しい言葉を語ること
④正業…正しい行いをすること
⑤正命…正しい生活を送ること
⑥正精進…正しく努力すること
⑦正念…正しく反省と決意をすること
⑧正定…正しい目標に集中して精神統一すること

この8つのうち、④正業と、⑥正精進、そして最後の⑧正定、に注目したい。
社会福祉を実践する上で正しい行いをすることつまり現場なら正しい介護をすること。技術的にも優れた介護を行うこと。相談業務なら対象者に寄り添った相談業務が基本になる。まず、対象者に寄り添った支援。社会福祉事業の基本である。これを④正業
は端的に表している。

社会福祉実践の上で常に求められるのは介護、相談等の技術である。技術の追求を怠ると時代に合わせた社会福祉事業はできない。常に技術の向上を図ること。これを⑥正精進は端的に表している。

そして最後の⑧正定。社会福祉事業のあくなき探究心を持ち常に新しいものを求め技術の向上を図っていく。これは社会福祉事業に限らすどんな業務、業種の仕事でも同じことが言える。⑧正定はこの世のすべての事柄に精通していると言っても過言ではない。

そして社会福祉実践の根幹と言ってもよい『慈悲』の心。『いつくしみ、あわれむこと』。本来『慈』『悲』は別であり、『慈、悲、喜、捨』の『四無量心』の前半2つの項目である。四無量心とは「無量」の行いを救うという意味。「慈」は「慈しみ」。「悲」は「哀れみ」。「喜」は「他者の幸せを喜ぶこと」。「捨」は「好き嫌いとかの差別なく、喜びにも溺れない中立、平等の感情」とされている。

『四無量心』は自らが人びとと同じ場所に立ち、すべての人を救おうという「菩提の心」につながる。
⇒社会福祉事業実践と根本的に一致する
⇒仏教と社会福祉が思想的に根本的一致をみる

これが仏教福祉論の根幹であり根本である

六波羅蜜の利他行は『布施』と『忍辱(にんにく)』である。布施とは他人へのほどこし。形あるものをほどこすこともあれば教えや手助けなど目に見えないものをほどこすこともある。
忍辱(にんにく)は困難な状況の中でも怒らず、恨まず、悪意を持たず心を平静に保って耐え忍ぶことである。

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