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「なぜ触ったんですか?」

『そうですよね。でも気になっちゃって』

「周囲への影響、考えなかったんですか?」

『周りへの影響を、考えたので触ったんですけど』

「、、、どういう意味ですか?」

『いや、その、、、』

「何ですか?」

『僕には害悪に感じられたんで、お伝えした方がイイかな、と思って』

「害悪?」

『はい。凄く害のある、悪臭のするモノに感じられたので、、、ダメ、でしたよね?』

「ダメか、と聞かれれば、ダメだ、と答えるよ」

『ですよね、、、そうかぁ、やっぱりダメか』

「、、、でもね、たしかに、悪臭は嫌なモノだけど、、、」

『、、、嫌なモノ、だけど?』

「いや、気にしないでくれ。独り言だ」

『一番、気になるヤツですよ、それ』

「すまない。ほんとうにそんなつもりはなかったんだよ」

『さらに重ねる。わざと、ですか?』

「、、、」

『、、、』

「しかし、そんなつも...」

『分かってますよ。分かって、ます』

「、、、嫌な奴だな」

『そうなんですよね。僕、大抵、嫌な奴なんですよ。だからかな、”害悪”に見られる』

「なるほど」

『何が、なるほど、なんですか?』

「君が害悪に対して、恐れずに触れるのは、そのせいかな」

『、、、そうかもしれませんね』

「その、そうかも、は、どれに対して?」

『どれ、というのは?』

「あぁ、そうだね。恐れない部分か、触れる部分か、あるいは、君が害悪である部分なのか」

『、、、それで言えば、全部、かな』

「、、、全部?」

『えぇ、それら全部。繋がってますので、全部』

「繋がってる、、、か。そうだね」

『僕は殆ど、害悪に映るようです。そうでない時代もありました。リーダーをやってると大丈夫なんですよ。恐らく、リーダーが向いてる、、、というか、リーダーしか、できない』

「リーダーしか、できない?」

『何だか、偉そうですね。この辺も、その他に置いておけない理由みたいなんですよね』

「色々、複雑になってきたな」

『いつも、こうです。いつも、でした。僕が話し始めると、こうなります。複雑な方向に進むらしいんです』

「、、、大変なんだね」

『、、、大変でしたね』

「今は、、、今の今ではなくて、最近という意味での、今は、、、そうでもなかったのかな?」

『そうかもしれませんね、、、でも、どうして、最近はそうでもないコトを知ってるんですか?』

「私も警察官なので、様々な方に触れてきたし、犯罪者もいた。被害者もいたけど」

『、、、大変でしたね』

「今も、大変だけどね」

『その、今というのは』

「この、今のコトだよ」

『そうですね、、、忘れてた』

「もう、その手は使いモノにならないね。見た感じ、そう映る」

『でも、まだ、今は動いてるんで、何とか、消防車が到着するまでは、持ち堪えますよ。そうでないと、このまま手を離したら、炎上しちゃうんで』

「意外と、その手を離しても、大丈夫かもしれないし、話せば何とかなるかも、しれないよ」

『離して、話す』

「そう。手放して、離れて、話す」

『、、、そうしてみます、か?』

「、、、うん、そうだな。まずは、手を、、、そう、ゆっくり、ゆっくり...」

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