進捗

もう何度目かもわからない通院。診察時間は10分とない。
その後どうですか?
変わりありません。
そのまま一月前と同じ薬を処方された。
このまま薬飲みながら様子を見ましょう。苦手な血液検査を言い渡された。
何も変わらない。薬を飲んでいる。変わることのない希死念慮。ループの中、Aメロの繰り返しのリズムのよう。

母がさいとう先生の事を言い出したのはもう遙か昔の気がする。
機能不全家族とその子供の発達についてこの国で初めて取り組んだ精神科医と言っても過言ではないだろう。
母はその先生の書籍とブログを読みあさったという。その上であなた(私)に接しているのだと言う。
あなたの父親はアダルトチルドレンで妻である私に精神的物理的な暴力を振るってきたのだと。あなたの父は人でなしの気狂いだと。
幼稚園の頃から聞かされてきた。同じことをすべからず。
私の父は家に帰ることを諦めた。妻からの逆DVに耐えかねて。
そんなもんだから私は母の影響まっしぐらに育った。父が悪でまるでそれを打倒することが人生のテーゼの如く。

そのまま社会にでた。
父が残した数少ない道しるべは心の奥底に引っかかったまま。
サラリーマンになった。
父がやることのできなかったサラリーマンに。
見返してやった気持ちになった。どうだ!お前の息子はサラリーマンになったぞ!みかえしたか!といわんばかりに。

そのとき父は黙ってそれを見ていた。
初めて認めてくれた気がした。
その後仕事で悩む度に父と飲みに出た。
辛酸なめてきた父の姿を初めて知った。そして母の逆DVについて初めて知ることが出来た。薄々気づいてはいた事だった。

母はさいとう先生の言い分について詳しかった。機能不全家族、アダルトチルドレン、他にも子供の発達について。
でも自分がそのクリニックにかかることはなかった。なぜだったのかわからないけれど、きっと自分の夫も然る事ながら自分自身が追求されることを恐れてのことだったのことではないかと思う。

本当に子供の事を思うときその子の、父を完膚なきまでに罵倒卑下する事はあり得ないからだ。

今はこんなことを思う自分がただひたすらにつらい。
自分自身の無能、病状、について悔しい。
夢も希望もあった日々へ帰りたい。ただひたすら今は切なくつらい。

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