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大人になっても忘れたくないことは


中学校に入学する前の春休み期間、毎日ひとこと日記を書いていた。「中学校楽しみ!」「部活どうしよう〜」なんて心を踊らせながら。

高校に入学する前の春休み期間も、そんな感じだったと思う。中3のころにはバリバリTwitterを使っていたので、楽しみな感情を丸出しでツイートしていたのではないだろうか。

しかし社会人になる前の春休み期間は何をしていたかというと、たった7年前のことなのにびっくりするほど覚えてない。中学・高校入学前の感情はあれほど覚えているのに、7年前の記憶はというと、ハサミであっけなく切り取られたのかと思うほどである。


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先日、『14歳の栞』という映画を観に行った。

実在する中学校にて、2年6組35人の3学期を映したノンフィクションドキュメンタリー。

とある中学校の3学期、「2年6組」35人全員に密着し、ひとりひとりの物語を紐解いていく。
そこには、劇的な主人公もいなければ、大きなどんでん返しもありません。
それなのになぜか目が離せないのは、きっとそれが「誰もが通ってきたのに、まだ誰も見たことのなかった景色」だから。そしてその35人全員が、どこか自分と重なってしまうからかもしれません。まだ子供か大人かも曖昧なその瞬間、私たちは、何に傷ついて、何に悩んで、何を後悔して、何を夢見て、何を決意して、そして、何に心がときめいていたのか。
これは、私たちが一度立ち止まり、いつでもあの頃の気持ちに立ち返るための「栞」をはさむ映画です。

公式HPより引用


出演した2年6組のセリフや感情はもちろん、学校・通学路・家などの建物、それらすべてがあまりにもリアルなので公開される期間も劇場も限られており、もちろんDVD/Blu-ray化・配信もなし。

しかし公開した年からどうしても観に行きたかった。現実味のある作品は、普通の映画とはまた違った良さを味わえるから。チャンスがきてやっと観に行けたわけなのだけど、期待どおりちゃんと泣いた。淡々とした映画といえばそうで、でも最初から最後まで全部繊細なのだ。小さくて役に立たなさそうなナイフで奥まで刺されたような、ある意味ギャップのある物語だった。

その中で、印象的だった言葉がある。

『大人になっても忘れたくないことは、アイスを食べたことと、〇〇さんと電話したりLINEしたりしたことですかね』

インタビューで、こう話した男の子がいる。

〇〇さん、とは2年6組の女の子の名前なのだが、念のため伏せておく。

私はその男の子の、カッコつけてない真っ直ぐな言葉に、忘れかけていた素直な感情を思い出した。大人になれば、あんなことやこんなことが、ハサミであっけなく切り取られてしまう。忙しさと情報の過多で一瞬で忘れてしまう。数字を追うのに必死で素直な感情を失ってしまう。

だけど何気ない思い出と、あの頃に味わった素直な感情こそが、意外と人生のターニングポイントで強い力になると思う。だからこそ男の子の言葉に強く惹かれた。私たちはきっと、小さな喜びを無視しすぎている。


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社会人になる前にnoteを始めていたら、きっと何かを書いていたかもしれない。ちょっとした素直な感情を書き残せばよかったなあと思う社会人7年目の春。みなさんはいくつになっても忘れたくないことはありますか。もしあれば、何かに書き残しておくのもよし。誰かに伝えるのもすてきかもしれません。「いくつになっても、きみと電話したこと、DMしたこと、居酒屋に行ったこと、海に行ったこと、忘れたくないな」。


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