PMSと受験

PMSだった。




高校3年生の夏の終わりだっただろうか。

電車で単語帳を開いているのに何も頭に入ってこない。

それどころか、何か得体の知れない不安感というか苦しみとかいうかそんな感じのものに心臓を掴まれている感覚があった。

その時私は1度落ちたことのある英検を1週間後くらいに控えていて、その英検に合格しないと受けたい大学の受けたい方式が受けられなかった。(結果そこは受けなかったけど)

きっとそのプレッシャーかな…。

そしてちょうどその時、学校で受けた模試の成績公開が私の学校だけ遅れていた。

なぜかそのことに毎日めちゃくちゃ腹が立っていた。



そんな中で英検を受けた。






ヤバい。




文が読めない。




内容が頭に入ってこない。







結果は模試で安定に取れていた点数から1割ほど下がり、ボーダースレッスレでなんとか合格したが、その時は本当に頭が動いてくれなかった。



そんな中、さすがに精神が限界に近くなり男性の担任に相談した。

「英検のプレッシャー引きずってるのと、志望校が明確に定まらないことで病んでるんですが、志望校が定まったら勉強に身が入ってその分集中力も上がると思うので、一緒に志望校を絞ってくれませんか?」


簡単に言えばそんな内容だったと思う。

でも実際志望校がひとつに定まってないとか全然関係なくて、第1志望校を決めても翌月また同じように病んだ。英検受かったのに病んだ。





そんな中で模試を受けた。


本当にだるくて、普段安定して9割取れていた英語が6割になった。


そして国語、何点だったかは覚えていないけれど偏差値が47だった。


日本史は1.5割くらい下がった。


担任は何も言ってこなかったけれど、第1志望はおろか滑り止めまでE判定だった。


病んだら思考力落ちるっぽいしこれは実力じゃないから病まないようにしよう、と無理矢理開き直ってその月は乗り切った。





翌月。




また集中出来ない。

簡単な問題が解けない。

息が苦しい。

辛い。



夕飯を食べ、勉強しようと自分の部屋に戻った。

涙が出てきた。

なんで泣いているのかは明確には分からなかった。

音読だけはしようと思って英文を見ても涙で文字が見えない。

その日は諦めてもう8時くらいに布団に入って泣きながら寝た。


翌日学校で英作文のテストがあって、ノートを取っていなかった隣の友達が私にノートを見せてと言ってきた。

私は書きなぐりの汚いノートを見せたくなくて、友達にトゲトゲしいことを言ってしまった。

そんな自分が嫌になり、病んだ。

翌日からその友達とちょっと気まずくなったような気がした。




翌月、自習の為に太陽のいない時間に家を出るようになった私は毎朝冷たく暗い道を自転車で駆け抜けていた。

そしてある日、電車を逃して人のいないホームで泣いた。

別に電車逃したからって死ぬわけじゃないのに。

そして電車の中でも色々耐えきれなくなって泣いた。

マフラーを目の上まで上げた。

学校に着けば自制が効いてなんとかなったけど、できるだけ友達とは喋らないようにした。

また傷つけたくないし、嫌われたくないから。

この月はこんな感じの日が4日くらい続いて、結構キツかった。

そこで私は、ようやく自分の心の状態の原因を追求し、気づいた。




これ、月イチだわ




私は幸い生理に付随する症状は腰痛くらいで、生理への知識関心はかなり浅かったが、一応生理前のイライラとかいうワードは聞いた事があった。


これかも。





PMS?




思考力の低下、息苦しさ、イライラ、情緒不安定、涙脆くなる。



ドンピシャ。




嬉しかった。


とにかくこれは私が悪いんじゃなくて、ホルモンバランスから来るものなんだ。

薬で治るかもしれないんだ。




すぐに命の母ホワイトを飲み始めて、意外に症状は半分くらいになった。


なんとか満足に生きれるようになって嬉しくて、私はPMSに打ち勝ったと思った。



年が明け2021年。

命の母が効かなくなり、プラスでPMSの期間も生理4日前から7日前になった。

この頃はもう生理前じゃなくても毎日泣いていたりしたし、結構追い詰められていたのかなと思う。

それだけでしんどいのに、PMSは容赦ない。




共通テストが終わり、私大へのラストスパートをかける時期、奴は来る。 

過去問を解きたいけれど、国語と英語は頭使うからできない。

残り少ない過去問を、こんな状態で解いて低い点を取って消費し、自信をなくしたくなかった。

とにかくこの時期は日本史しか出来なくて、勉強すればするほど頭が悪くなっているとさえ感じた。

第1志望まであと10日です!とスタディプラスに言われ、焦って泣いた。

この時期は本当に息も心も苦しくて、命の母を倍飲んだこともあった。

PMSってホルモンバランスの乱れで、何か出来事によって心理が動いたわけじゃないから、私としてはただずっと漠然とした重くて暗い感情に心臓を掴まれているといった感覚だった。

私が受験生の中で一番不利なんじゃないか?とさえ思った。

幸い、滑り止めの受験3日前にPMSは解消しそのまま第1志望まで走り抜けることが出来た。



しかし正直第1志望の手応えはなく、同大学に既に合格を貰っている友達の達成報告を見ては自分を追いつめ、既に劣等感と後悔で死にそうだった。

PMSなんて無ければ受かってたのかなぁ。

あの私が泣いていた時間で勉強しておけばもっと点取れたかなぁ。

なんてことを考えながら震える手でマイページを開く。



合格。




また泣いてしまった。








私はPMSの時に安心したくて自分と同じ境遇の人はいないのかと藁にもすがる思いで検索しまくっていたが、あまり受験とPMSの付き合い方や経験について書いている文章が多くなかった気がして、PMSで苦しんでいる受験生は私だけなのかもしれないとさえ考えたことがある。

だから、そういう子が1人でもいたら少しでも安心してもらいたくて、この文章を書いている。

私の友達は、私大受験が始まる直前にPMSを発症(という表現が正しいのか分からないけれど)して「英文が読めなくなった」と泣いていた。

私の勝手な推測だけど、受験という大きなストレスはPMSを重くしたり発症させたりしてしまうことも少なくないのだと思う。

ただでさえ大きな挑戦をしているのに、いきなりよくわかんない情緒不安定に襲われたら誰だって戸惑う。

私だって受験こそ終わったけれど、PMSとはこれかも付き合っていかなきゃいけない。(でも受験のストレスから解放されてPMSはちょっと軽くなりました)(就活始めたらまた重くなりました、命の母1000錠飲みたい)

だから、PMSを抱える受験生のみんなはどうか自分を責めないで、むしろ褒めて、休みたい時は休んでも大丈夫。

私が受験生のときは、休んでもいいよとか言われるたび「こっちはその1分の勉強で合否が変わるかもしれないんだよ!!(怒)」と思っていたけれど、少し休んだからって今までやってきたことが水の泡になる訳じゃない。

あまりに追い詰められた時は、好きな音楽を聴きながら散歩に行ったり推薦でもう合格が決まってた世界で1番信頼出来る友達に電話してもらったりしてギリギリ心を保っていた。

どうしようもなく孤独で、夜ぶっ通しで3時間くらい泣いたりもした。

私は志望校はずっとC判定だったので、大逆転合格みたいなことでは無いかもしれないけど、こんな感じでPMSに色々狂わされながらも第1志望に合格した。

しかも今は何があってもまぁあの直前期とPMSのダブルパンチに比べたらマシだなと思える。

あと先に書いた「日本史しか出来なかった」ときには、日本史ばっかりやってたら思考力落ちるから落ちると思っていたけれど、結果的に私は日本史で高得点を取って合格したので、あなたの今している勉強も、それに満足していようがしていまいがきっと無駄ではないんじゃないかなと思う。

だから、勉強をしている自分に自信を持ってほしい。

私はまともに文章を書いたこともないし、まだ18年しか生きていないので正直こんな乱雑な文章を世界中に発信するのは恥ずかしいけれど、1人でも少しでもPMSに悩む女の子の力になれたらと思いこの文章を書いた。

受験生のみんなに幸あれ

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