日蓮大聖人の言葉『重須殿女房御返事』おもんすどのにょうぼうごへんじ 9


あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

お正月に法華経を供養することを、日蓮聖人はどのように指南をされているのかについてです。

本年もかわらず、「日蓮聖人 今月のお言葉」シリーズも続けていきます。

正月の一日は、日のはじめ、月の始め、としのはじめ、春の始。此れをもてなす人は、月の西より東をさしてみつがごとく、日の東より西へわたりてあきらかなるがごとく、とく(徳)もまさり、人にもあいせられ候なり。 

弘安4年(1281)正月5日執筆     
 『昭和定本日蓮聖人遺文』1855‐1856頁  


(訳)
正月の一日は、日の始め、月の始め、年の始め、春の始めであります。この日を大切にする人は、たとえば月が西から東をさして満ちていくように、日が東から西に渡って照らすように、内には人徳を積み、外には人から敬愛されるのです。

(解説)

このお手紙は、駿(する)河(がの)国(くに)富(ふ)士(じ)郡(ごおり)重(おも)須(す)(現在の静岡県富士宮市北山)に居住していた女性信者に宛てられました。その女性は、石河新兵衛入道の妻で、南(なん)条(じよう)時(とき)光(みつ)の姉または妹にあたります。お手紙の内容は、十(むし)字(もち)(蒸し餅)と菓(か)子(し)の供養物に対する御礼を述べることからはじまり、次いで冒頭に挙げた一節が記されています。正月の一日は、その日の始めであり、一月という月の始めでもあり、一年の始めでもあり、さらには春の始まりであるとされ、正月一日を重んじることについての指南がされています。この日を大切にするのであれば、月が満ちるように、太陽が照るように、私たちも内的には徳を積むことができ、外的には他者から愛されるというのです。この手紙の後半部分には、正月の始めに法華経を供養する心は、あなた自身にも良き果報をもたらすことが説かれており、その喩えとして、つまらない木に花が咲くように、汚ない池に蓮華が咲くように、雪(せつ)山(せん)の栴(せん)檀(だん)が雪を割って育つように、月が始めて山から出るように、という功徳があらわされています。

(思うところ)
一年のはじまりである正月の一日に、法華経を供養することの重要性が示されています。正月は新年を祝うことはもちろんでありますが、過ぎ去る年に感謝を捧げ、迎える年が安らかであることを祈る重要な節目です。御家族そろって、国家が安泰でありますように、そして人々が安穏でありますように、御題目をお唱えし祈りを捧げましょう。

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