インコがうちにやってきたのは、私が三歳の頃だった。

保育園から帰る通学路で少し弱っているところを見つけた。

「みーかちゃん」

インコは私を呼んだ、いや元の飼い主さんを呼んだのかもしれない。
だけど、その時の私はこのインコ
が大好きになってもう手放したくないと思った。

けいさつしょ、ってところにお父さんはインコを持ってった。警察官って人はインコを見たけれど、すぐに顔を戻した。
こんな人に、この子を預けたくないと思った。

「うちで飼いたいよ、お父さん」

そういうと、お父さんより早く警察官が反応した。

「この子、飼い主が全然見つからない子なんです。だからほかのご家族がしばらく飼ってたんですが、またいなくなるとは。そちらで引き取りたいのならば、ぜひどうぞ。」

「あ、、いや」

お父さんが少し困った顔をする。
私は思わず口を開いた。

「この子を前に飼ってた人って何て名前なんですか？」

「確か、みかちゃんていう君くらいの女の子だよ。」

心臓が激しく揺れる。そのとき、私もお父さんもこの子を飼う、と決めた。

インコは、みかこっていう名前にした。インコのことも私のこともみんなはみかと呼んだからみかことお互い名前を呼び合えるようになった。

そんなみかこが、死んでしまった。
私が十歳の時、お父さんは寿命でみんな死んでしまうと教えてくれた。

みんながみか、って口にする回数が凄く減ってしまった気がして私はつらくなった。

そんなとき、転校生が来た。
隣町から来た女の子で、名前は、みかって言った。
そんな偶然なんて奇跡に近い。私はその子が大好きで親友になった。

ある時、みかちゃんは昔飼っていたペットの話をしてくれた。

「一歳の時に飼い始めたインコがいてね、名前はみかこにしたの。」

心臓がまた激しく揺れた。

「その子、二歳の時に、逃げちゃったんだ。すごく大事にしてたからもうみんなで泣いたよ。」

「みかこは、きっと大丈夫だよ。すごく幸せになったはず。だってすごくかわいいってことが想像つく。うん、大丈夫だよ。」

みかちゃんが必死に探していたインコを私がずっと育てていたなんて言えなかったから、私はそういった。

「ありがとう。みかちゃん」

「いいよ。みかちゃん」

2人でくすくすと笑っているのをみかこが空の上で見ていてくれている気がして、私は少しうれしくなった。