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今年のアートの話題… 2020年の振り返り②

前回がアカデミー賞的振り返りだったので、今回はニュース番組的に2020年をアートの話題で思い返してみたいなと。
<ソースは主に美術手帳オンラインから>

メルケル首相

 「連邦政府は芸術支援を優先順位リストの一番上に置いている」
コロナ禍の中で、アートの存在価値や意義が、改めて問い直された今年。ドイツのメルケル首相の5月7日の演説が、話題になりました。国のコロナ対策の中で、アートが”最優先”ということを表明したわけですから。
 演説の際に記者からこのような質問を受けます。
 「コロナ時代に、文化(芸術)はどのような役割を果たすのでしょうか?」
 アートファンを自認する私なら、なんと答えるでしょうか…色々と考えてしまいますね。メルケル首相の質問に対するコメントは最後に書きます。

 メルケル首相のこの言葉に代表されるように、欧米諸国ではアートに関す社会的価値が広く認められているように見えますが、実際には、今年のような事態に陥ると背に腹はかえられないという状況になるようです。

テートモダン

 テート(テートモダン美術館 ロンドン)が12パーセントのスタッフを解雇。コロナ禍による財政難で待ったなし。
<美術手帳オンライン 12月9日>
欧米の著名美術館でも、運営が困難になってきている実態が伺えます。日本でも大原美術館やワタリウム美術館などの、私立の有名どころが、運営費を賄うためにクラウドファンディングを実施したことが、大きく話題になりました。

ワタリウム美術館クラウドファンディング

 ワタリウム美術館のクラウドファンディングでは、開始から24時間以内で目標金額のおよそ2倍を集めたことも耳目を集めました。日本でもアートを支援したいという層が一定数いることが証明された形ですね。
 私も、先日クラウドファンディング後に開催された『生きている東京展』に行ってきましたが、地域の”風景”として、今後も生き続けるぞという生命力のような気合を感じたしだいです。
*noteの記事はこちら

一方、オンラインでの鑑賞というスタイルで、新たな取り組みが多くみられるようになった年でもあります。なかでもこちら。

あつまれ

《あつまれ動物の森》向けに各美術館からの作品データの提供。自分のお気に入りの仮想空間に、アートの作品を並べて楽しめるという、まさにコレクター気分がオンライン上で味わえるということになりました。
 Google Arts の充実ぶりにも目を見張りますし、デジタル空間が作品の最初の発表の場になるという、音楽の世界で既に起きていることが、いよいよ絵画や彫刻などでも起きるのかなぁと。

さて、記者の質問に対するメルケル首相の回答です。
<美術手帳 オンライン 5月16日より抜粋 HPはこちらから

 もしかすると私たちは、こうした時代になってやっと、自分たちから失われたものの大切さに気づくようになるのかもしれません。なぜなら、 アーティストと観客との相互作用のなかで、自分自身の人生に目を向けるというまったく新しい 視点が生まれるからです。

 私たちは様々な心の動きと向き合うようになり、自ら感情や新しい考えを育み、また興味深い論争や議論を始める心構えをします。私たちは(芸術文化によって)過去をよりよく理解し、またまったく新しい眼差しで未来へ目を向けることもできるのです。

新しい眼差しで見つめる来年。私たちはどんな年にしていけるでしょうか? 予想という他人行儀ではなく、期待という自分事で、考えてみたいなと。

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