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2020年のアート鑑賞、アカデミー賞的振り返り

 今年のアートイベントを振り返り、アカデミー賞(主要五部門)になぞらえて勝手に「賞」を出しておこうかと。実は昨年より実施の個人的大イベントです(笑)
 対象は自分自身が直接堪能したものに限定。今年は巣篭りモードでしたが、ギャラリー含めて50を少し超えるぐらいで「展覧会」(アートイベント)に顔出してみました。勿論見逃したものの方が沢山。「あれが無いだろう!」もあると思いますが、見ていないのでごめんなさい。

★主演女優賞★ 
今年一番印象に残った女性作家は…やくしまるえつこ 
森美術館『未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか』で観たというか聴いた《わたしは人類》が、とても印象に残りました。こちらの展覧会自体が、かなぁりぶっ飛んでいる内容で、自分の「気持ち良い/悪い」の境界線を探る体験になったのですが、ポップなかわいらしい曲が「場違い?」などと思っていたら、とんでもなかったです…。
*次点…レボハング・ハンイェ 

★主演男優賞★
今年一番印象に残った男性作家は…ピーター・ドイグ
東京国立近代美術館の企画展って、いつも「お!」と思う視点があって、事前にあまりそそらない場合でも、なるべく観に行くようにしています。ピーター・ドイグも「なんか童話絵本のような作品が多いよねぇ~」という勝手な印象でしたが、実際に作品を観て吸い込まれちゃいました。作品の大きさもあるのでしょうが、彼の創る世界に舞い込んだような気がしました。それも、かなり怖い感じの童話の世界…。そういえば、現実世界も今年は随分とスリラーでしたね。
*次点…ベルナール・ビュフェ

★監督賞★
うまく作品を演出してくれたなぁと感じた展覧会… 国立新美術館
『古典×現代 2020 時空を超える日本のアート』

オールドマスターの作品と現代作家の作品を並べて観るという体験。どの作品と組み合わせるかが、キュレーターの腕の見せ所。古典のイメージと合わせるのか、新しい意味合いを持たせるのか…。「なるほど、こう来たのかなぁ」「あの作家と並べても面白いかも」などと、あれこれと偉そうに考えながら楽しむことができました。そう、古典と現代、普段別々に観てる身には斬新でした。こういう見せ方(魅せ方)ありだなぁ。
*次点…サントリー美術館 『日本美術の裏の裏』

★脚本賞★
展示そのものに物語のような魅力を感じた展覧会…東京都庭園美術館
『生命の庭 8人の現代作家が見つけた小宇宙』

アールデコの建築で有名な旧朝香宮邸の本館が有名な庭園美術館。現代作家8人の作品が、作家別にセクションを設けるのではなく、一室一室の歴史や雰囲気に合わせて展示されていて、邸宅にお招きいただいての鑑賞という面持ち。
 生きているという意味合いを、色々と考える機会のあった今年。”いのち”に関連するテーマの展覧会をいくつか観た中でも、何か素直に向き合うことができました。
*次点…ホテル雅叙園東京 『tagboat×百段階段 文化財と出会う現代アート』 

じゃじゃーん、そして今年の栄えある
★作品賞★
今年見た中で最高でしょうこれ! のアートイベント(展覧会)は…
『ヨコハマトリエンナーレ AFTERGLOW 光の破片をつかまえる』 
横浜美術館他

 ガイドサポーターとしてお手伝いさせてもらったので、他と比べて圧倒的に印象が強いという理由もありますが、まさに”今年自分が体験した”ということで一押しになりました。
 企画時点では、今年このような状況になるとは関係者の方も誰一人思わなかったはず。開催中止になるイベントも多かった中、これほどの規模のものを開催したことに感嘆。内容も狙っていたのではと思えるほどに、今年の状況にジャストフィット…。現代アートがまさに進行形であることを感じることができました。

さて、来年はどんなアートイベントと出会えることでしょう。
あれこれと思い悩まず、単純に期待したいです。

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