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アートはビジネスの役に立つのか?①  ”問い”そのものを考えてみると…

「わかる/わからない」の視点で、アートに関わる話を、思いつくままつらつらと綴っています…。
 アートシンキング! かなり来てますね。「仕事(ビジネス)」に役立てようということで、参考図書などを色々とあたっている勉強熱心な方々も多いようです。

火付け役はおそらく
 『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口周 著
からかなぁと。”忙しい読者のために”、タイトルの問いに対して、最初の8ページで”まとめて回答”するという潔さ。この手軽さとわかりやすさが、なんだかこれまでのやり方でどうもうまくいかないと、もやもやしていたビジネスパーソンにびしっとはまったのだと思います。私も、読後のすっきり感が半端なく、色々な方にお勧めしたぐらいです。

ということで、アートはとってもビジネスにも役に立ちそうな気がしてきた人は(私も含めて)多いと思うのですが、いざ、具体的にどこがどう役に立つのかというと、これがうまく説明できません。少なくとも私はそうです。説明すればするほど、自分が腹落ちしていることから離れていくような感じがします。

そもそもアートとかビジネスとかが何を指しているのかが、人によって曖昧で、議論のベースが合っていないのではないかと思います。
例えば、「アートを学ぶと観察力が身につき仕事に活かせる」という意見の人がいたとしても、そもそもアートの作品をよく観ることと、仕事の状況を理解することは同じなのかとか、学ぶというのは美術知識を深めることなのか鑑賞体験を増やすことなのか…。突き詰めていくと切りがないのです。

さらに、「役に立つ/立たない」という問いそのものが、実はしっくりこないことに気がつきます。自分がこの問いを立てた時点で、既に明確な価値判断基準を持っていることになるわけですが(メリットになるか否かを区別できるということはそういうことですよね)、アートって価値判断がとってもできにくいのが特徴だし魅力の一つだと思っているので、そこに自分の今の基準を当てはめて役立つ/役立たないって言えるのかなって…。なので、「アートはビジネスの〇〇に役立つ」と具体的に言えば言うほど、「アートめっちゃ面白いんだけど」と感じている自分の想いから遠ざかるような気がしてくるのです。

 ですが、アートの魅力を知れば知るほど、確かに仕事や、もっと言えば人生が豊かになってきている実感は間違いなくあるのです。うーん、矛盾している気もしますが、「役に立っている」と思えている自分は、確かにいるってことなんですね。

アートコース

昨年実施した『丸の内プラチナ大学 アートフルライフコース』の様子
*今年はオンラインにて開催中

なんだろうな、このわからなさ。
この魅力ある不思議感を色々な方々と共有したいと、勝手に体験の場を今後も開いていこうというのが、まずは問いへの自分自身の回答ですね(てへ)

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