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卒業式での再会と涙#016

中学校の卒業式

一昨日は長女の卒業式だった。
開式前に渡された長女からの手紙に始まり、最後の合唱まで涙腺ゆるみっぱなし。
涙で視界がぼやけて長女や卒業生になかなかピントが合わなかった。
天気にも恵まれて、式後の写真撮影では卒業生達の晴れやかな笑顔がたくさんはじけて、素晴らしい式だった。

ママ友とのわだかまり

長女が小学校の頃から仲良くしていたママ友がいる。
習い事の送迎時に小話をしたり、行事に合わせてランチに行ったり。
彼女の子供も長女と同い年の女の子が一番上だったので、入学や進級時には情報交換し合ったり、長女の人間関係の悩み事も相談できる大切な友人だった。

ある時、そんな彼女とのLINEのやり取りの中で、返事が遅かったりいつもとは違う雰囲気を感じたことがあった。
違和感を感じて、大丈夫?とLINEで声をかけてみるも、そっけない返事だったりして、徐々に連絡するのを控えるようになった。
何か気に障ることしちゃったかな・・・
距離を置いた方がいいのかな・・・
そんな風に思って、自分から連絡するのはやめた。
コロナ禍で直接会うこともなくなり、自然と距離ができてしまい、もう彼女とは縁が切れてしまったんだなと思っていた。

再会と涙

今日もしかしたら会えるかもしれない。
卒業式の日、私の頭の片隅にずっと彼女がかすめていた。
けれど会うのが怖くて、敢えて全体を見渡すことを避けている自分がいた。

卒業式が終わり、卒業生と先生方の撮影大会が始まった。
みんなキャッキャ言いながら笑顔満開で走り回って写真を撮ったり、別れを惜しんだりしている。
長女も例にもれず、友達を探したり、名前をあちこちから呼ばれて行ったり来たり。
そんな長女を見失わないように目で追っていたら、その視線の先に、、、彼女がいた。
彼女は笑顔で手を振っていた。
あ、、と一瞬目をそらしてしまった。
けれど、もう一度振り返ったら、まだ手を振っている。
私に向かって手を振っていたのだった。

私も手を振り返したものの、そのまま話しかけに行く勇気が出なかった。
先生方にお礼を伝えたり、長女の写真を撮ったりしながら時間が流れていく。
「そろそろ先生方、帰ってくださーい!」
学年主任の先生から声かけがあった。

彼女は変わらず同じ場所に立っていた。
どうしよう。
このまま話さなくていい?
心の奥の小さな鉛をそのまま置いておいていいの?

私は小さな鉛を握りしめ、彼女の元に走り寄った。

不安と少しの期待でドキドキしたけれど、
彼女は昔と変わらない笑顔で私を出迎えてくれた。
「嫌われたと思ってた」
と伝えたら、「私もそう思ってた」と笑われた。

LINEで私が違和感を覚えた時期、彼女がものすごく大変な状況だったことが分かった。
返事を送るのもやっとの状況だったので、私が距離をおかれたと誤解してしまったのだった。
辛い時に支えてあげられなかったこと、勝手に勘違いした自分、それなのに笑顔で迎えてくれた彼女。
色んな感情が渦めいて、
「ほんまにごめん。けど良かった。またこうして話せて嬉しい!嬉しいよー」
と彼女を抱きしめて、泣いた。

対面で会うことの大切さ

テレワークやオンラインコミュニケーションは確かに便利で、様々な課題を解消してくれる。
けれども、人と人が関わり合うこと、繋がることは、やはり対面なくしては深められないように思う。
メールやLINEでどれだけメッセージを送り合っても通じ合えていないことが、ほんの一瞬でも実際に会って目を見て会話して触れ合うことで感じ取れる何かがある。
ささいなことで絡まってしまう人間関係だからこそ、ほんの少しの勇気を持って、自ら一歩踏み出して話してみてほしい。
人と繋がることって、こんなにも温かい気持ちにさせてくれるから。

卒業生達のはじける笑顔を眺めながら、そんな風に思った。
春の風が吹き抜けた1日だった。



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