技能実習生の失踪を防ぐためにできること ーむすびば 代表 相原恭平ー

みなさん、こんにちは!
技能実習生にオンラインの日本語教育を提供している むすびば株式会社相原です。昨年の9月に技能実習生向けの失踪問題を解決する事業をスタートして1年が経過しました。

まだまだ、一部の実習生にしか日本語教育を提供できていませんが、なぜ毎年1万人近い人が失踪してしまうのか、その理由が少しずつ見えてきました。

実習生にとって日本語教育が重要な理由

最近メディアでは技能実習の問題について取り上げられることが多いです。
そこでよく取り上げてられる内容として、「企業が法令違反している」「企業に問題があるから失踪してしまう」などが多いです。
そんな中で、なぜ失踪問題を解決するための手段として、日本語教育を選んだのか?

事業を作るにあたって様々な企業や監理団体の担当者様とお話しさせていただくと、悪質な人は滅多にいなかったです
そうではなく、実習生があまり日本語を話せないことで、企業と実習生の間でコミュニケーションが取れずに問題が起こってしまうとわかりました。

よくある問題の一つとして、企業の人が実習生に仕事の指示をするが、理解してもらえずに失敗してしまう。それに対して注意するが注意した内容も伝わらず困ってしまう。実習生側も、なぜ怒られてるか分からないので行動を改善することもできない。それによってお互いの不満が溜まる。

つまり、誰かが悪いとかではなく、意思疎通を図れないことがトラブルの原因になっているのです

そのため、「むすびば」では会話力に特化した日本語教育を行っています
試験勉強のような文法の問題を勉強するのではなく、仕事や生活で使う日本語を勉強し、会話する時間を多くとっています。

日本語が上達しただけでは失踪問題は解決されない

日本語教育を提供し始めてから、実習生の日本語が上達して会社とのコミュニケーションが促進されたり、仕事での失敗が減ったと声をもらいました。

その一方で、日本語を教えていた実習生が失踪してしまうことも起こってしまいました。失踪してしまった実習生の企業はとてもいい企業で、なぜそうなってしまったのか分かりませんでした。
企業やその会社の他の実習生、失踪してしまった実習生に話を聞くと、Facebookでもっといい仕事を見つけたために職場から逃げたことが見えてきました。
しかし、実習生は原則転職が認められていないので、他の職場で働いていることがわかったら強制帰国になります。

このことから見えてきたこととして、実習生は高卒が多いことが影響しているからか、情報リテラシーの低いことがありました
転職先は絶対給料の高い、いい会社だと信じてしまったり、同じベトナム人が紹介しているから安心だと思い込んでしまいます。
よく、社会問題は複雑でいろんな原因が絡み合っていると言われますが、最近はとてもその言葉を実感しています。
ソーシャルビジネスに終わりがあるとすれば社会問題がなくなった時なので、日本語だけではなく情報リテラシーを鍛える授業などもこれから取り入れていきます。

これからの「むすびば」のVISION

私は、ベトナムで日本語を教えていた経験があり、その時にベトナム人に親切にしてもらったからこそ、日本を選んで日本に来た外国の人が「日本にきてよかった」と思える社会を作るために起業しました。
日本にいる実習生の日本語が上達して、日本の仕事や生活を楽しめるようになったら、次は日本に来る前の実習生にも活動範囲を広げていきます。
日本に来る前から日本語やしごとのやり方を覚えていれば、来日当初から1人前の人として働くことができます。
さらに、実習生1人1人がやりたい仕事のできる会社を紹介できれば、技能実習が終わって帰国した後に選択できるキャリアが広がると信じています。

技能実習生は全国に40万人います。コンビニで販売されているお弁当は実習生が作ったものかもしれませんし、今日食べた野菜は実習生が育てたものかもしれませんし、今住んでいる家は実習生が建てたものかもしれません。
気付かぬうちに様々な実習生や外国の人に支えられて私たちは生活することができています
この事実が広まって、全国の日本人が日本にいる外国の人に気をかけられて、共に支え合って生きていける日本になっていけたら素敵だと思っていますし、そのために事業を拡大していきます。

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