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エンケンさんのこと。

”エンケン”こと、遠藤賢司氏が亡くなった。
自らを「不滅の男」と呼び、他の誰にも作れない歌を作り続け、どんな時にも限界点を無視した唯一無二のライヴを繰り広げた人。

エンケンさんのライヴを初めて見たのはいつだっただろうか。渋谷にあるB.Y.G.という小さなライヴハウス。
その時は自分の人生における2人目の恋人が一緒にいた。そもそもその女性と仲良くなったきっかけがエンケンさんだった。そんな事を思い出す。

本編はアコースティックギターの弾き語りスタイル。繊細さと豪快な音の世界の対比が素晴らしいライヴで、それだけでも満足だったのだが、アンコールになった途端にアンプを背中に背負いエレキギターを耳がぶっ壊れるかと思うくらいの轟音でかき鳴らしながら会場をねり歩くエンケンさんの姿があまりにも衝撃的だった。さらにフィードバックノイズとともに和太鼓のバチでドラムを叩く様が本当にカッコ良かった。

それから何度かエンケンさんのライヴを観に行く機会があり、少しだけお話をさせていただく機会を数回得た。
そこで自分に向けられた柔和な表情と真っ直ぐな眼差しを見て、「様々なことを経験してきた男の顔はこんな風に美しいものなのだ」と知った。

エンケンさんのライヴを初めて観に行った際一緒にいた恋人とはあまりにも多くの、そして悲しい出来事とともに別れることになり、そのことをきっかけとしてエンケンさんのライヴを観に行くことはなくなってしまった。
それからもずっと気になる存在として新譜が出るとチェックすることはやめなかったのだけど。

「99歳になっても唄う」
「紅白歌合戦で”夢よ叫べ”を唄う」

ずっと言い続けてきたエンケンさんの夢。
残念なことに全て叶えられないままエンケンさんは亡くなってしまった。
けれど、一つだけエンケンさんの言葉で変わらないことがある。

それは「エンケンさんは不滅の男」だということ。

純音楽を標榜し自らの命を削るかのごとく歌い続けたエンケンさん。
その音楽を受け止めてきたぼくたちはエンケンさんの音楽や言葉を忘れてはならない。あの美しい顔つきの記憶も。
不滅の男はこれからも人々の心の中で純音楽を鳴らし続ける。

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