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卒業文集廃止にあなたは賛成ですか?反対ですか?

今日で4月が終了し、
明日から5月スタート。

5月は4月から続いてきた緊張がゆるみ、
蓄積していた疲れが表出しやすい時期。

自分の身体に充分気を配って、
適度なインターバルを挟んでいきたいですね。


共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


あなたは卒業文集に、
何の内容を書いたか覚えていますか?

多くの学校で、
卒業アルバムと共に制作されていた卒業文集。

しかし、今、
卒業文集を廃止する動き
少しずつ広まっているようです。

筆者の前任校で一緒だった教務も、
次に赴任した学校で廃止にしていました。

なぜ、卒業文集を廃止するのでしょうか?

卒業文集とは、そもそも、
どのような行程で作られているのでしょうか?

そこに、廃止の理由
隠されているような気がします。

賛成、反対、それぞれの立場で、
読んでくださればと思います。



卒業文集の魅力

「お前文集に何書いたか見せろよ」
「ちょマジ恥ずかしいからやめてくれ・・・!」

小学校から中学校、
中学校から高校へ移ると、
卒業アルバムの見せ合いっこみたいなことが、
よく友達の間で行われていました。

の年齢、その時にしか抱けなかった思いを
文字にして保存
することができる。

大人になった時も、ふと思い返して

「あの頃の夢」

を思い出すことができる。

そんな、
大事な思い出を綴じる存在である卒業文集。

筆者も、授業をつくるときに、
イチローや本田圭佑なんかの
卒業文集を活用させてもらったことがあります。

例えば、本田圭佑の卒業文集の冒頭は、

ぼくは大人になったら、世界一のサッカー選手になりたいと言うよりなる。

と始まります。
シビレますね!!

他にも、

・ヨーロッパのセリエAに入る
・背番号は10番
・1年間の給料は40億円ほしい

などという内容が、
小学校の段階で明記してある。

イチローも同様です。

「成功していく人は小学校の段階から違ったんだな・・・!」

そんな感動を、
味わうことができるツールでもあります。

そのような受け取り手にとっては、
よいイメージの卒業文集。

では、現在、
学校側はどのような状況なのでしょうか。


卒業文集の何が問題なのか

働き方改革が進み、
次々と業務や行事の簡素化がすすめられる中、
ついに白羽の矢が向けられた卒業文集。

実は、卒業文集は、
教師にとっても、子どもにとっても、
かなり負荷が高いものだという現実があります。

その理由をいくつかに絞ってお伝えしますね。


❶圧倒的な国語力の低下

実は、現在は、
多くの学校がタブレットを使って、
ワード等を使って卒業文集を打ち込んでいます。

そうすれば、
手書きで何度も書き直す必要はありません。

「え?じゃあ、むしろいいじゃないか?」

と思われる方もいると思います。

ただ、それをあまり補って尚、
国語力の低下が負担になっている現状があります。

国語力の低下については、
以前も記事にしたことがあります。

まあ、これは、
筆者が勤めていた地域の特徴も
あると思いますが。

筆者のなかでは、

1~2割修正すればOKな子が10~20%、
半分程度修正が必要な子が30~40%、
いちから全て一緒につくる子が20~30%

といったイメージです。

「何のテーマを書きたい?」

と選択肢も示しても、

「分からん」

が返って来る子が20~30%です。

特に、
発達凸凹の子どもの割合
非常に多い学年においては、
露骨に重みが増します。

一生残るものであるからこそ、
大人になって見返した時や、
保護者が見た時に、
見られて恥ずかしくないものにしたい。

1人につき10分修正時間がかかるとすると、
1ループで300分
つまり5時間。

それを2~3周はループする。

そして、卒業文集の指導時間は、
授業時間に含まれていない。
(前任校は総合の時間にやっていました)

先生方は授業準備などがあるので、
非常に大変な時期になります。


❷外国籍児童の増加

令和になり、
外国籍児童がクラスにいることが
筆者はかなり当たり前の感覚になってきました。

最後の年に受け持っていたベトナム人の子は、
非常に聡明な子どもで、
こちらの指示をよく理解していました。

ただ、日本語はやはり難しく、
1年間では、なかなか話すことができず、
当然「書く」は厳しい状態。

毎回の国語や社会の授業で、
全てお手本を用意しなければ
書くことは厳しい。

全員用の作文の手本ではなく、
その子専用の手本をつくる必要がある。

そういった子が、
クラスに3人4人といた場合、
かなりの準備時間がいることになります。

そもそも何を書くのかを、
その子にヒアリングするところから始まる

休み時間や給食の時間に。

この負担は、
これからもっと増えていくと思います。


❸業務内容の不公平さ

小学校は6年生だけ、
明らかに仕事の量が多いです。

行事の度に、

「最高学年だから」

と、学校の顔としてのクオリティを求められる。

加えて、

・修学旅行
・修学旅行説明会
・卒業文集
・卒業アルバムの制作
・卒業式の指導

などなどの特殊業務が入る。

卒業アルバムの写真の選出も、
非常に時間がかかります。

なぜなら、
どの子どもも大体同じ枚数写真に載っていなければ、不公平感が出るからです。

そして、
なぜかやたら写真に映っている子もいます 笑

折角いい写真を見つけたのに、

「またこの子いるやん!これで何枚目だ?」

とツッコミながら、
慎重に写真を選出していく。
(写真を撮られるのも1つの才能です 笑)

名簿に誰が何枚かを
1つ1つチェックしていきながら。

その上、卒業文集指導です。

他の学年の職員は帰るのに、
6年生担任だけ遅くまで残っている

筆者は、
なぜか最後の2年間は、
6年生担任ではないのに、

「卒業文集担当」

という役目が与えられていました。

よって、
6学年全員に、
情熱の文章指導です。笑

やはり、一生残るとなると、
手を抜くわけにはいかない。

徹底的にいい作文にしようと、
6年生たちと相談しながら、
それぞれの思いをインタビューし、
文集に関しては筆者が役目を果たす。

6年生担任は
残りのアルバム制作業務に
集中してもらうという形。

この時期は、
自分のクラスに加えて、
6年生の顔を思い浮かべ、
どう指導するかをぐるぐると考えていました。


卒業文集の代替え案

では、
卒業文集を仮になくすとしたらどうするか。

ここでは、代替え案を考えてみます。

まず1番時間的にもよいのが、
寄せ書きです。

寄せ書きは子ども同士で書き合うので、
そんなに時間はいりません。

それぞれのアルバムに書き合うでもいいですし、
クラスで1枚つくって、
それをカラーコピーしてもいいでしょう。

もしくは、
国語の授業で、
もっと簡易的な作文を書かせることです。

卒業文集に本来書くようなテーマで、
授業としてやってしまう。

それをアルバムに載せることはなく、
個々に挟む程度にしておく。

友達が何を書いたかは見れませんが、
少なくとも自分の文章は残ります。

このように、形さえこだわらなければ、
いくらでも工夫はできそうです。


まとめ

いかがだったでしょうか。

親の立場からしたら、
卒業文集はやはりほしいと思うのが、
当たり前の反応だと思います。

ただ、
子ども一人ひとりのことを考えると、
外国籍の子どもなどは、
なかなか考えざるを得ない問題だとも思います。

他にも、

学校に来ることができない子ども、
学校に来ない選択をした子ども
のことも、
忘れてはいけません。

その子たちが

「書きたい」

というのならば、
書かせてもいいと思います。

ただ、強制的に書かせることは
もちろんできません。

その子にとっても、
非常にプレッシャーをかけることになります。

そのようなことを含め、
学校の様々な慣習が、
これからも問われてきていますね。

どのような形になるにしろ、
保護者も学校も子どもも、
事情を共有し合って、理解し合った上で、
進めることが大事ですね。


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明日の記事は、

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(2024.4.29~5.4)

📒→全員最後まで読める記事
📓→メンバー以外は途中まで読める記事

【月曜日】
📒なぜ国語のテストは難しい?グレーゾーン対応読解力向上トレーニング
【火曜日】
📓《人生①》今週の1冊 from library
📒卒業文集廃止にあなたは賛成ですか?反対ですか?
【水曜日】
📓あなたはどのタイプ?6タイプ別の伸ばし方の教科書
【木曜日】
📒人間の「深み」を学べる映画10選
【金曜日】
📓もしかして「何もしない=休息」と勘違いしていませんか?
【土曜日】
📓文章にもルックスがある/イケメン・美女的な文章とは?
📒ちょ・・・がんばったんで、見てってください。お願いします・・・
【日曜日】
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