公教育の終焉


公教育の移り変わり

40年近く教員をやっていて、この40年で変化したこと。

40年前・・・
教育現場は自分の子供にも勧められる職業でした。
確かに日々の仕事は辛いときもありましたが、今ほど忙しくもなく放課後は先輩の先生と語らい生徒指導や授業方法などの指南をしてもらえた。
夏休みには自宅研修という名目で出勤せずにくつろぐことができた。このくつろぎは夏休み明けからの仕事に対する鋭気を養う大変貴重な時間でした。また、夏休み中の出勤日であっても、生徒指導の一環として補導に街中を歩くため、10時頃学校へ出勤して、14時頃補導に出たものです。

30年前・・・
夏休みの自宅研修で、近所を散歩したり自宅で家庭菜園をしているなどを目撃した人が「公務員が税金で飯を喰っているのに、働きもせず家にいるとは何事だ!!」という声が全国から上がるようになりました。

25年前・・・
教育委員会は自宅研修の制度を取りやめ、教育センター等で行なわれる研修を受けることを義務づけました。
この頃からでしょうか。気を休める暇もなく、近所からの目を気にし研修を受けるようになったのは。

20年前・・・
保護者をはじめまったく関係のない人までもがインターネットを使い、情報を収集し、また、情報を発信し教員狩りが始まったと思います。
教員はストレスを感じ、ニュースになるような事件を起こす教員が増えて行ったと思います。
教育委員会は多くの研修を義務づけたにもかかわらず問題行動を起こす教員が増えたことで更に研修を課してきました。

10年前・・・
教員免許の更新講習がはじまりました。
現在は、更新講習が廃止になりましたが教員の負担は増える一方で何の効果もなかったと思います。だから更新講習がなくなったと思いますが・・・

現在・・・
何をしても教員は叩かれる。本来は親の責任であることも学校に押しつけられる。教員の多くは思っていると思います「それって、教員の仕事?」
このしわ寄せは児童・生徒に降りかかります。
でも、ここまでブラックと言われた業種に若い人は就こうと思わないと思います。

公教育の今後

児童・生徒のためにと考える教員は激減するのではないのでしょうか。
自分のことで精一杯。
そんな中で、日本を支えるための人材を育てようと考えられる教員は少ないと思います。
新しい教員がいない教員不足の状況では、現在働いている人の負担が増え、見切りを付けて転職する教員も出てくると思います。若い教員の中からは特に増えると思います。
一度壊れてみないとリビルドできないニッチモサッチモいかない状況であると思います。

運送業界と同じ?

運送業界では事故が増えたため、運転免許証の細分化(大型、中型、普通)をしました。
その結果、若い人が免許が取れないからと業界に入らなくなりました。
それで国は更に細分化(大型、中型、準中型、普通)にしました。
交通事故は減ったかもしれません、しかし、運送業界が抱える人不足は全く改善されていません。
最近、ドライバーの労働時間に制限を掛け、収入を確保するために「送料無料」の表示を規制するそうです。
なんか、教育現場も一緒ですね。
「先生方早く帰ってください。」「特給法の4%を10%に上げます」
それで、家庭の責任を押しつけられた教員が頑張ると思っているのでしょうか。
運送業界も公教育も便利に使いすぎた結末ですね。

天につばを吐いた報い

小中学生の祖父母当りの年代が学校に文句を言い始めました。
今まで「子どもを人質に取られているから文句が言えない」と言っていた年代がネットの普及で言いたい放題になったのです。
社会もそのような意見に迎合しました。
その結果、公教育は破綻したのです。
多分、文句を言った祖父母世代の人にも私学へ行く経済力があった人は文句を言わなかったでしょう。
つまり、公教育しか受けられないような経済力の保護者や祖父母を持つ子どもが現在の公教育破綻の餌食なのです。

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