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AIと今後のエンタテインメント産業の可能性ーアメリカWGAストライキとまもなく起きるだろうSAG-AFTRAストライキについて

前回の記事でWGA(全米脚本家協会)のストライキがハリウッド中心に5月より始まり、そのストライキは長期化の見通しであることを伝えました。

■コロナ収束もアメリカ脚本家ユニオンのストライキやハリウッド市場の投資家慎重等で停滞状況ーでも状況は必ず改善する

ようやくコロナが明けたと思ったらストライキが始まりましたが、実は2023年はアメリカの映画産業と全米俳優協会 SAG-AFTRAの労使協定 Bargaining Agreement が6月30日で切れる時でもあり、先日SAG-AFTRAが6月30日までに合意に達しなければ(正直達する可能性は天文学的に低いです)ストライキに入る構えを行っています。
 全米監督協会(DGA) も同様な構えをしてストが全て決行されますと少なくとも向こう半年以上はハリウッドは機能不全になるのは避けられないでしょう。

さてといずれも報酬の引き上げ(特に欧米の物価の高さは正直異常なレベルなので)は当然として、実はWGA, SAG-AFTRA , DGAいずれも今後のエンタテインメント産業に対する影響が避けられないだろうといわれるAI (人口知能)が交渉の議題にあげられている点です。

このAIについてはすでにchat GPT等で実際に触れられている方も多いと思いますが、全米のクリエイターや俳優の間では自分たちの仕事を奪う脅威として位置づけている向きが強く、AI (人口知能)使用のルール作りを要求している模様。実はこれがなかなか難しそうです。

そもそもひとくちにAI (人口知能)といっても実は科学者の間でもきちんとした定義がなされておらず、部分的な情報は沢山入ってくるもののどういうものかについてはきちんと理解してから論じた方がいいでしょう。ネットにいろいろ蔓延っている情報はフェイクも多いのでそのまま信じるのは危険です。とにかくAI (人口知能)ときいてただパニックになるのではなく、まず内容をきちんと理解することから始めるべきです。

昨年の記事ですがAIについてきちんと整理して解説した記事がありますのでご参照下さい。

■人工知能「AI」とは何か? その基礎知識と活用事例をわかりやすく解説!

現段階で普及しているAIの機能は以下のとおりです。
·画像認識
·音声認識
·言語識別
·制御
·予測*

上記の中で画像認識から制御の上から4つまでは既存のコンピューターで可能ですが、一番下の「予測」というのがAIにしかできない機能になります。

わかりやすくするために以下の記事からAIにできること、できないことをリストップしてみましょう。
■人間にしかできないこと一覧|人間の能力とAIの能力を比較して解説!

それによるとAIにできることをいくつかの分類に分けてみますと以下の4つのポイントが出てきます。

  1. 常識的な判断をすること

  2. 絶えず学び、その場で適応すること

  3. 原因と結果を理解すること

  4. 倫理的な推論をすること

具体的には同じ作業の繰り返しをする、単純作業で成り立つ内容の仕事はAIに向いているといわれています。AIにできない仕事には、コミュニケーション能力、クリエイティブ性が求められる、という風にいわれていますが、皆さんもネット等でご覧になったように最近では画像認識と合成予想させることによって実在しない女性があたかも存在するような画像を構成するケースが出てきました。

■「リアルと判別不能」ついに動き出した“AI美女” 自動生成される“作品”に著作権はあるのか?

これも写真だけが独り歩きしている感がありますが、要は。画像生成AI「Stable Diffusion」を活用したもので、AIが新たに映像や画像のクリエイテイブツールになっていると理解すればいいと思いますが、このツールが一般化することによって中途半端なグラビアアイドルとかの未来は厳しくなるでしょうね。

私個人はAIが人間がコントロールできる範囲にあるツールである限りはそれほど恐れる必要はないと考えます。作曲であればDAW やDTMにAIが組み込まれた、と考えれば進化したツールと考えればいいと思います。まだ市販されている音楽制作ツールに組み込まれたものは私の知る限りはありませんが、いずれ出てくるでしょう。
 ちなみに打ち込みやサンプリングシンセが普及したらもはや生音を使う人間なんていなくなるだろう、という言質が一時まことしやかに業界に流れましたが、生音による演奏は現在も生き残っています。但し少し予算がある案件に限られますが..

ただAIの問題はそれだけではありません。
実は汎用人工知能(AGI)のリスクを議論が行われており、これが予想以上の内容だという話です。テクノロジーに関しては猪突猛進のイメージがあるイーロンマスクですら、ストップしたくらいですから、どういうものか。

■「巨大AI実験6カ月停止」の要請が出た背景、賛同した日本人研究者に聞く

要はある時点で開発者すら躊躇するAGI(汎用人工知能)は人間のように柔軟な思考ができるもので、AIが急速に進化したためAI研究者が戸惑いを感じているほど人間が制御できない可能性が出てきているというので、こちらは確かに私も恐ろしさを感じます。これこそ映画「ターミネーター」に出てきた人類を滅亡においやる「スカイネット」が現実のものになる可能性がありますので、これは確かに冷静に議論しながら進めるべきでしょう。
 いずれにせよ、インターネットによるグローバル化だけでなくAIの普及という新たな課題がクリエイターやパフォーマーに降り立ってきたわけで、従来のように安閑としていられないかもしれないですね。

一つだけはっきり言えますのは『AIとの共存社会では「考える力」が必要となる』という点でしょう。つまり人間にしかできない力(はず)である考えること、つまり自分の頭で何でも考えて自分で積極的に意思表示をし、自分で作り出す行動を行うこと
でしょう。
しかし私が心配しているのはこれは現代の日本人がとても苦手としていることではないでしょうか?
最近の日本人は周囲と同調することばかり考えて自分の頭で考えることをしない人が本当に多いと思います。それが政治とか社会に対する無関心を呼び、政府がどんなメチャクチャなことをしていても支持し続けるというおかしな状況を作っています。

AIが普及した社会は自分の頭で考えない人は社会にとって無用の長物になってしまう可能性が高いです。何も考えずただただ流されているだけの日本人の将来は暗いといっていいでしょう。とにかく「思考停止」はやめて自分で考えて自分で作り出す行動を癖付けましょう。

今からそれをやっていかないと手遅れになってしまうでしょう。いや、既になっているかも


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