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ヤグル遺跡 古代の球技場 スポーツと祭礼、儀式の融合

ヤグル遺跡までの一本道で久しぶりの一服

遺跡の標識のある岐路でコレクティーボを降り、のっぽ君と二人で静かに歩きます。のっぽ君はおもむろに煙草を吸う。私はかれこれ10年位前から禁煙しているのだけれど、あまりに羨ましそうに見ていたのか、のっぽ君が「吸いますか?」と勧めてくれた。海外旅行中はノーカウントということにして、美味しくいただきました。はーー、ヤニクラがききます。私たち二人とも朝ごはんのサンドからほとんど何も食べていません。明日、二人でシャーマンのいる村を訪れることにしたからです。私は空腹にめっぽう弱いので、さっきバンを待っている間にマンゴーを食べましたけどね。。のっぽ君は本当に何も食べていない。ストイックや。。そんな空腹状態でオアハカの片田舎の一本道を歩きながらもらった久しぶりの煙草、美味しくないわけないでしょう。一片の悔いなし。

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ヤグル遺跡 古代の球技 スポーツと祭礼、儀式の融合

サポテコ族によって造られたとされる小さな遺跡。ここの見所は遺跡中心部にある球技場です。チェチェン・イッツァにつぐ中米で2番目に大きい規模だそうです。

メキシコ旅行の予習として柴崎みゆきさんの「古代マヤ・アステカ不可思議大全」を読んでとても興味を持ったのが、古代メソアメリカで広く行われていたという球技。

使われていたのは重いゴム製のボールと石でできたゴール。メキシコシティの国立人類学博物館で見ましたが重そうでした。古代の選手たちは頭や腕などにプロテクターをつけて競技に臨んだそうです。手を使わず、お尻、ひじ、膝を使ってゴールに触れさせるか、ゴールの輪にボールを通すと勝利。しかも敗者は人身御供とされることもあったらしい。

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イエルベエルアグアはたくさんの観光客で賑わっていましたがこちらは静か。確かに小さな遺跡だし、時間がなければスルーしてもいいとは思うけど、私はこの球技場を実際に見ることができて大満足でした。

メキシコ旅行前に読んだ本

メソアメリカ文明について楽しく書かれています!古代のマヤ・アステカ文明だけでなくどのようにスペインの征服者達がメキシコや中米を植民地化したかも書かれています。メキシコの現代の壁画もこれらの歴史を踏まえるとより理解できました。エジプトバージョンも超おすすめ!ゆるゆるのイラストと文字が、くせになる面白い本です。

宗教儀式における残虐性

そういえば、スペインバルセロナに行った時に闘牛が本当に殺されることをいまいち理解していないまま、最初は牛が血を流すのを見ていて辛くなり、気持ち悪くなった。実際、具合が悪くなったようで途中で帰っている女性もいた。けれど、闘牛士が牛に攻撃されてしまったのを見て、人間もこの競技に命を危険に晒していると思った瞬間、奇妙な祝祭の感覚を体験した。そこから一気に闘牛に引き込まれてしまった。実際、その日はたまたまいい試合だったんだろう。ラストで、ローカルの観戦客が白いハンカチを振ってマタドールを讃えていたのに私も思わず参加した。最初は悲しくて見ていて辛かったのに最終的に興奮と祝祭の感覚に身を任せてしまう自分に驚いた。血の流れる儀式にはそういうパワーがあるんだろう。

この経験を振り返ると人身御供を伴う儀式をただ、野蛮とは片付けることができないし、自分には理解できない、と遠ざけることもしたくない、なんて思う。

そうそうこの日、ヤグル遺跡から帰る途中のコレクテーボの窓から、道路のわきで死んでいる若い男性を見たんだ。虹の輪と若い男性の死体を同じ日にみる、奇妙で忘れられない一日だった。



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