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【決済革命】Clubhouse Paymentsはベーシックインカムを実現する

世界最大の音声SNS「Clubhouse」にて「Clubhouse Payments」という送金機能が追加された。

1.掟破りの還元率100%投げ銭

この送金機能の一番のポイントは運営が手数料を受け取らず、配信者に100%支払われるという点だ。

基本的に投げ銭機能はあぶく銭の為、ユーザへの還元率は低い。
投げ銭系配信アプリ SHOWROOM(ショウルーム)の還元率は約20~30%
ツイキャスが7割、noteが8割、といった感じだったと思う。

配信者にとって棚ぼた的な投げ銭は、もらえればラッキーの類なので、
中抜きに対する嫌悪感は小さい。そのため中抜きをメイン収益とするサービスもある。

そんな中還元率100%を歌う「Clubhouse Payments」は異例中異例だ。
そして、還元率100%が意味する事は、この機能が投げ銭の域を超え、もはや決済サービスであるという事。

2.音声配信と投げ銭機能の前提

音声配信の本質的な価値は、エンゲージメントの高いコミュニティを短期間んで生成できるという点に終始する。
ここでいう価値はお金に限った話ではない。以前から言っている通り、価値の三分類は有用(金)、内面(喜び)、社会(承認)の三軸である。
この三軸のレーダーチャートの最大化こそが価値の最大化だと仮定した場合、音声配信で形成されるコミュニティは、これまで内面価値と社会価値の最大化と親和性が高く、ゆえに音声配信サービスはマネタイズが未成熟にも関わらず多くのコアなユーザーを獲得してきた。

一方マネタイズの難しさ(友情をお金に換金するのか!楽しみをお金にしても良いのだろうか)も配信ユーザーを悩ませるポイントとなり、投げ銭系動画配信アプリのように、積極的に投げ銭を誘うような進化は音声配信ユーザーとの相性が悪く浸透が難しいと思われていた。

3.決済サービスとしての Clubhouse Payments

音声配信と投げ銭機能は相性が悪い。なぜなら音声配信で形成されるエンゲージメントの高いコミュニティでは、友情をお金に換金する事の嫌悪感が付きまとうからだ。

それではその嫌悪感を払拭する為にはどうしたらよいか。
それは投げ銭に相当する対価を提供する事である。友達が運営しているネットショップでお金を払って商品を買う事に嫌悪感を覚える人は少ない。音声配信においても投げ銭に応じてサービスもしくは商品を対価として提供できれば問題ないのだが、これまでは投げ銭の還元率が悪かったのでそのような事は実現不可能だった。

しかし上記の問題は、還元率が100%の投げ銭機能を持った音声配信アプリが登場すれば全て解決する。そしてそれがClubhouse Paymentsだ。

例えば、clubhouse配信中に自分の商品画像をアップしたインスタを閲覧してもらい欲しい商品があったら音声配信中に投げ銭をしてもらい、後日DMでやり取りをして商品を送ってしまえばよい。手間はかかるがライブコマースの販売エンゲージメントの高さを考えればかなり有用な手段と言える。

4.決済におけるClubhouse Paymentsの特異な点

WEBを介して物販及びサービスの販売を行う場合、既存顧客のコミュニティは安定収益をあげる上で必須である。
クーポンを配ってメールマガジンの会員を集めていた時代から、SNSフォロワーを増やす、ラインオープンチャットに人を集めるなど、プラットフォームが変わっても結局やっている事は同じで、
要約すると、

①エンゲージメントの高いコミュニティを形成する
②コミュニティメンバーを外部ECへ誘導し購入を促す

この2点のみだ。

ここで一番のネックは、どんなにエンゲージメントの高いコミュニティ形成ができたとしても、外部ECへの誘導を行った時点でエンゲージメントはがた落ちし、取りこぼしが出てしまう点にある。
コミュニティとECをシームレスにすることが、買いたいと思った人にすぐに購入してもらう為には必須なのだ。購買意欲が高まったタイミングで決済ボタンを提示出来ないと購買につながらない。

Clubhouse Paymentsにおける一番の革命はこの点であると考える。
クラブハウスにて形成した濃密なコミュニティから外部ECへ誘導することなく、配信中に投げ銭という形で決済を済ませる事が出来る。
投げ銭とは名ばかりのライブコマースプラットフォームである。
配信中に雑談がてら自分の作品について話をする。売るという目的ではない。こんな出来事があって、こういう物語があってこういう作品が出来たんです、と話すのだ。

それを聞いていたリスナーは、その作品本来の価値に、ストーリーが上乗せされた時点でどうしても欲しくなる。そのタイミングで決済できるボタンがClubhouse Paymentsなのだ。

Clubhouse Paymentsのライバルは他配信アプリの投げ銭機能ではない。
すべてのECプラットフォームが競合となる。これはまじでやばたにえんなのだ。

5.とはいえ片手落ちのClubhouse Payments

ここまでの話では、Clubhouse Paymentsを手放しで賞賛する内容だったが、とはいえまだ片手落ちと言える点もある。
それは、お金をもらう事は出来ても使う事が出来ない点である。
同様の事例としてメルカリを例に挙げる。初期のメルカリでは個人所有のいらないものをフリマアプリで販売し、お金を受け取る事が出来た。お金は自分の銀行口座に出金して受け取る事が出来た。
この段階のメルカリが今のクラブハウスである。

メルカリはその後メルペイ機能をリリース、メルカリ内で稼いだお金はメルペイを通じてそのまま決済に利用できるようになった。銀行口座への出金も必要ない。つまり、銀行口座が作れない、クレジットカードが作れない人でもメルカリで物を売れば、スマホ決済でコンビニでガムやのど飴を無限に買う事が可能となった。

Clubhouse Paymentsが新に決済サービスとしてその存在感を高めていった場合、このようなプール金を使った決済機能(QRでもICでもなんでも良いが)が必須となる。この機能が無い限り結局は銀行の呪縛から離れる事は出来ない。

そしてこの機能の追加が意味する事は、clubhouse利用者層で現在層の薄い若年層のユーザーの急増である。今日お金ないからお昼食べれません!ライブを女子大生が行えば昼飯代くらい一瞬で稼げるし、会社クビになって携帯明日止められますライブをすれば、携帯代くらいだれかが払ってくれる。

その気になれば、24時間clubhouse繋ぎっぱなしニートチャンネルをつくって、投げ銭のみで生きていきますというコンテンツすら可能である。

この段階になれば、特異なコンテンツを持つ必要すらない。空気が読めて、周りを不快にさせず、安定して自分らしさを発揮できる配信者であれば一定のファンを獲得する事は容易だろう。

6.民間主導のベーシックインカム

「みんな一緒から、それぞれ1つ1つ」の時代に変化したと藤原先生は言った。それは、個人の商品購買のみの話ではない。働き方、お金の稼ぎ方、生活の仕方全てにおいて同様な事が言える。

会社に勤めて給与をもらい生活する必要はない。
自分の生きざまをリアルタイムに配信し、旅をしてもいいし、一日中家にいてもいい、常に特定のチャンネルを開いている私だけのヒモと、大量のタニマチが量産される。

今後富裕層とその他の溝はより大きくなり、その他の働き方は多様化する。仕事の意味も大きく変わる。そのような社会において、個人が小規模なコミュニティを形成し、そのコミュニティからのおひねりで生活をする。

これこそが現在実現可能なベーシックインカムの在り方なのではないか。

7.パラダイムシフトが起こる予感

Clubhouse Paymentsがパラダイムシフトを起こすかはわからない。
しかし、同様のサービスでキャズムを超えるものが現れた時、確実にパラダイムシフトが起こる。

そのタイミングを見計らい、小銭を集める小規模コミュニティ運営者の黒幕となり、巨万の富を築いていこうではないか。そしていたずらに稼いだその金を社会的弱者にばらまき、優越感に浸って生きていきたい。

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