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近鉄が見れなかった景色

こんばんなまらステ❤️Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ⭐️

NPBのクライマックスシリーズも終わってみれば順当な結果で、関西球団同士の日本シリーズは59年ぶりらしい。

しばらくこの対局が続きそうな気もするけどね。

そして両本拠地は2009年以降、近鉄奈良ー阪神神戸三宮間の直通電車によって乗り換えなしで結ばれ、「阪神なんば線シリーズ」というワードが話題なっている。

日本シリーズでここまで露骨に最寄り駅同士が直結する組み合わせは他に埼玉西武ライオンズ🆚横浜DeNAベイスターズしかないので、これが実現すれば「副都心線シリーズ」と呼ばれるのだろうか。1998年にこの対局があったけれど、当時副都心線なんてものはなかった。池袋ー小竹向原のみ開業してて「有楽町新線」とか呼ばれてたけど。

それにしたって「阪神なんば線シリーズ」、誰より望んでいたのは近鉄だったはず。

近鉄奈良線と直通する阪神なんば線が開業して、大阪ドーム(現京セラドーム大阪)を本拠地にする大阪近鉄バファローズが阪神タイガースと日本シリーズを行えれば、沿線はどれだけ活気付くだろうかって。

しかしながら大阪近鉄バファローズは大阪ドームの施設使用料の高さが原因のひとつとなって2004年に球団経営を手放すことになる。阪神なんば線開業の5年前やね。

施設使用料の高さも当然あるけれど、それ以前に自社沿線に直結してない球場に一体誰が試合を観に行くのだろーか。

現在でもNPB球団を経営している西武と阪神をはじめ、球団経営をしていた西鉄、南海、阪急、名鉄、国鉄はみんな自社沿線に本拠地球場があった。

福岡の平和台球場は今見ると西鉄沿線から遠いけど、昔は西鉄の経営するトラムが走っていた。

いまの西武鉄道は西武池袋線を運営していた武蔵野鉄道が母体だけど、それに吸収された西武新宿線を運営していた旧西武鉄道も戦前に東京セネタースという球団を共同経営しており上井草に本拠地球場があった。

戦後に生まれたセネタースは東京セネタースと経営的な関係はないけど、東京セネタースにいた人が結成。東急が買収して東急フライヤーズになるけれど、東急時代は後楽園球場を本拠地にしていて自社沿線ではなく、最晩年の夏以降だけ自社沿線の駒澤球場を使った。

鉄道会社による球団経営の醍醐味は、今でも西武や阪神がそうであるように、野球を盛り上げて鉄道や沿線ビジネスの売上に繋げることでしょ。

パリーグは元々電鉄リーグとして構想された経緯もあり、私鉄経営と球団経営の親和性は極めて高かった。

でもそれ、自社沿線に球場がなくてどーしろっちゅーねん。

東急なんて他の私鉄より遥かに経営は優良なはずだけど、球団経営からは早々と手を引いた。グループの経営にシナジーを与えなかったからね。

そーゆー意味では近鉄は長らく森ノ宮にあった日生球場を使い続けた。

今でこそけいはんな線が大阪Metro中央線に乗り入れる、というか一体運行していて森ノ宮に乗り入れるけれど、当時は東大阪線と呼ばれた長田ー生駒間が開業したのは1986年。

1984年に自社沿線の藤井寺球場のナイター設備が完成したことで、以降藤井寺球場を本拠地にしていたため、日生球場が近鉄グループにシナジーを齎らす存在にはならなかった。

大阪ドームを使い始める前年の1996年までは日生球場も使ってはいたので、東大阪線ができた意味もなくはなかったけれどね。

近鉄は難波・上本町を起点にする奈良線・大阪線系統と阿部野橋を起点にする南大阪線系統に大きく分かれるから、藤井寺に球場があっても前者には響かない。

生駒で奈良線と繋がり、大阪線からでも鶴橋で環状線に乗り換えれば行ける森ノ宮の日生球場を併用する意味もあった。

西武があれだけ辺鄙に思える場所でも沿線に熱狂的なファンを育てることに成功したことを思えば、近鉄も大阪にこだわらず奈良や三重でやったらよかったように思える。橿原神宮の近くとか伊勢中川とかね。奈良県民・三重県民って近鉄への信仰が非常に厚いしさ。

実際、三重でやる構想は出たものの、中日ドラゴンズに反対されたとかで。じゃあ橿原でよかったんじゃないのかと。

沿線にうまく密着できない姿勢が大阪ドームの悲劇を生むことになる。

大阪ドームの話が出たとき、南海ホークスは既になく大阪府唯一の球団になっていた近鉄バファローズは財界のしがらみで断れなかったらしい。

最初、近鉄は天王寺公園に大阪ドームを建設する提案をするけれど、大阪ガスの跡地がいい塩梅に空いてるってことで話がそっちに流れてしまう。

この時点で蹴れていれば、近鉄バファローズはもうしばらくは存続できただろう。結果的に撤退したにしても、合併ではなく楽天などに綺麗に身売りするかたちでファンもある程度は移行したんじゃないのかな。

1988年に南海ホークスが去ったときに難波の大阪球場を本拠地にしたってよかったと思うんだけど、何回か使っただけだった。

あるいは大阪球場の跡地を大阪ドームにすることはできなかったのかと。ここなら奈良線・大阪線は当然として、南大阪線からも阿部野橋/天王寺1回の乗り換えで来れた。

大阪ドームは南大阪線からはまだ天王寺から大正でマシだけど、奈良線・大阪線からは鶴橋で環状線に乗り換えれば乗り換え1回だけど大回りで時間かかるし、地下鉄なら乗り換え2回必要だから億劫。

すると月イチで来てた人が隔月になり、といったかたちで観客が来なくなるのよね。

ちなみに観客動員数の推移を見てみると、1997年の大阪ドーム移転の年は180万人来ていて移転効果があるけれど、翌年からは120万人前後と藤井寺時代とそんなに変わらない動員しかできておらず、近鉄最終年の2014年でも130万人台。

これでは施設使用料がのしかかってくるのは当たり前。

オリックスバファローズになっても動員数はそんなに変化はなかったけれど、大阪ドーム自体がオリックスの持ち物になり施設使用料がかからなくなったうえに、コンサートなどの呼び込みを増やして大阪ドームを儲かる施設に変えた。

そして球団自体もマーケティングが功を奏して2014年以降170万人前後と増えている。

大阪ドームを当初運営していた大阪市は近鉄球団の試合に人が集まらないことに青褪めて、市営地下鉄(現大阪Metro)千日前線と並行するため反対し続けた阪神なんば線の建設を認めた。

近鉄がもー少し交渉上手けりゃ、阪神なんば線の建設を約束させるかたちで大阪ドームに移転することはできたかなぁ。

そーしたら2000年代初頭に開業できたわけで。

今となっては京セラドーム大阪が活況を呈し、新しいファン層を掴んでいることからしてオリックスで良かったと思うもの。

良くも悪くも今世紀の大阪は維新政治とオリックス主導で色々変わってるのよね。

先日、藤井寺球場跡地みてきたけど、もっと球団の歴史を語り継ぐ記念館のようなものはやる気ないのかなと。南海は難波にギャラリー設けてるけども。

仮にそのような施設を置くのなら、むしろオリックスが京セラドーム大阪のなかにやりそうだよね。

近鉄はラグビーチーム(現花園近鉄ライナーズ)の方は持ち続け、コベルコ神戸スティーラーズ(昔の神戸製鋼)とは阪神なんば線を介した交流を続けている。

阪神甲子園球場が高校野球の聖地となっているように、近鉄花園ラグビー場が高校ラグビーの聖地となってることからして、近鉄は野球よりラグビーの方が向いていたんじゃないかと思うものの、

2015年に施設の改修費が出せないという理由で東大阪市に移管したうえ、その指定管理者にすらなっていない。

つまり今の花園近鉄ライナーズは東大阪市に施設使用料を払ってるわけで、近鉄ってスポーツ経営そのものがダメなんじゃないかって気もするけど、どーなんだろ。

近鉄沿線には近鉄バファローズのファンだった人も、当時からそれに見向きもせず阪神タイガースのファンを続けていた人も、近年オリックスバファローズのファンになった人もそれぞれたくさんいるだろう。

様々な想いが交錯しつつ、日本シリーズでは多くの人が阪神なんば線直通電車に乗り込んでいくはず。

それじゃあバイバイなまらステ❤️厚沢部煮切でしたっ✨


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