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しなの鉄道はあの幻想を棄てたみたい

こんばんなまらステ💙💛Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ✨

なんだかんだひと月近く前の話だけど、なかなか衝撃的なニュースがあった。

通常この手の支援はその路線をグレードアップするために要請する。

高速化、複線化、新駅設置、延伸などなど。

ところがしなの鉄道の場合、国鉄〜JR時代の冗長になっているインフラを縮小するための費用をくれ、っていうんだからなかなかビックリな話だし、複線区間の単線化も検討しているというからなかなか衝撃的。

身の丈に合わないインフラの維持費用が高くつくことは想像つくけど、撤去の費用が出せないというのも衝撃的過ぎる。

喩えるなら、同棲相手と家賃折半して月15万円のマンション借りてたけど、

破局して相手が出て行ってしまい、マンションの家賃を払い続けていくのがきついし、広くて掃除も大変。

そこでひとり暮らしに適した月9万円のアパートに引っ越したいけれど、敷金・礼金・保証金・引っ越し代が払えないので仕方なく、部屋を借り続けている、といったところ。

JRはローカル線の行き違い設備を簡単に無くしたりするけど、あれって実はイニシャルコストをサクッとかけれるからやってるんだなぁと。

だけどしなの鉄道って軽井沢ー篠ノ井間は沿線人口に恵まれていて、パンデミック前の輸送密度は7,000人近くいたし、長野以北の北しなの線でも3,300人ほど。

2015年に北しなの線を譲受しても2018年まで黒字を確保していたわけで。

ただ2019年の台風と翌年からのパンデミックのダメージは大きく、現在は赤字基調。

客足の戻りも悪く、この先は少子高齢化がこの路線においても始まっていくことがわかっている。

開業から四半世紀が経ち、この先は先細っていく未来像しか見えていない状況。 

大前提なんだけど、しなの鉄道は1997年に長野新幹線(現北陸新幹線)が開業したことに伴い、JR東日本から分離された旧信越本線の一部で、並行在来線分離の第1号。

信越本線は本来高崎ー長野ー新潟間の路線で、長野新幹線と引き換えに横川ー軽井沢間の通称横軽区間が廃止、軽井沢ー篠ノ井間が長野県主体第三セクターとしてしなの鉄道となった。

2015年には、北陸新幹線が長野ー金沢間で開業、それに伴い長野ー妙高高原間が北しなの線としてしなの鉄道に加わった。(元来の軽井沢ー篠ノ井間はしなの鉄道線になった)

北しなの線は経営的にはお荷物感があるけれど、それが加わっても2019年の台風までは黒字を維持できていたんだから大したもの。

ラッシュアワーの有料指定席列車や他社よりも豪華な観光列車などに加えて、地方の鉄道会社としては珍しく自前の新車を導入するなど積極的な姿勢が評価されていた。

でもここにきて急に後ろ向きなことを言い出した。

それは何故だろうと。

ちなみに旧信越本線は高崎ー北長野間と黒姫ー妙高高原間、直江津ー新潟間が複線だった。

このためしなの鉄道線全線と北しなの線の長野ー北長野間、黒姫ー妙高高原間が複線ということになる。

首都圏ー長野、あるいは首都圏・関西圏ー新潟で需要が多かったのでそこは複線、その狭間になる長野ー直江津間は単線というかたちだったけれど、

北長野の手前に車両基地があったり、北長野自体貨物を取り扱っていたり、あるいは長野ー飯山間では飯山線も乗り入れて本数が多かったり、といったことで長野を飛び出て北長野まで複線、

黒姫ー妙高高原間が複線なのは北長野ー直江津間でここが最も駅間距離が長かったため。

単線の運転間隔は行き違い設備間の所要時間で決まるので、複線化するなら駅間距離の長いところから埋めていくのは定石。

でも、JR東日本になってから手前の古間の行き違い設備を撤去(棒線化)したため、古間を挟む牟礼ー黒姫間が運転間隔の基準になった。

つまり黒姫ー妙高高原間が複線であっても、長野側から電車を走らせる際は冗長なインフラになってしまっている。

ダイヤ乱れなどに対しての柔軟性はあるので無駄とは言わないけれど、維持コストは当然にかかる。

そーであるならばJR東日本からしなの鉄道に譲渡する際、黒姫ー妙高高原間の単線化と黒姫の3番線撤去を要求してもよかったと思う。

つまり2015年当時にまだ経営スリム化の考えはなかったんだよね。

しなの鉄道線側は現状、篠ノ井側から遠ざかるほど需要も供給も減っていく。上田まで1時間に2〜4本、小諸まで1〜3本、軽井沢まで1〜2本というところ。また、坂城まで貨物列車も定期的に走っている。

こうしたことから貨物列車が走らず、旅客列車だけなら単線でもいけそうな上田ー信濃追分間を単線化したい意向を持っている。

単線区間を軽井沢までではなく信濃追分までで止めている理由がよくわからないけれど、軽井沢の観光客向けにトロッコか何か走らせる腹積りでもあるのか。

あるいは軽井沢町でLRT構想があるため、それに呼応しているのかもしれない。軽井沢町も株主だからね。

こちらもしなの鉄道の説明だけ聞いていれば確かにそーだなぁ、という感じなのだけど、全線複線という恵まれた環境を棄てるというのはちょっと抵抗もある。

断捨離のこんまり氏的には片付けのできない人認定なのかもだけど。

これまでしなの鉄道線の上田以東が複線のまま残され、群馬側でもJR東日本が直営かつ複線で横川まで残してきているのには、もちろんしなの鉄道・JR東日本両社にまだ経営的余裕があったからだけど、それとともに地元に燻るある幻想があったからじゃないのかな。

それは碓氷峠を越える横軽区間をいつかは復活させるというもの。

地元では横軽の廃止は充分な理解によって行われたこととは考えられていない。長野オリンピックという時期が決まっている国策のために、強引に押し切られてしまったものだと考えられている。

通常このような県境区間を往来する需要はあまりないけれど、横軽の場合は高崎と軽井沢という魅力のある場所を結んでいたことや、安中にある新島学園に小諸や佐久からの通学があり、未だ惜しむ人が多い。

また、2004年の中越地震で上越線が不通になった際、横軽を廃止したことで旧信越本線ルートから物資を運べないことを悔やむ声もあった。

今回の能登地震では上越線が動いているからいいけれども、今後も日本海側で自然災害が起きた際には横軽があれば…、という声は出るかもしれない。

ただ、国鉄分割民営化の時点で横軽の貨物輸送はやめてるんだけどね。

横軽は66.7‰という急勾配を走ることはよく知られているけれど、貨物列車は横川と軽井沢でわざわざ編成を2分割して走らせていた。そーしないと登り降りできないのよ。

JR貨物的には初めから非効率的だと匙を投げているから、いざ上越線が不通だから横軽を通せってわけにはいかない。

特急が走らない今、旧信越本線を複線で残しておく意味は貨物列車の復活しかないだろう。

政府から直接確認したのか、しなの鉄道とオーナーの長野県が悟ったのかはわからないけど、その目はもうないと判断したから、上田以東の単線化に踏み切ったわけね。

これだけではなく、かつて機関車がたくさん停まっていたため広大だった軽井沢駅構内を三菱地所に貸し出して、ホテル・飲食店・温浴施設・商業施設などの集客施設を建設することも決まっており、既に当該スペースは線路が剥がされている。

三菱地所の設計図では将来的に線路を通すスペースが確保されていないので、その通りにできたら横軽自体の復活がもうできない。

これには地元が猛反発しており、軽井沢町をはじめ沿線自治体がしなの鉄道の株主である以上、抵抗する可能性はあるけれど、

できたとしても軽井沢町が要望するように単線分のスペースしか確保されないから、横軽が復活しても貨物列車の復活はない。だとすれば、軽井沢ー上田間も単線にして構わない。

しなの鉄道にはかつてH.I.S.出身の社長が横軽の復活とJR東日本のまま存置されている篠ノ井ー長野間の譲受を訴えていた時代もあったけれど、それももう完全に昔話ってことなんだろうね。

しかしながら、世の中何が起きるかなんてわからないからできるだけ後戻りができるような構造にしておく必要もあるんじゃないかな。

例えば信号機でなく欧州を中心に日本で埼京線や仙石線で行われている無線で制御するやり方なら、単線と複線を区別する必要がなくなる。

これなら必要な線路だけ残して、残りは一旦レールを剥がすか放置して、北総線における旧成田新幹線用地でやっているようにメガソーラーでも置いておけばいい。

使わないスペースで多少なりとも金を稼ぐなり自家発電で電気代を抑えるなりができ、かつ必要とあらば比較的容易に線路に戻すことができる。

北総線はこのスペースを使って、スカイライナーが一般列車を追い越すレーンにしたらいいと思うんだけど。

軽井沢駅にしたって複線分残しておいてほしいんだけど難しそう。

横軽幻想はこれにて終幕というところなんだろーね。

早いうちに全線にトロッコか馬車鉄道でも走らせておけば、話も全然違ったんだけども。

世界遺産登録だってできた可能性あるし。カールカー=シムラー鉄道より3年先輩なんだしさ。

せめて全区間遊歩道にして、三菱地所の施設にできるスパで汗を流せるコースを確立させてくださいな、ってとこかな。

高齢者は横軽を想い、若者は自然との触れ合いを喜べる道をさ。

それじゃあバイバイなまらステ💙💛厚沢部煮切でしたっ✨



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