見出し画像

いわもとQと嵯峨谷はどこで差がついたのか

こんばんなまらステ🧡Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ⭐️

東京ローカルの話題ではあるけれど、立ち食いそばチェーンの「いわもとQ」が15日付で全店閉店したと話題になっている。

独自の取材で閉店の確率は更に高まったか。

今から10年くらい前は結構ハマってて、

麹町の創業店がまだあった頃で、皇居を走った帰りに見つけたのが確かきっかけ。

2号店の歌舞伎町もよく行ってた。

でも、巡り合わせというか縁遠くなって数年前に久しぶりに食べたっきりになってしまった。

昔の押し出し麺が好きだったけど、それをやめちゃったのも大きいかなぁ。

チェーン店と書いたけど、最盛期で4店だと思うので、11店以上というチェーン店の定義には当たらない。

ただ、一般的に飲食店は4〜5店くらいになると管理本部をしっかり置く必要が出てくる。したがってその規模を超えればチェーン店と呼べるのではないかと自分は考えている。

ここは例えば高田馬場から撤退するとすぐに浅草に出すなどして店舗数を維持し、急拡大しない方針だったと思う。

これは創業者の岩本氏がセブンイレヴンの指導員だったことに関係しているのではないかな。

ひとりのオーナーがまともな組織づくりもせず十何店舗とか経営できるわけがなく、適正な規模も含めて指導してきたんだろーね。

「いわもとQ」は有限会社ライトスタッフが運営し、その本部は古墳時代の遺跡である吉見百穴と若槻千夏の出身地として知られる埼玉県吉見町にあった。

登記簿見てないから断定はできないけど、多分岩本氏の自宅じゃないかな。

家の棚に入る程度の書類と家庭用のPCでどーにかなる程度の規模なんだよ。

東京の立ち食いそばチェーンの3強は「富士そば」「小諸そば」「ゆで太郎」と呼ばれる。

それに比較したら組織化できてないけど、店舗数が結構あるのは「六文そば」「文殊」「笠置そば」だろうか。

そんななか2010年代前半は「いわもとQ」と「嵯峨谷」が新興勢力として伸びてきていると言われていた。

「嵯峨谷」も当時はよく行ったな。

十割蕎麦自体もいいんだけど、当時はプレミアムモルツのジョッキが150円‼️で、蕎麦に盛り放題のわかめをこれでもかと入れてジョッキ3杯で千円いかないくらいなので、

そりゃあもうわかめと蕎麦湯を肴に呑んだものさ。

「いわもとQ」は創業店の麹町から早々と撤退して、2号店の歌舞伎町がフラッグシップになっていき、「嵯峨谷」は渋谷の東急本店前が多分1号店で、それぞれ夜遊び族の癒しの場になっていく。

土日の朝、クラブ帰りのパリピが「嵯峨谷」へ寄るというのが2010年代の定番だったわけで。

「嵯峨谷」も「いわもとQ」と同様、2010年代の後半には自分的に縁遠くなってしまったんだけど、最近久々に行ったらプレモルこそ高くなってた(といっても「日高屋」並み、昔がおかしかった)し、わかめもカウンターの前には置かれなくなったけれど、蕎麦や天麩羅自体は昔とそんなに変わっておらず普通にいい店だなと思った。

「嵯峨谷」もコロナ禍で店舗だいぶ減らしたけれど、最近また増えてるのではないかと思う。

最近出てきてる平仮名の「さがたに」はフランチャイズなのかな。

兎にも角にも生き残っている「嵯峨谷」と滅びたと思われる「いわもとQ」、いったいぜんたいどーして差がついたのか。

「いわもとQ」も「嵯峨谷」も天麩羅はその場で揚げるスタイルだから、回転率が悪いことは理由になりにくい。

双方とも結構値上げはしてきてるけれど、元々安さだけを売りにしてないというか、それによる客離れでもないとは思う。

その点旧勢力は「安い客」の巣窟なので、値上げで相当叩かれてるけれど。

差がついた理由は3つあると思う。

まず「嵯峨谷」は十割蕎麦という明確なコンセプトがある。

十割蕎麦というのは小麦粉を繋ぎにしていない蕎麦100%ということになるけれど、本来的には熟練の製麺技術が必要。

しかし、嵯峨谷はパスタマシーンを使ってそれを成し遂げてしまった。

このパスタマシーン自体は実は珍しいものではなく、多くの外食産業で使われているんだけど、最初にきちんとそれをコンセプトとして打ち出したから強い。

最近のひらがな店舗は「十割蕎麦さがたに」を屋号にしてるしね。

揚げたての天麩羅なり、今でも提供口では盛り放題のわかめ(カウンターではないのでおかわりはしにくい)なり、今でもそれなりに安いプレモルなり、蕎麦に並ぶ名物のあじご飯なり、という「嵯峨谷」ならではの魅力は他にもあるけれど、

それらは全部パスタマシーンによる十割蕎麦というコンセプトのあとについてくるもの。

「いわもとQ」は「ありえないお店を目指す店」というキャッチコピーで、揚げたて天麩羅をはじめ色んなものにこだわりはしたけど、どういうお店なのかイマイチ伝わりにくい。

また、「嵯峨谷」の場合はそれこそプレモルの値段を引き上げたって、それはメインコンセプトではないから許されるけれど、「いわもとQ」はひとつずつのサーヴィスを落とせないしその分だけ品質の保持が難しい。

次にマネジメントの問題。

「いわもとQ」は元セブンイレヴン指導員だった経営コンサルタントが個人経営に極めて近いかたちで始め、コンヴィニ経営のノリで規模を拡大してこなかった。

これは社会の変化に極めて脆弱だった。

パンデミックやウクライナ侵攻による物価上昇は「嵯峨谷」だって苦しんだけれど、組織力のない「いわもとQ」はそれ以上だったのではないかな。

最近になって急に個人の飲食店がバタバタ潰れてる理由として顕著なのはコロナの補助金がなくなったことと、コロナ融資の返済ができないからなんだけど、組織力のない「いわもとQ」もそーなんじゃないかと思う。

「嵯峨谷」は元々「しんぱち食堂」で知られる株式会社越後屋が立ち上げた業態で、ここの創業者江波戸千洋氏は独特の才覚があることで知られている。

お主もワルよのう、ではなくキレモノよのう、という感じなのだ。

最後に経営譲渡先の差。

「嵯峨谷」はその越後屋の子会社から2015年に株式会社フォーユーに売却されている。

フォーユーは熊本が創業地で、博多餃子などの自社ブランドを持ちつつ、九州では大阪王将など全国チェーンのフランチャイズを請け負い、東京では九州料理をやる、というような会社。

飲食のプロがやっていることが、パンデミック下でも活きた。

一方で「いわもとQ」は今年に入って経営コンサルに会社を譲渡したらしい。

恐らくは補助金切れかコロナ融資の返済でキャッシュフローが回らなくなったんじゃないかな。

んで、コンサルからすると「いわもとQ」は儲かる業態ではないという判断になったのかなと。

岩本社長の個人的感覚でやってたようなところあるからね。

月次や四半期での収支を求める人達とは相容れないわけで。

まあ、岩本社長の個人的感覚が潰えたからこーなっちゃったんだけどね。

岩本氏はいくらかの売却益は得たのだろうし、どこかのタイミングでひっそりとまた「いわもとQ」のイズムを継承する店ができたらいいのかなと思う。

個人店の事業承継をうまくやってる会社もあるので、そーゆーところと組むのがいいのかな。

そーいえば「嵯峨谷」のインスパイア店って結構見かけるけど、「いわもとQ」のインスパイアは見かけない。

ビジネスモデルのイニミタビリティ(模倣困難性)が高いというより、儲かる要素が見つけにくいのかもしれない。

うーん🧐

こんな話してたらあの揚げたての天麩羅と独特の蕎麦つゆがまた食べたくなってきた😭

全然訪れてなかったのに無くなって気がつく大馬鹿者がここにいるってことで。

それじゃあバイバイなまらステ🧡厚沢部煮切でしたっ✨


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?