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片肺でもリニアは動くのか

こんばんナマステ🧡Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️

今日は川勝静岡県知事が指摘する、リニア中央新幹線は神奈川県のせいで2027年に開業できない問題について考えてみたい。

まず、リニア中央新幹線には2箇所の車両基地が設置される予定で、

ひとつがJR・京王の橋本駅至近に置かれる神奈川県駅の名古屋側、神奈川県相模原市緑区鳥屋に置かれる関東車両基地、

もうひとつがJR美乃坂本駅至近に置かれる岐阜県駅の品川側に置かれる中部総合車両基地で、後者には工場などが置かれる。

しかし川勝知事が関東車両基地を予定外に視察したところ、用地の買収ができていないことを知って、建設が遅れてるのは静岡県だけじゃねーぞと。

一貫して川勝知事を批判している立場からは、予め知ってた上で結論ありきで視察したんだろ、と。

槍玉に挙げられた神奈川県の黒岩知事は用地の5割は取得できていると反論。

川勝知事による標的のすり替えがあまりいい態度だとは思えないものの、ディベート的には川勝知事の勝ちだと思う。

だって、残り5割がいつ買収できる見込みなのか、あるいは仮に5割の用地による暫定整備でも当面の運行に問題がないようなことを示せなきゃ反論にならないでしょ。

このような意見もある。

「多少、用地買収が遅れても、2027年の開業には間に合うはずだ。本当に用地買収ができなかったら話は別だが。長大トンネルの工事は遅れるが、車両基地工事はそれほど長期ではない。用地買収がどういう状況なのか私は知らないが、車両基地が完成しなくても、夜間はホーム上に停めておけばいい。いろいろ方策があるから、開業が遅れる大きな要因にはならない」

そこでシロウト的に仮に関東車両基地ができなかったらリニアは運行できないのかを考えてみたい。

大前提として、静岡県内を含む本線がすべて完成し、中部総合車両基地も完成しているが、関東車両基地ができていないという仮定とする。

まずキャパシティを確認しておく。

中部総合車両基地は図面を見る限り、検修などではない単なる車両の留置線は9本。

https://company.jr-central.co.jp/chuoshinkansen/efforts/briefing_materials/briefing_session/_pdf/gifu_faq.pdf

これ以外は前出のリンク先で株式会社ライトレール阿部氏が言うように駅に車両を留め置く必要がある。

通常夜間留置は折り返しのできる駅でやるので、そう考えたら品川と名古屋のみになる。

線路は4本ずつあるので4編成ずつ留め置けれないわけではないけど、何かあった時の余裕も考慮しなきゃいけないから2編成ずつが現実的。

つまり中部総合車両基地9編成+品川2編成+名古屋2編成の合計13編成のキャパシティを持つことになる。

だとするとドクターイエロー的な車両は中部総合車両基地の留置線以外の線路に置くとして2編成を予備に置いとくとしたら11編成を走らせられるということになりそう。

では実際にどれくらいの編成数が必要になるのだろうか。

品川ー名古屋間の所要時間はノンストップで40分、ひと駅につき8分遅くなるとしていることから各駅停車は72分と考えられる。

本数は1時間あたり最大で速達列車型7本、各駅停車1本としている。

https://company.jr-central.co.jp/chuoshinkansen/efforts/briefing_materials/library/faq/q30.html

ひとまず速達列車型はすべてノンストップ40分走行、等間隔で7分の1時間(約8分34秒)、各駅停車型は32分走行で1時間間隔と仮定して、計算を単純にするために速達列車型と各駅停車型の車両は混用しないものとする。

また、MAXの本数で走らせるときは名古屋で折り返して中部総合車両基地に回送、またはその逆の列車もないものとする。

必要編成数を計算してみると、速達列車型は13編成、各駅停車型は3編成になる。

1回転は往復走行時間+両端の折り返し時間となり、これが運転間隔の整数倍になる必要がある。

速達列車型は往復走行時間が80分なので、今の東海道新幹線の折り返し時間を考えると、どうしても1回転を7分の13時間(約111分26秒)にしなきゃいけない。それでも折り返しは16分弱しかなくだいぶキツい。

各駅停車型は往復144分なので1回転180分、60分で割って3編成とわかりやすい。

そうなるとJR東海が掲げるダイヤのためには15編成が必要で、キャパシティはそれにまったく足りてないことになる😱

んじゃあ最初に仮定した11編成に見合うダイヤとはどんなものなのか。

各駅停車型の3編成は動かしようがないので、残り8編成をどう使うか。

折り返しは最低でも15分ずつ必要だとすれば、1回転は110分以上になる。

110分以上で8編成を、60分で割り切れる間隔で回すとしたら、1回転120分の15分間隔という答えが出てくる。

つまり1時間に4本の運転ということ。

通常は1時間あたり速達列車型4本、各駅停車型1本で、臨時で速達列車型を3本増発するという予定だから、一応通常運行については可能ということになる。

これが中部総合車両基地しかない「片肺運行」の限界。

どうにか予定のダイヤに間に合わすには関東車両基地に9本置かれる予定の留置線に対して取得できた用地に5本だけ整備する「1.5肺運行」ができればいいことになる。

もちろん夜間留置数をもっと増やす努力をしてもいいのだけど、黒岩知事とJR東海は早急に13編成の運用が可能であるような道筋を立てて川勝知事を論駁すべき。

なお、関東車両基地が予定通り完成した完全体かつ運用を工夫すれば1時間あたり速達列車型8本、各駅停車型2本というわかりやすく利便性の高いダイヤも実現できる。

ちなみに東海道新幹線は200編成近くを持っていてこの話とはまったく次元が違う。リニアはそれだけ速くて回転がいいんだよね。

先日はリニアの輸送力の小ささを憂慮したけれど、もっと輸送力を増やしたければ当然いまの兵站では全く足りない。

東海道新幹線の車両を減らして大井などの車両基地を転用したり、山梨県都留市付近に車両基地兼新駅を設置して富士山アクセスを担うとか、伊丹空港を廃港にして車両基地を設けるとかいろんなことを考える必要がある。

関東車両基地がうまく用地取得できないのなら、都留市はいいと思うんだよね。リニア実験線付近でゴルフ場にどいてもらえば広大な基地が造れそう。

ここから富士山五号目までの山岳鉄道に乗り換えられたら、ものすごいインパクトになるはず。

スケールのでかいインフラ造る割にはJR東海も沿線自治体も考えのスケールがちっちゃいのが気になるところ。

それじゃあバイバイナマステ🧡暑寒煮切でしたっ✨









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