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並行在来線は詰んだのか・下

こんばんなまらステ💚💚💙❤️Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ✨

北陸新幹線敦賀延長、ハピラインふくい開業直前という段階で、昨日・今日と整備新幹線の副産物である並行在来線について考えてみる後篇。

昨日は並行在来線の生まれた経緯を整理し、その問題点を出してみたので、今日は今後どーしたらいーのかを考えてみたい。

並行在来線が生まれる前提としては、国鉄ではなく独立採算制を採るJRだから、ということがまずある。

国鉄復活論も一部にあることは承知しているし、人口減少が加速していけば考えていかざるを得ないときも来るかもだけど、現時点では並行在来線問題の解決策として提示するにはスケールがあまりにも大き過ぎる。

JRが旧国鉄路線の大半を運営するという枠組みのなかで解決策を考えていきたい。

ここで頭の体操するよ💕

北陸本線や鹿児島本線は誰が見ても並行在来線だけれども。

西九州新幹線に対して明らかに並行している大村線が並行在来線にならないのに、並行してない長崎本線のローカル区間の方がそーなるのはなあぜなあぜ。

一方でいまは特急が定期的に走ってない函館本線の長万部ー札幌間の通称山線は並行在来線になってて、海線と呼ばれる室蘭本線の方はそーならないのはなあぜなあぜ。

九州と北海道で二律背反が起きてるよね。

どっちが正しいのか❓

道産子には本当に申し訳ないんだけれど、これは九州が正解❣️

並行在来線問題の経緯を思い出してほしい。

在来線は客単価の高い特急が走ることで成り立っている。その役目が新幹線に行ってしまえば、ローカル列車だけで在来線が成り立たなくなってしまう😢

JR各社がそれを理由に新幹線の新規建設に反対したため、説得するために採算の取れなくなる在来線は経営分離していいよ、っていうのが並行在来線の誕生経緯。

大村線に元々博多・佐賀と長崎を結ぶ特急が走っていたわけではないから、経営分離する大義名分はないわけよ。

逆に長崎本線の県境区間は特急が無くなることで明らかに採算性が悪化するから、並行在来線ということになる。

なお熊本・鹿児島県境区間において第3セクターの経営が明らかにヤバいのを目の当たりにした佐賀・長崎両県はインフラを県が持つという意味での経営分離はしたけれど、そのための第3セクターを新設することについては突っぱねて30年間はJR九州に引き続き運行を続けてもらうことにした。

これは並行在来線議論の新たな選択肢の登場という意味で評価できること。

したがってJR北海道が山線を分離しようとするのは便乗分離。

ついでに函館ー新函館北斗についても分離する意向だけど、これも並行在来線のスキームを適用するには拡大解釈でしょ。

JR北海道は新幹線が走れば山線のローカル列車から乗客を奪うし、函館駅まで特急が走らなければ収益が悪化するとでも言うのかもだけど、それは並行在来線の定義としては苦しい。

並行在来線の分離を協議すべきは新函館北斗ー長万部間プラス海線でしょ。

まあ、いまは輸送密度1,000人未満の路線については新幹線とか関係なしに存廃論議が行えるようになったわけで、山線は小樽ないし余市以西でこの基準に該当するんだけどね。

山線については新幹線関係なくそちらを議論していただきたく。

並行在来線については新幹線の前身である在来線特急が走っていた区間、ということで統一したい。

そのうえで並行在来線のどの区間をどう分離していくかについても今はバラバラ。

旧東北本線や旧北陸本線は有無を言わさず全線が分離されている。

これは県庁所在地をはじめとした人口の多い区間が含まれることが多いため、引き継いだ第3セクターの経営安定にも繋がりやすい。

ただし、花輪線、飯山線、七尾線、九頭龍線(越美北線)といった都市部の郊外で分岐していた路線は、一部で第3セクターに乗り入れることになるため初乗り運賃の二重化でこれらの路線の衰退に繋がっておりとんだとばっちり。

これとは逆に他の路線との兼ね合いで、その区間はJRとして残すやり方もあり、篠ノ井ー長野間と五稜郭ー函館間が該当する。

今度は新幹線と関係のない他の路線が守られる反面、第3セクターが都市部を持てなかったり、初乗り運賃の二重化に苦しむことになる。

要するにこれは二項対立。

でもちょっと待ってほしい。

例えば目黒ー白金高輪間は東京メトロと都営地下鉄が共存しているし、JRと第3セクターという事例でも七尾ー和倉温泉間がそう。

同じことができない理屈がいったいどこにあるのか。

これはJRと第3セクターの大半を出資している各県の間で話し合えばすぐにでも解決できる話。共用区間のみ乗車した際の運賃収入の按分については、可能なら長いホームの前後で改札を分離するとか、それができなくとも令和のご時世なんだからビッグデータを活用するなどすればいい。

これさえできれば、どちらの方式が優れているなんて論争自体がいらなくなる。

ただ、JR東日本やJR西日本は第3セクターへの情けとして都市近郊輸送の収入を総取りさせてあげてる部分もあるので、余計なこと言うなって感じかもね。分離と共用の論争が生まれるかもしれない。

JR東日本やJR西日本と比較すると経営基盤の弱いJR九州は第3セクターに対して辛辣であり、利用の多い区間は露骨に自社で残し、ローカル区間のみを分離している。

JR北海道にしても小樽ー札幌を分離しないのは自己中と言われたらそうかもしれない。

ただ、先述したように長崎本線のローカル区間については熊本・鹿児島両県の惨劇を目の当たりにした結果としてローカル区間は県でインフラを保有しJRでの運行を続ける。長崎都市圏では引き続きJRがすべてを保有するという形態になったため、一定の納得感はある。

この納得感をきちんと数値に落とし込む必要もある。

西九州新幹線ができる前の輸送密度はパンデミックの影響がない2018年度で見ると肥前山口(現江北)ー諫早間が8,334人、諫早ー長崎間が18,220人となっている。

鹿児島本線のケースから、特急が走らなくなると輸送密度はおよそ3分の1に落ち込む。したがって上記の数値を3で割ってみれば、新幹線開業後の未来は見えてくる。

もちろんJRは特急と普通の乗客数についてはもっと厳密なデータを持っているけど、あくまで目安ね。

諫早ー長崎間は6,000人程度は確保でき、国鉄分割民営化時点での廃止基準である4,000人を上回る。ちなみに大牟田ー熊本間よりやや少ない程度。

これに対して江北(新幹線開業後なので)ー諫早間は2,000人台でローカル線としてはマシな水準ではあるもののアウト。

新幹線開業前で輸送密度12,000人というのがひとつの分水嶺であることがわかる。

なお、この区間は既に貨物列車が走っていない。貨物列車の輸送密度については公表されていないけれど、現時点で定期的に走っていればJR貨物にとって必要な路線と考えることはできる。

そこで並行在来線についてこのような形態にしてみるのはどうか。

旅客12,000人以上→JR旅客各社が引き続き運営
旅客12,000人未満で貨物列車が定期的に走る→JR貨物に移管、旅客列車はJR旅客各社が引き続き運行
旅客12,000人未満かつ貨物列車が定期的に走らない→都道府県に移管、旅客列車はJR旅客各社が引き続き運行、ただし都道府県は廃線の選択も可能

これは割と納得いくんじゃないかな。

ここで北海道新幹線の新函館北斗ー札幌間開業時の並行在来線をシミュレーションしてみたい。

先程述べたように函館ー新函館北斗間や山線は並行在来線ではないので除外する。

山線の長万部ー余市間についてはそもそも輸送密度1,000人未満のため廃線論議は可能。ほぼ並走する都市間バス高速いわない号、高速ニセコ号さえ無くせば、倶知安あるいは蘭越以東は1,000人超えそうな気はするけどね。

長崎本線と同じく2018年度で函館ー長万部間3,650人、長万部ー東室蘭間4,804人、室蘭ー苫小牧間6,764人、苫小牧ー白石間46,416人。

苫小牧から先は議論するまでもなくJR存続。

函館ー長万部間の数値となっているけど、このうち新函館北斗以北が以南より数値が高いことは考えられないので、ここはJR貨物に移管が妥当。

長万部ー苫小牧間もその基準ではあるのだけど、そもそも東室蘭ー札幌間の需要が多いので東室蘭ー苫小牧間は新幹線開業で4,000人を下回るとは思えない。

長万部ー東室蘭間はJR貨物に移管してもいいとは思うものの、新幹線開業により東京や仙台と室蘭・苫小牧が結ばれる効果は未知数。減るどころか4,000人を上回る可能性すらあると思う。

現時点でJR北海道が海線の経営分離を考えていないのはそういうこと。

JR貨物や都道府県に移管した路線については、移管前のローカル列車運行本数を原則維持し、運賃は地方交通線扱いにして少しだけ値上げするというのはどうだろうか。

こういう扱いにしたら地域の反発も減り、混迷している佐賀のみならず四国などへの新幹線整備が加速できる。もちろん都道府県移管は簡単に決断できるものでもないけれど、JRから取り残されるわけじゃなくなることは心理的に大きい。

ただし、少しもやっとする部分もある。

それは並行在来線を譲受した第3セクターのなかには増発や観光列車など積極経営で、移管前より便利になっている路線もある。ある種の社会主義を導入してしまえば、資本主義の良さも消えてしまう。

そこで並行在来線はJRとは別に地域オペレーターが参入できるようにする。

基本的には都道府県単位の第3セクターということになるだろう。

その地域オペレーターが増発分や観光列車、さらに言えば新幹線と競うような快速を走らせてもいい。

JRはそれがイヤなら同じような快速を出したり、露骨に新幹線を値下げしたりすればいい。

今みたいに貨物調整金によって競争が生まれないようにするのは誰も幸せにならない。

この制度ならJR西日本はサンダーバードとしらさぎを福井まではちゃんと走らせると思うよ。敦賀より全然新幹線に乗り換えやすいから、福井だけでなく金沢までも便利になる。

今のままじゃ関西・名古屋ー福井・金沢間の輸送はハピラインや高速バスに取られてしまうよ。

JRの他に地域オペレーターを参入させる、というのはフランスにおけるTERをモデルにしている。

フランス国鉄がTGVをはじめとした広域的なサーヴィスを担うのに対して、州ごとにTERというオペレーターを設けて近郊輸送を担っている。

本当はJR在来線の大半でこれをやってもいいと思ってるけど、並行在来線になることで一旦キャパシティに余裕ができることから、先行してこれをやればいいと思う。

さて、仮にここまで書いてきたような並行在来線をJR+日本版TERによって運営する制度に切り替えるとして、

これまで並行在来線を第3セクターで走らせてきた各県はどう出るだろうか。

大半はこれに従うだろうけど、富山県はこれを拒否するだろうね。

県を挙げて鉄道を守る気概のある富山県では並行在来線に加えてJRから城端線と氷見線を譲受することが決まっているあいの風とやま鉄道をはじめ、富山地方鉄道や万葉線といったオペレーターの株主構成が類似しており、最終的にこれらは一元化に向かうだろうと見ている。

県民としても大阪や新潟への特急が無くなったことや新高岡のアクセスへの不満はあるけれど、全体的には昔より今の方がよくなったと思っている。

それはそれで尊重したい。しかしながら、逆にJRの並行在来線再参入は認めてもらいたい。

北陸新幹線ができるまでは富山を早朝4時台に出る特急サンダーバードの需要が高かったし、金沢と新潟を結ぶ特急の復活論も根強い。

JR西日本が誇るクルーズトレインも北陸に乗り入れたら価値はもっと上がる。

貨物調整金のおかしな仕組みがなくなれば、別に今の枠組みだってできるけれども、JR区間に日本版TERの参入を認めるなら、逆も認められて然るべき。

このときは調整金じゃなく、線路使用料をきちんとJR貨物に請求しなきゃダメ。JR貨物はそれがしんどいのであれば物流を滞らせないための補助を国にきちんと請求すべき。そのために貨物は国営にしたんだからさ。

富山だけでなく北陸3県はそういう道を選び、県内の鉄道事業者を一元化していく方向へ進むかもしれないね。

新幹線の貸付料収入に対して並行在来線の赤字額は極めて小さいということも挙げておく。

貸付料で並行在来線を賄う仕組みでもいいかもしれないしさ。

道はひとつじゃないと思うし、そーゆー多様性はあってもいい。

一般的に新幹線ができれば並行在来線は特急が減ったり無くなったりする分だけ可能性が拡がるはずなんだよ。

ところが整備新幹線の並行在来線は可能性を狭めるようにできていて、これはおかしいと言わざるを得ない。

急拵えで仕上げたスキームのせいで人を泣かせるのはもうやめにしようよ。

整備新幹線と並行在来線はいじめ、イスラエルとパレスチナのような構造ではなく、互いに手を取り合える関係になれるはず。

それじゃあバイバイなまらステ💚💚💙❤️厚沢部煮切でしたっ✨





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