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歴史的大洪水のパキスタンにはどんな世界遺産があるのか🇵🇰

はじめに

こんばんナマステ💚Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️

昨夜のClubhouseを聴いていただけた方はありがとうございました❣️

今日は早速、昨日の講義内容をテキストにしていくよ。

音声版もあるので合わせて聴いてね(約26分)✨

今回は2022年6月以降のモンスーン降雨による洪水で国土の3分の1が水没、死者1,000人を超える大災害に見舞われているパキスタンに対して何かできないかな、という緊急企画。

それでなくとも4月の政権交代を招いた経済危機や隣国アフガニスタンの情勢など8月14日で建国75年を迎えながらもとても苦しい状況にある。

しかし来月になれば気候は乾き、コロナ禍ももうじき終わりを迎えることで観光による復興支援というムードも出てくるだろう。

実際、2005年のカシミールにおける震災後はそうなった。

ということで、今回は各国観光政策のなかでも代表的なツールである世界遺産にフォーカスを当て、パキスタンの世界遺産について解説していくことにする。

ゴールデントライアングルツアーの方ではなにかの一つ覚えみたいに世界遺産ばっかりでどーなの❓って書いてるから、まあどんな二枚舌だよ、と思うかもだけど、世界遺産そのものを否定しているわけじゃないからね。

それを実質3日間でこなそうとする浅はかな人達をどげんとせなあかんということで。

ということで見ていこう❣

パキスタンの観光概説

パキスタンの外国人訪問数は2018年で190万人ほど、近隣のスリランカ🇱🇰と互角。世界では100位前後。

参考までに日本はこの年、3119.2万人。2020年までに3,000万人超えという目標は前倒しで達成され、今度は2020年までに4,000万人を目標なんて言ってた頃。

ちなみに2.4億人を擁するパキスタンと2,000万人を少し上回る程度のスリランカではGDPも3倍以上違うから、観光産業への依存度も全然違う。

スリランカの経済が破綻してしまったのはコロナ禍で観光産業が壊滅したため。この人口では国内旅行を増やして穴埋めしろっていったって無理がある😭

まあ、コロナ禍という特殊な状況がなければスリランカは観光産業の優等生で、パキスタンはまだまだこれからの国だということはわかると思う。

パキスタンのインバウンドは2008年でおよそ80万人だったので10年間で倍以上の伸び率を見せているのも事実。

多様な自然や民族の文化、人々の性格の良さを有するパキスタンの観光ポテンシャルは高いと言われ、ロンリープラネットなど英語圏のメディアや観光組織はたびたびパキスタンを次の旅行先としてリコメンドしている。

特にカーン前首相の政権下では観光産業で稼ぐことを訴え、2017年までの軍事作戦でテロリストや武装勢力の鎮圧に成功し、情勢を安定させることで観光客を増やす一因になった。

コロナ禍が終われば、パキスタンに行ってみたいという人ももっと増えるはず。

それではここからパキスタンの世界遺産をひとつずつ解説していく。インドに較べて数が多くないからね。

モヘンジョダロの考古遺跡

紀元前2500年から1800年にかけて繁栄したインダス文明最大級の遺跡であり、インドのタージマハール、エジプトのピラミッドのような誰もが知るパキスタンの名刺代わりといえる遺跡。日本なら遺跡ではないけど富士山が名刺代わりなのかな。

パキスタン南部シンド州にあり、州都カラチから北東420km、首都イスラマバードからは南西1000km。結構行きづらい場所ではある。

シンドは川のことで、インダス川を指す。インド、ヒンドゥー、そして天竺もこれが語源。要するに日本でいえば大和の国、奈良のようなところ。それが自国領ではない、というのが現代インドの実情なのよ。

ここにも「川」って書いてあるでしょ。

さて、モヘンジョダロは1922年に発見され、死の丘と名付けられた。ものものしい💦

そして、1980年にはパキスタンで最初の世界遺産(文化遺産)に登録された。

4万人が住んだと言われる古代都市の衰亡は洪水被害だったと言われている😨

川に依拠した文明だからそーなるのかな。

モヘンジョダロはインダスのたまもの。

なお、インダス文明としては2021年にはインド側のドーラヴィーラ遺跡が世界遺産登録された。

両国の間にはインダス文明はどちらのものか、的な対抗心もあるけど、今後は連携が待たれる。

ちなみにドーラヴィーラは『インドの衝撃』で初めて喋った時に取り上げた。

ドーラヴィーラとラマッパが世界遺産になる直前というタイミングだったんだ。

なお、現在のモヘンジョダロは調査隊が発掘したまま埋め戻さなかったり、塩害により遺産のダメージが大きい。

パキスタンのインダス文明の遺跡としてはハラッパーも聴いたことあるかもしれないけど、こちらはまだ世界遺産登録はされていない。

ちなみに北東部パンジャーブ州の州都ラホールから南西200kmのところにあり、インド国境にも近い。

タキシラ

パキスタン北東部パンジャーブ州にあり、首都イスラマバード近郊でアクセスは容易。パキスタンの世界遺産で最も行きやすいはず。

紀元前6世紀に始まるガンダーラの遺跡で、当初はアケメネス朝ペルシアの一部でゾロアスター教だったけど、アショカ大王の時代には仏教の中心地であったことから仏教の遺構もあるので日本人には親しみやすいのでは。

1980年にモヘンジョダロと同時に世界遺産(文化遺産)に登録。

タフテ=バヒーの仏教遺跡群とサハリ=バハロールの近隣都市遺跡群

パキスタン北西部カイバル=パクトゥンクワ州(旧北西辺境州)にあり、州都ペシャワールから北東67km、首都イスラマバードからは北西160km、タキシラからは北西130kmでイスラマバードからタキシラを経由してペシャワールへ向かうルートが効率的。

タフテ=バヒーとサハリ=バハロールは5km離れていて、1世紀から7世紀のガンダーラにおける仏教遺跡。

これもモヘンジョダロ、タキシラとともに1980年に世界遺産(文化遺産)登録。

ラホールの城塞とシャーラマール庭園

パキスタン北東部パンジャーブ州の州都にしてムガール帝国の古都、そしてパキスタン第2の都市でもあるラホールにある、ムガール帝国にまつわる城と庭園。

首都イスラマバードからは南300km、インド側のアムリトサルは西50kmで外国人は比較的容易に国境を越えられるが、両国民はなかなか移動許可が下りずラホールはインド人にとっても憧れの古都。

北朝鮮側にある高麗の王都開城(ケソン)を想う韓国人の状況によく似ている。というかパキスタンとインドの関係自体が南北朝鮮とよく似ている。

現在のラホール城はムガール帝国第3代皇帝アクバルの時代に再建されたものだけど、ラホール城の歴史はもっともっと古代にまで遡るといわれる。

シャーラマール庭園は5代皇帝シャージャハーンが造営した。

1981年に世界遺産(文化遺産)登録されるも、道路の拡張工事で給水塔が破壊されたことがUNESCOから問題視され2000年から2012年まで危機遺産となったけど、世界遺産に配慮した都市計画に改められたため解除された。

この件はここでも語ってるよ❗️

タッターの文化財

パキスタン南部シンド州にあり、州都カラチから東100km。アレキサンダー大王時代からの歴史があるが、現在残る文化財はマクリーの丘などムガール帝国時代のもの。

1981年に世界遺産登録。シャージャハーンが建てたバードシャーヒーモスクは当時世界最大、現在でも5指に入る大きさのモスク。

ラホールとともに1981年に世界遺産登録された。

ロータス=フォート


パンジャーブ州にあり、首都イスラマバードから南東116km、州都ラホールから北西220km、イスラマバードからラホールに行く途中で寄るといい。

16世紀、ムガール帝国初期のライバルでアフガニスタンから北インドにかけてを征服したアフガン系のスール朝がムガール帝国を退けるために建てた城塞で、パシュトゥーン建築とヒンドゥー建築の融合、つまりアフガンとインドのフュージョンが特徴。

ちなみにスペルはRohtasで、蓮じゃないんだよー‼️

1997年に世界遺産(文化遺産)登録。パキスタン16年ぶりの世界遺産。

パキスタンの世界遺産戦略とその変容

パキスタンは世界遺産条約にアジアで2番目に早い1976年に締約しており、1980年に一気に3件の文化遺産を登録。

翌81年にも2件の文化遺産を登録しているけれどその後は1997年に1件の文化遺産を登録したのみで、合計は6件のみ、かつ文化遺産のみに留まっている。

1980年は挨拶がわりに考古学的な価値のある遺産を推薦し、翌年はムガール帝国の後継国家を自負する国としてナショナリズムに帰する遺産を推薦したといえるよね。

その後だいぶ空いて1997年のロータス=フォートとなり、ムガール帝国の敵の遺産を推薦したのは観光ルート構築のためではないのかと邪推する。

ただ、アフガンとインドの融合文化は現代パキスタンの象徴ともいえるけど。6件の世界遺産のなかで最も今のパキスタンにつながってるのはラホールではなくロータスだと思う。

その後、パキスタンは世界遺産を1件も推薦できずにいる。

日本やインドが毎年世界遺産を推薦していることは決して当たり前のことではなく資金や政情が安定していなければできないことなのだ。

とはいえ世界遺産登録の前段階となる暫定登録リストへの掲載は今世紀に入っても続けられていて、前出のハラッパーなど相変わらず文化遺産ばかりだったけど、

2016年になって北部ギルギット=バルティスタン州の中央カラコルム国立公園、

同州のデオサイ国立公園、

西部バローチスタン州のジアラット=ジュニパーの森と自然遺産候補が掲載されるようになった。 

ようやくパキスタンも自然環境の保護や観光振興を考えるようになったということ。

カーン前首相の時代だしね。

世界で2番目に高い山はパキスタンにあるって知ってた❓

誰のための世界遺産なのか

パキスタンに限らないけども、小国や発展途上国は世界遺産の推薦自体が困難で、これらの国の世界遺産はなかなか増えていかない。

先進国や大国においても世界遺産に登録されることで乱開発の抑止に繋がっており、先進国や大国の世界遺産が増えていくこと自体を否定はしないけども、

国力に左右されることなく人類共通の遺産として守っていくという当初の理念からは明らかに外れている。

世界遺産のはじまりはエジプトのヌビア遺跡をアスワン=ハイ=ダムの開発から守ることだったんだから。

また、登録して終わりではなく保全も大きな課題。

モヘンジョダロの現状を見れば危機遺産に登録されていないのはUNESCOの目が節穴に思えても仕方がない。

自国の力のみで遺産を保全していくのが難しい場合にはもっと能動的に手を差し伸べ、そしてそれらの国の保全能力を育成していくことが必要なのではないかにゃ。

暫定登録リストに掲載された物件は推薦がなくても自動審査、自国で遺産を保全する能力に乏しい国は危機遺産の自動審査、くらいのことはしなきゃね。

今日の洪水被害は地球温暖化による氷河の融解が理由とされ、パキスタンのみが手に負えるものじゃない。

根本原因を止めることは難しいけれども、少なくとも今の洪水被害に対しては世界各国の援助が不可欠であるとともに、

今後パキスタンにエコツーリズムをはじめ、サスティナブルツーリズム、リジェネラティヴィツーリズムといった先進国で言われている意識高い系ツーリズムの要素を根付かせる支援も求められているんじゃないかな。

おわりに

こういう話を聞いてパキスタンのために何かしたい、と思った人にとって一番手短にパキスタン人と触れ合えるのは、レストランだと思う。

特に北関東や富山県西部に多いけど、探せばあなたの近所にも結構あるはず。 

ほぼエリートしか来日してないインド人と違って出稼ぎ労働者が大半のパキスタン人は日本にどんどん増えている反面、あんまり情報発信しないからこちらから近付かないと情報を得にくい。

こういう店に行ってガンガンお店に人にパキスタンってどんな国なのか❓って聞いてみるといいと思う。

インド・パキスタンレストランとか、インドレストランの肩書きもあるけど、店名がイスラームの用語やムガール帝国に関するものの場合はパキスタン人の可能性も高いのでまずはどんどん虎穴に入ろう。

そうそう、インドに興味がある人が集まる場で話したので、

インドのスタンプがあるパスポートは大丈夫なのか❓

パキスタンのスタンプがあるパスポートでインドに入れるのか❓

っていう質問が出た。

多少入国の際聞かれるかなー、程度。ホントに心配ならパスポートを作り直しちゃえばいいけどね。

パキスタンの血が入ってる場合はまた別。申請画面でパキスタン云々何度も聞いてくるしね。

谷まりあはインドロケは厳しいんじゃないかな。

何かあればインド大使館に直接掛け合えるので、パキスタンに親族のいる方は相談してね。

過去に何社も撃沈した北朝鮮籍の方のヴィザを取った実績もあるので。

それじゃあバイバイナマステ💚暑寒煮切でしたっ✨

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