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開幕一周間前のTRMで見えてきたペッキア・アビスパの雑感

みなさん、こんにちは。

先ほど福岡から僕が一人暮らしをしている佐世保まで帰ってきました。帰ってくる途中に気温が表示される場所があるのですが、マイナスが表示されている時は笑うしかありませんでした。

いまはゆっくりと身体をあたためながらこの記事を書いている次第でございます。

それでは本題に入っていきたいと思います。

今回は先日(2月16日)に行われた駅前不動産スタジアムに改名後初めてのトレーニングマッチを観てきたので、そのまとめをここに書き上げてみます。いつものように細かいメモを取ることができていないので、精度は低いかもしれませんが、アビスパ福岡サポーターの皆さんの観戦の肴になることができれば幸栄です。キャンプにも行けておらず、ペッキア・アビスパの変化点などは計測できていませんが、現時点におけるチームのクオリティを記事にできたたらと思っています。

なお、この雑感では攻撃と守備の2つのフェーズを中心に書いてみたいと思います。

(※ヘッダーの写真はSNS投稿が禁止されているトレーニングマッチの際に撮影したものですので、ぼかし加工がしてありますが指摘があればただちに変更いたします)

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・スターティングメンバー

最初にスタートのメンバーをメモがてらに書いておきます。これがおそらく開幕戦でもファーストチョイスとなる可能性が最も高い選手たちなのではないかと思います。

GK:セランテス
DF:左から輪湖、三國ケネディエブス、實藤、石原
MF:センターハーフに鈴木、田邉、サイドハーフには右に松田力、左に木戸(途中で左右のチェンジもあり)、トップ下には石津
FW:城後
(敬称略)
FWに関しては城後選手と石津選手が縦関係になるような形で、石津選手はサイドバックからのボールの引き出しや(石津ロール)相手チームのビルドアップ時のファーストディフェンダーとして動いていました。

1)攻撃:相手陣内での選択肢が豊富になっている

まずは攻撃の面についてですが、新監督のファビオ・ペッキア監督のやりたいサッカーは去年の井原元監督とは大きく異なっていることが分かりました。

①ビルドアップ

その特徴としてはディフェンスラインからのボールを繋いでの攻撃の部分、つまりはビルドアップがの精度がかなり上がっているようです。この日のファーストチョイスに選ばれたのは、青森山田高校で全国制覇を果たした三國ケネディエブスくんと實藤選手の二人。ショートパスを用いてボールを前線に運んでいく場合においては、彼らの選択肢の選び方には必ず狙いがあったように感じます。

去年はとりあえずサイドに出して輪湖選手や古賀選手の所には何のサポートもなく、後ろに戻すか、ゴールに近い位置にも関わらず無理やり一枚と1vs1をさせられるような局面が印象的でしたよね。それに対して今年はサイドに出すにしても次の一手が必ず用意されており、サイドバックにボールが出た時点での周囲のサポートが非常に手厚くなっています。見ていて非常に安心するゲームが去年に比べると保証されていることは間違いないでしょう。

サイドバックがボールを持つと、縦には松田選手、中央には左右に動く石津選手、さらに横には田邉選手がボールを受けに入ります。サイドにこれだけ選択肢を提示してあげると、相手チームからするとすべてのコースを潰しにいくとするならばプレーに関与する可能性の低い逆サイドを開けざるを得ません。

そうなったタイミングで鈴木選手や田邉選手、あるいはセンターバックの二人が高精度なロングボールで逆サイドに展開をしてきます。そして、逆サイドである程度余裕のある状態でボールを持つことができる木戸選手や松田選手はそのまま得点を狙いにいく力もありますし、サイドバックがグンっと上がってきてクロスの選択肢も作りにいきます。かなりシステマチックに整備されている印象がありますが、物凄く広い言い方をするのであれば今年のアビスパは攻撃において選択肢が豊富なサッカーを見せてくれるのではないかとこのトレーニングマッチを見て思いました。

サイドを縦横無尽に走り尽くせる石原くんや器用なプレーが得意な輪湖選手を攻撃の駒として使ったり、逆サイドにボールを展開させる所では鈴木選手や田邉選手のキックを活かしたり、そしてフィニッシュのシーンでは石津選手のドリブル&キープ、松田選手や木戸選手の裏抜け&フィニッシュといったようなそれぞれの選手の特徴を上手くかみ合わせてきたなと感じたビルドアップでした。

②ポジティブトランジション

ポジティブトランジションというのは、「守備から攻撃に入れ替わるフェーズ」のことで、要するにボールを奪ってからどういった手段で攻撃をしているのかという評価方法ですね。大体はボールを奪ってすぐに相手のゴールに迫るカウンタースタイルとボールを奪った後にまずは自分たちのボールで安定させるためのポゼッションスタイルに分かれるのが主です。

このペッキア氏のサッカーを見ていると、目立ったのは後者のポゼッションスタイルを志向しているように感じました。もちろん、得点差や試合の時間などによってもどちらを重視しているかは分かれますが、じっくりとボールを持ちながら相手の陣形に穴を作っていくようなサッカーを目指しているのかなあという感じです。

先ほどにも言ったようにビルドアップの部分がかなり整備されているので、こうやって一度マイボールに収めてしまう形にして攻撃を組み立てる方が勝利への可能性を高めることができるというのは合理的な判断でしょう。ボールを保持している間は失点することは(ほとんど)ありませんからね。じっくり支配をしながら勝つアビスパ、なんだか楽しそうですし、闇も深そうですよね。

③城後=パッツィーニ

タイトルでの敬称の省略を失礼します。この試合を観ていて感じたある既視感、それはファビオ・ペッキア監督の前所属チームであるエラス・ヴェローナの試合を観ていた時だったと思います。

後ろからパスを繋いでいき、相手の陣形に穴を作っていきながら選手それぞれの特徴を上手くかみ合わせていくサッカーの中で、どうしても綺麗に相手のゴールに迫ることができない時はあります。そういった時に使われる存在がエラス・ヴェローナではイタリア代表にも選ばれたことがあるのでそれなりに名前が知られているパッツィーニでした。ロングボールの受け手となり、クロスの合わせ役となり、裏抜けの対象となる選手のことです。

実際にどんなにサイドを攻略したとしても、どんなにボールを保持してポゼッションを高めたとしても、サッカーの目標は「相手よりも多くのゴールを奪うこと」であり、サッカーの中に芸術点はありません。ペッキア監督は理想とするサッカーはあるものの、ゴールキーパーまで下げたときにはシンプルにボールを前に蹴りだしたり、前線にはパッツィーニ役を配置するなど、どちらかというと「理想家」ではなく「現実家」的側面が強いのではないかと分析しています。

そこでアビスパ福岡で指揮をするときに目を付けたのが我らがレジェンドである城後寿選手でしょう。

この鳥栖とのトレーニングマッチでも面白いシュートを何本か放っていたり、裏に抜ける動きでボールを引き出したり、その身長から前線で空中戦まで担当するというオールラウンドプレーヤーっぷりを発揮してくれていました。今年はもしかすると城後選手の二桁得点も夢ではないかもしれません!期待が高まります!

2)守備:オフサイド連発のライン統率

今年のアビスパ福岡の守備は面白いですよ。

①ゴールキーパー

まだまだ慣れない日本語ではあると思いますが、新外国人ゴールキーパーのセランテスが守備を的確に指示していました。

セランテス語録
「ワコ!ワコ、モウチョイサガッテ!」
「ヒロ(石原くん)!ヒダリヒダリ!」
「リキ!サポート!」
その他諸々

圧巻のディフェンス指示でチャンスの芽を摘んでいきながら、シュートコースを限定していき、狙った所にシュートを打たせて大体正面でキャッチするというとんでもないゴールキーパーがいました。

ゴールキーパー序列としては、前半にセランテス、後半に杉山選手が試合に出てきていたので、期待のかかる山ノ井選手は三番手という位置づけですかね。僕としては開幕スタメンを奪って欲しいと思っていましたが、セランテスの安定感の壁は高く見えました。

ちなみにセランテスと杉山選手はそれぞれ一つずつ失点をしてしまいましたが、どれもゴールキーパーの責任であるとは言い難いものであり目立つポカはありませんでした。この二人に加えて山ノ井くんがどうやって関わってくれるかが楽しみで仕方ありません。

②ディフェンダー陣

ディフェンダーのファーストチョイスは三國くんと實藤選手の二枚でしたが、我々はここに加えて去年の守備の要である篠原選手、岩下選手、吉本選手、菊池選手が控えています。

ちなみに最初に二人の関係は良好でしたね。サガン鳥栖のフォワード陣がことごとくオフサイドにかかっていくというラインコントロール能力はあったんじゃないかと思います。最初はオフサイドの数が多いなあと思っているだけでしたが、うちの選手の手を上げるタイミングがあまりに揃いすぎていて狙ってやってるとしか思えませんでした。

あのフェルナンド・トーレスや金崎夢生をオフサイド地獄に陥れたのは相手の不調か、はたまたアビスパの守備陣のラインコントロールなのか?この答えはシーズンが始まってみないと分からないものですね。

③それぞれの役割

試合を観ていて感じたことの一つとして、選手がそれぞれしっかりと考えながらディフェンスをしていたので、ボールに対して数人で囲んで空いたスペースを使われるというような去年の二の舞は再現されない可能性が高いのではないかと思います(希望含む)。

パスが出ると誰がプレッシングに行くか、そしてパスコースを誰が埋めるかというようなところを選手が流動的に実行している姿には、どこかヨーロッパの雰囲気を感じました。相手チームの選択肢を限定していきながら、前線にロングボールを蹴らせて後ろで回収するというやり方だったので、身長のある三國ケネディエブスくんがファーストチョイスで選ばれるのも頷けます。

前線の守備はかなり前から相手のボールを奪いに行くような攻撃的にプレッシングを見せてくれており、一つ目のプレッシングを掻い潜られたとしても選択肢を与えないというように陣形をかなりコンパクトに抑えたサッカーを展開していました。去年の終盤にも井原監督体制の時に付け焼刃の前からプレッシングサッカーをやっていましたが、パスコースを制限しきれておらず、守備の枚数を減らしているだけというようなズタボロプレッシングだったのに対して、今年はかなり精度の高い網が出来たのではないかと思います。

そうなると相手は手詰まりになったときに前線へのロングボールの対応が多くなる可能性が高くなるので、三國ケネディエブスくんくんや吉本選手などのボールを弾き返せる選手の価値が高くなりそうな予感がします。それから、城後選手と石津選手のプレッシングは開幕戦でぜひ注目して見てもらいたいと思います。綺麗なプレスの形で相手のビルドアップを妨害しています。

3)その他

その他いくつか気付いたことを、

・ペッキア監督がスーツじゃなかった
・前川選手はまずまずという感じ、途中交代よりもスタメン向きっぽい感じ
・喜田選手はやや引き目のアンカー的な位置でプレーすることが多く、2センターハーフの環境では守備に寄りすぎている感じ
・北島くんはボールを仕掛けの最終目標がゴールであるような仕掛けが見られたのが良かった、出場チャンスはありそうだから今年はまずゴールを目標ですかね!
・ポジションが入れ替わった時(例えば右サイドの松田選手と石原くんの縦関係など)にはそれぞれがある程度そのプレー中だけでも自分の担当を離れていく場面などが見えたあたりから流動性を感じた

こんな感じです!この時に撮った写真とかいろいろあるのですが、SNSへのアップロードが禁止されている以上、大事に自分のフォルダーに残しておきます!

またシーズンが始まった時にレビューが書ければいいなーと思っています!2019シーズンもよろしくお願いします!

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