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[ブーイングするほどか?]第5節 東京ヴェルディ vs 京都サンガ


試合情報



マッチサマリ

▼前半

入り

センターバックが怪我人と出場停止で緊急事態の中、アピの代わりには宮本と麻田がセンターバックとして入った。
個人的には三竿雄斗でも良いのでは?(左利き同士にはなるが、本職に近い形で使ってあげて欲しかった)と思ったが、立ち上がりから後ろで繋いでくるヴェルディに対してサンガのハイプレスが完全にハマっている形だった。
入りとしてはこれ以上ない期待を持てる且つ気候的にもサッカーに最適な環境だった事も相まってサンガが押し込む展開であった。
一方ヴェルディとしては、京都からレンタルしている木村、山田を欠く中で自慢の前線にどれだけ出力を出せるのかが見ものでしたが、やはりサイズのある木村不在の影響は大きく、染野だけだと迫力に欠けており孤立した状態が続く展開となりました。

3分 (京都サンガ)マルコおしゃれなパスから豊川先制点!? 


22分 (京都サンガ)豊川の超絶ゴラッソで先制! 東京ヴェルディ 0-1 京都サンガ

前半から押し込んでいた勢いそのままに、逆サイドからの見事なサイドチェンジが何故かどフリーで待っていた豊川の元に、恐らくですがゾーンに入っていたのかパスではなく胸でコントロールしボレー!声出し応援席から見てもゴールに吸い込まれるような見事なシュートだった。
流れの中から取れた事と、決定力の高さをサンガという守備に重きを置くチームで体現してくれる豊川の偉大さを感じた得点でした。
頭では「守備、攻撃共に足を止める事なくやり続ける」と思っていても、身体がここまでシンクロして動く選手は中々いないでしょう。本当にサンガに必要な選手ですし、見ていると感動すら覚える選手です。ナイスゴール!

26分 (京都サンガ)流れそのままに原の今季初ゴールで追加点! 東京ヴェルディ 0-2 京都サンガ

サイドで受けた武田が原に戻したボールをダイレクトクロス(恐らくライン裏の豊川を狙ったボール)が松田に跳ね返り、二次攻撃開始。
松田からのスルーパスに反応した原が、相手ディフェンスを幅とまさかのスピードで切り裂いた後に放ったシュートがゴールに吸い込まれ追加点。
ここのポイントは、常に原がゴール前でプレーしようとしている点だろう。
サイズがある選手なら通常、外で受けた後は受け直すというよりは、中に入っていきクロスに合わせる体制を取るが、原の場合は再度足元で受け直してドリブルで交わせる技術を持っている。
よくサンガに来てくれたね〜と思うほど技術と能力が高いと思わしてくれる。山﨑と比較する訳では無いが、献身性と技術を兼ね備えた選手だ。サボらずやり続ける。豊川と同じだが、サンガにとって無くてはならない存在の原。今シーズン初ゴールおめでとう!

前半総括 

これ以上に無い展開で2点リードでの折り返しでしたね。
ヴェルディの小刻みに繋ぐパスサッカーを出足の良いプレスで封じていました。京都としても、まさか2点リードで折り返せるとは?と思っていたでしょうし、集中力が切れずにやり切れるそんな姿勢を見せてくれていました。
不安があるとすると、前半が良すぎると後半にまるでチームが変わったように出力が落ちるので、冷静に判断して動いてくれるのか?そんな感情で前半を終えています。
前半の主役は得点を取った豊川、原、松田(天)でしょう。
配信では見れないですが、現地で見ていると感じるのは、前線からのハイプレスを支えているのはこの3人の前からのプレスです。
以前にヴィッセル神戸所属の酒井高徳がYoutube対談企画で言っていましたが、前線の選手にはボール奪取までは求めていない。パスコースを限定してくれるだけで後ろの選手はとても助かると。前半だけ見ると、右サイドの翁長にしか出せないコースを限定した事で相手の強みである森田にボールを持たせない守備が出来ていました。
あっぱれと同時に45分間やり続けた継続力がこのリードを生んでいたと思います。

▼後半

79分 (東京ヴェルディ)福田が山見をエリア内で倒してしまい獲得した、PKを染野が決め反撃開始 東京ヴェルディ 1-2 京都サンガ

一見無駄なファールだろ!と思われるかもしれないが、ここに至るまでに何度もピンチがあった。

豊川が足を攣って宮吉と交代した後から一気にヴェルディに流れが傾いていた、その中で必死に福田は守備に奔走していたが、山見の機転を効かせたまた抜きで出足が遅れてしまい、スライディングでカバーしようとしたが山見の残り足に引っかかりそのままPK判定に。

Xを見ていても、無駄なファールだろ!いい加減にしろ!などの投稿が散見されるが、現地で見ていた身としては、これは責められないなと。
もちろん、あの場面でスライディングせずとも中で止めれば良いとハイライト見ては思うだろうが、実際に1対1で対次している福田からすると止めないと!と思って咄嗟にスライディングをしてしまったのであって、そのシーン一つで彼を責めるのは個人的に賛同出来ない。

いつもそうだが、サンガは前半良いと後半一気に出力が落ちる傾向にある。今日も後半からまるで違うチームを見ている様に、前半出来ていた前線からのパスコースを限定したプレスが無くなっていたし、攻撃の起点となる森田と見木を抑えられていなかった様に見える。

全速力プレスを90分間を通して人間はやり切れるのだろうか?
これは個人的見解だが、頭で分かっていても身体が動かなくなる瞬間は誰しもあると思う。あの強靭な太ももを持っている松田(天)ですら、この時間になると歩く場面が散見されていた。配信だと「もう少し走れよ!」「サボるなよ!」と思われるかもしれないが、前半からフルスロットルで飛ばしている選手がずっと継続して同じ事を出来るとは思えない。
特に京都のサイドバックはフォーメーション的にもWGにSBに縦横無尽に走り回らないといけないし、危険な場面を何度も対処しないといけない。
この時間で出力が落ちてきているのは当たり前だし、交代を用意出来ない選手層の薄さを反省するべきではないだろうか。

90+3分 (東京ヴェルディ)染野の値千金のゴールで同点! 東京ヴェルディ 2-2 京都サンガ

完全に流れを持っていかれている中で、耐える時間帯があまりにも長すぎただろう。ヴェルディのパワープレーの中で三竿、佐藤との競り合いに勝った綱島のボールがそのままサイドでフリーの斎藤に流れ中で待っていた染野が冷静に流し込み同点に。
正直流れを持っていかれている且つアフェーの後半ロスタイムという事も考えても致し方ない失点だった様に思える。

ここのポイントは綱島との競り合いに2人が絡んでしまった事が全てだっただろう。仮にだが、ここで守り切れた事があるとすると、5バック気味にしていたのだから川崎や福岡が、パワープレーのこぼれ球をカバー出来る立ち位置にいるべきだし、勝っている時の最終盤こそ、守備時に数的優位に立てる様にサポートしてあげるべきだと思ってしまうが、結果論でしかない。
出力が落ちきっている状態且つ前線を変えてしまっているのだから、ボール保持できる余裕も無いだろうし、冷静になれない環境と雰囲気に飲み込まれてしまった様に見える。

実際に現地で見ていても、見えない圧力は感じていましたし、前半なら取れていた場面でも、前線からのプレスの弱まりでパスコースが限定できずに、ヴェルディに流れてしまっていました。
見せかけのプレスではなく、身体で止める本気のプレスを後半に出来れば、展開は変わっていたであろう。

試合終了 東京ヴェルディ 2-2 京都サンガ

後半総括

まるで別のチームになっていましたね。本当に残念です。
サンガの話は後述のポイントにも記載しているので、ここではヴェルディについて書きたいと思います。

前半サンガの思い通りの展開になって、一気に修正してきた印象です。
特に交代選手の起用がズバリ当たっており、逆に前半からなぜ使わかなったのかと思わせるほどでした。サンガの守備が中央に寄っている事を判断した城福監督が山見を左サイドで使った事が1番の功績でしょう。サンガの両サイドバックが後半始めまでにカードを貰った事で、プレスを前半同様にはかけられない展開になったので、よりサイドにスペースが出来るようになりました。

サイドにスペースが出来る事で、森田と見木が自由にボールを保持出来る様になり、前半では見られなかった後方からのビルドアップもスムーズに遂行される展開に変貌しました。ここは、ヴェルディ側のスカウティングもあったと思いますが、サンガの特徴として時間が経過するに連れて前線からのプレスが弱くなり、サイドとボランチの位置にぽっかりスペースが出来てくるという事を理解していたのだと思います、自信を持って後ろから繋いでいるのが印象的でした。
ただ、ロングボールを染野に当てるだけではなく、サイドからのクロス及び中央からの縦パスで相手ゴール近くでプレーする時間を増やせたのが、後半同点に出来た理由でしょう。

終わってみれば、パス成功率80%シュートもサンガより多い13本と一気に形勢逆転しており、チョウ監督もおっしゃってましたが、よく同点で終わったなと。後10分あれば確実に逆転されてました。あっぱれ城福さん。

Point

①チームとしてやりたい事が明確だったのは収穫ではないだろうか。

前回のマリノス戦の反省を活かして、徹底したハイプレスと一枚剥がされてからのカバーは徹底されていた。適当にクリアをするのではなく、特に前半はボールを落ち着かせながら空いたスペースを有効に使えていたと思う。それを支えていたのは佐藤響のドリブルと守備だと思うが、チームとしてパスコースを作るために、ボールに寄るのではなくスペースに抜け出しが出来ていたので、その部分は評価に値するだろう。

もちろんマリノスとヴェルディだとチーム力の差はあるとは言えどPDCAを回している姿勢が見えた事はとても嬉しかった。
勝つか負けるかは結果論なので、また今日出来なかったプレーを反省して次の鹿島戦に活かしていってほしい。
それはを主導したのは監督、キャプテンなのかは不明だが、少しずつで良いし積み重ねていってくれる事を期待している。
一つ言える事は、J1に昇格してからチームとしての成熟度は確実に上がっている。(そう信じている)

②90分間で勝ちきる戦略を求めたい

前半は良かった。後半はどうした?となった試合でしたが、これはなるべくして起きている事実です。
誰もこんな勿体ない試合見たくもないし、それは選手が1番感じていると思います。現地観戦していてもアウェー独特の緊張感と後半に強いヴェルディの底力を感じていましたし、斎藤、稲見、山見など交代で入った選手が疲れてきた京都のプレスを掻い潜り自由にプレーしていた様に見えます。

じゃあ仮に今日の試合を乗り切って勝利したとしましょう。
本質的な課題が解決されないままだと、次の試合で勝ち切れない。連敗する未来しか見えません。
課題とは何か?勝ち切るためには何が足りていないのかと言うと、気合い?根性?体力?と考えがちですが、私は「戦略」だと思います。
戦術はあくまでテクニックの話で、今回で言うと交代選手をどうするとか、5バックにするとかです。これは、その場で意思決定出来る簡単な話ですが、戦略は違います。
監督は戦略家であるべきで、勝利を掴むために遂行プランを練りながら、勝利を出来るプランニングが必要ですし、Xなどで言われている内容は全て戦術なので、勝利した時に次回も同じ事が出来る再現性を持たないとチームとして成長は出来ないです。

挨拶終わった後に、監督が福田を呼んで大きな声で説教していましたが、感情をその場で伝えても何も解決しないのでは?と思ってしまいました。論理破綻してしまっている今のチームには、感情ではなく勝利に向けた確実なロジックが必要だと思ってしまいます。
各選手は世代別で有名な選手ばかりではないですし、メンタルはどこのチームより持っているんじゃないでしょうか。時には小汚くても勝利という目的のためにやり切る力を持てるチームになれる事を期待しています。

③試合終了後のファンのブーイング

これはポイントと異なりますが、今日残念なシーンだったと思います。
ロスタイムに失点して引き分けたものの、負けてはいません。
ブーイングする事でしょうか?あれだけ選手は必死にやっていた中で自分の感情をコントロール出来ずにブーイングするのがファンのやる事なのかと少し残念な気持ちになりました。切り替えるのは難しいかもしれません。ただまだ始まって5試合ですし、これからが本番です。

背中を押してチームをファンの力で強くしていきたいですし、あの様な試合の時こそ次は頑張れよ!の一言を投げかけてあげてほしいです。

Pickup Player


DF 宮本優太

今日でファンになった方は多いんでは無いでしょうか。
前半からヴェルディのターゲットとして、狙われていましたが持ち前のフィジカルとスピードを活かして封じている姿は感動すら覚えました。
最後染野に決められてしまったものの、アピより良いんじゃないかと思わせる程に安定したパフォーマンスだったと思います。何度もファールを受けても感情的にならず慣れないCBを遂行し切った姿勢に拍手と今後も期待を持たせてくれる選手です。

FW 原大智

絶対的にボールが収まるスーパープレイヤー
今シーズン初得点おめでとうございます!
今日も守備に攻撃に獅子奮迅の活躍で、どこかに引き抜かれないかずっと心配しています。思い出せばサンガでの初めての試合が味の素でのFC東京戦でしたが、そこからは想像もし得ない活躍だな〜と思っています。
神戸と浦和のスカウトが試合を観に来ていたそうですが、最低でも今シーズンまではサンガに残って活躍を続けて欲しいものです。

MF 武田翔平

やはり中盤のプレスには武田が必要だと思わされた試合でした。
中継には映らない所でずーっと走り回っている選手です。
何でもないプレーなんですが、泥臭く遂行してくれる選手はチームにとって欠かせない存在ですし、怪我なく今シーズン乗り切ってほしい所です。
但し武田の場合は、本来は中盤のパサーとしての役割が得意ですし、もっと活かせる起用法を見つけてよりサンガを高いレベルに引き上げて欲しいです。(平戸も忘れてはならないですが・・)

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