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消費生活相談員資格試験にチャレンジ(14)

2021年度 消費生活相談員資格試験(国民生活センター実施)の問題・正解に簡単な解説等を付した記事シリーズ、14問目です。今回も特定商取引法に関する出題です。
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14. 次の文章のうち、下線部が2ヵ所とも正しい場合は○を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。
※以下は、特定商取引法に関する問題である。

① 消費者が、事業者に路上でマッサージの勧誘をされて店舗へ連れて行かれ、その場でマッサージの施術を受けた場合、クーリング・オフをすることが(ア)できない。消費者が、訪問販売で事業者から自動車を購入した場合、クーリング・オフをすることが(イ)できない

正解:○

〔コメント〕マッサージ:役務の性質上、事業者にとって提供を遅らせるというようなことが実質的に不可能であり、仮にクーリング・オフを認めた場合、役務が提供されているにも関わらず、消費者から対価が得られない状況となり、過度な事業者負担を生み出すこととなるため

〔参照条文〕
特定商取引に関する法律
(適用除外)
第二十六条 前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
1~2 〔省略〕
3 第四条、第五条、第九条、第十八条、第十九条及び第二十四条の規定は、その全部の履行が契約の締結後直ちに行われることが通例である役務の提供として政令で定めるものであつて、訪問販売又は電話勧誘販売に該当するものの全部又は一部が、契約の締結後直ちに履行された場合(主務省令で定める場合に限る。)については、適用しない。
4 第九条及び第二十四条の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売又は電 話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
 一 その販売条件又は役務の提供条件についての交渉が、販売業者又は役務提供事業者と購入者又は役務の提供を受ける者との間で相当の期間にわたり行われることが通常の取引の態様である商品又は役務として政令で定めるものの販売又は提供

特定商取引に関する法律施行令
(契約の申込みの撤回等ができない役務の提供等)
第六条 法第二十六条第三項の政令で定める役務の提供は、次に掲げる役務の提供であつて、役務提供事業者が営業所等(法第二条第一項第一号に規定する営業所等をいう。以下この条及び第十六条の五第四号において同じ。)以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者から役務提供契約の申込みを受け、又はその者と役務提供契約を締結して行うものとする。
 一 ~ 二 〔省略〕
 三 あん摩、マッサージ又は指圧を行うこと。
第六条の二 法第二十六条第四項第一号の政令で定める商品は、自動車(二輪のものを除く。以下この条において同じ。)とし、同号の政令で定める役務は、自動車の貸与(当該貸与を受ける者が道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第八十条第一項ただし書の自家用自動車の使用者として当該自動車を使用する場合に限る。)とする。


② 電話勧誘販売において、事業者が、正当な理由がないのに日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約の締結について勧誘することは、特定商取引法上、(ア)主務大臣の指示の対象となる。この行為は、(イ)直接の刑事罰の対象とならない

正解:○

〔参照条文〕特定商法第22条、第70条以下


③ 通信販売業者が、消費者から承諾を得ずに電子メール広告を送信することは原則として禁止されている。これを(ア)オプトイン規制 という。通信販売業者が、商品の購入者に発送通知を電子メールで送信する際に、その一部に付随的に広告を掲載することは(イ)禁止されている

正解:イ

〔コメント〕通信販売業者が、商品の購入者に発送通知を電子メールで送信する際に、その一部に付随的に広告を掲載することは禁止されていない。

〔参照条文〕特定商取引に関する法律
(承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止等)
第十二条の三 販売業者又は役務提供事業者は、次に掲げる場合を除き、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について、その相手方となる者の承諾を得ないで電子メール広告(当該広告に係る通信文その他の情報を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて主務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により送信し、これを当該広告の相手方の使用に係る電子計算機の映像面に表示されるようにする方法により行う広告をいう。以下同じ。)をしてはならない。
 一 〔省略〕
 二 当該販売業者の販売する商品若しくは特定権利若しくは当該役務提供事業者の提供する役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みをした者又はこれらにつき売買契約若しくは役務提供契約を締結した者に対し、主務省令で定める方法により当該申込み若しくは当該契約の内容又は当該契約の履行に関する事項を通知する場合において、主務省令で定めるところにより通信販売電子メール広告をするとき

●(通達)特定商取引に関する法律等の施行について
第3節(通信販売)関係、4、(4) P28
第2号の「当該申込み若しくは当該契約の内容又は当該契約の履行に関する事項を通知する場合」とは、「契約の成立」「注文確認」「発送通知」など、当該契約の内容確認や当該契約の履行に関わる重要事項を電子メールで通知する場合に、当該電子メールの一部に付随的に広告を掲載する場合のことである
〔以下、省略〕


④ 通常価格が1回1万円のところ、1回 1,000 円のキャンペーン価格で、消費者が、特定継続的役務に該当するエステティックの契約をした。役務提供開始前に中途解約した場合であって、違約金の定めがあるとき、事業者は、契約の締結及び履行のために通常要する費用として(ア)2万円 を上限として請求することができる。施術が3回行われた後に消費者が中途解約をしたとき、事業者は、提供した役務の対価として(イ)3万円 を請求することができる。

正解:イ

〔コメント〕イ:3,000円
エステティックに係る役務提供開始後の途中解約について、「提供された役務の対価に相当する額」と「通常生ずる損害の額」の合算が、事業者が損害賠償請求できる上限(支払い遅延がある場合には法定利率による遅延損害金の額を加算した額も請求できる。)
既提供部分の対価の算出に当たっては、契約締結時の単価が上限

〔参照条文〕特定商取引に関する法律
第四十九条 第1項 〔省略〕
2 役務提供事業者は、前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける者に対して請求することができない。
 一 当該特定継続的役務提供契約の解除が特定継続的役務の提供開始後である場合 次の額を合算した額
  イ 提供された特定継続的役務の対価に相当する額
  ロ 当該特定継続的役務提供契約の解除によつて通常生ずる損害の額として第四十一条第二項の政令で定める役務ごとに政令で定める額
 二 当該特定継続的役務提供契約の解除が特定継続的役務の提供開始前である場合 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額として第四十一条第二項の政令で定める役務ごとに政令で定める額

特定商取引に関する法律施行令(政令)
別表第4


⑤ 個人である訪問販売業者が業務停止処分を命じられた場合、主務大臣はその販売業者に対して、停止を命じられた範囲の業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることの禁止を命じることができ、その禁止期間は停止処分期間(ア)始期及び終期が同一でなければならない。主務大臣は、上記停止処分を受けた販売業者の使用人に対して、当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることの禁止を命じることが(イ)できない

正解:イ

〔コメント〕イ:禁止を命じることはできる。

〔参照条文〕特定商取引に関する法律
(役員等に対する業務の禁止等)
第八条の二 主務大臣は、販売業者又は役務提供事業者に対して前条第一項前段の規定により業務の停止を命ずる場合において、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者が当該命令の理由となつた事実及び当該事実に関してその者が有していた責任の程度を考慮して当該命令の実効性を確保するためにその者による訪問販売に関する業務を制限することが相当と認められる者として主務省令で定める者に該当するときは、その者に対して、当該停止を命ずる期間と同一の期間を定めて、当該停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)の禁止を命ずることができる
 一 〔省略〕
 二 当該販売業者又は当該役務提供事業者が個人である場合 その使用人及び当該命令の日前一年以内においてその使用人であつた者