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消費生活相談員資格試験にチャレンジ(13)

2021年度 消費生活相談員資格試験(国民生活センター実施)の問題・正解に簡単な解説等を付した記事シリーズ、13問目です。今回は特定商取引法関係です。
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13. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
※以下は、特定商取引法に関する問題である。

① 事業者が路上で歩行者に、「店舗に来れば特別に割引します」と記載されたチラシを配布し、これを見て店舗に一人で来訪した消費者に商品を販売した場合、「訪問販売」に該当する。

正解:×

〔コメント〕キャッチセールス及びアポイントメントセールスには該当せず、訪問販売には該当しない。
 キャッチセールス:「呼び止めて営業所等に同行させ」ていないためキャッチセールスに当たらない。
 アポイントメントセールス:パンフレットを配布し、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所その他特定の場所への来訪を要請していないため、アポイントメントセールスには当たらない。

〔参照条文〕特定商取引法に関する法律
第二条 この章及び第五十八条の十八第一項において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。
 一 〔省略〕
 二 販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは特定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供

〔参照URL〕特定商取引に関する法律の解説(逐条解説)第2章第1節 P8~ 


② 消費者が訪問販売で化粧品を購入した際、販売業者から、「今、試しに使ってみてください」と言われたため、その場で開封して使用した場合、クーリング・オフをすることはできなくなる。

正解:×

〔コメント〕商品の一部を消費しており、クーリング・オフ適用除外が原則であるが、販売業者が消費者に当該商品を使用させているため、適用あり。

〔参照条文〕特定商取引法に関する法律
(適用除外)
第二十六条 前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
1~4 〔省略〕
5 第九条及び第二十四条の規定は、訪問販売又は電話勧誘販売に該当する販売又は役務の提供が次の場合に該当する場合における当該販売又は役務の提供については、適用しない。
 一 第九条第一項に規定する申込者等又は第二十四条第一項に規定する申込者等が第四条若しくは第五条又は第十八条若しくは第十九条の書面を受領した場合において、その使用若しくは一部の消費により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該販売業者が当該申込者等に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)。
 〔以下省略〕

※第九条及び第二十四条の規定(訪問販売、電話勧誘販売におけるクーリング・オフ規定)


③ 事業者から電話があり商品の購入を勧められた後、当該事業者が消費者の自宅を訪問してその商品の売買契約をした場合、電話勧誘販売に該当する。

正解:×

〔コメント〕電話勧誘販売には該当しないが、訪問販売に該当する。


④ 電話勧誘販売において、事業者が商品の種類について事実と異なることを告げて勧誘した結果、消費者が契約を締結した場合、事業者の行為は不実告知として禁止行為に該当するが、事実と異なることを告げたにすぎず契約締結に至らなかった場合、禁止行為には該当しない。

正解:×

〔コメント〕事実と異なることを告げたにすぎず契約締結に至らなかった場合でも禁止行為に該当する。不実告知の適用は、契約締結を要件としていないため。

〔参照条文〕特定商取引法に関する法律
(禁止行為)
第二十一条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。

〔参照URL〕特定商取引に関する法律の解説(逐条解説)第2章第4節 P145参照


⑤ 通信販売業者は、商品の広告をする際、請求により遅滞なく一定の必要事項が記載された書面を交付し又は電磁的記録を提供する旨の記載をする場合であっても、申込みの撤回等についての特約があるときは、当該広告上の当該特約の記載を省略することはできない。

正解:○


⑥ 通信販売において、役務提供条件について広告をした役務提供事業者が申込みの撤回等についての特約を広告に表示していなかった場合、契約の申込みをした消費者は、役務の提供を受けた日から起算して8日を経過するまでの間は当該契約の申込みを撤回することができる。

正解:×

〔コメント〕「役務提供条件について広告をした役務提供事業者」
 →「商品又は特定権利の販売条件について広告をした販売業者」
  返品が観念できない役務の通信販売については対象とならない。

〔参照条文〕特定商取引法に関する法律
(通信販売における契約の解除等)
第十五条の三 通信販売をする場合の商品又は特定権利の販売条件について広告をした販売業者が当該商品若しくは当該特定権利の売買契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は売買契約を締結した場合におけるその購入者(次項において単に「購入者」という。)は、その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転を受けた日から起算して八日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合(当該売買契約が電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律(平成十三年法律第九十五号)第二条第一項に規定する電子消費者契約に該当する場合その他主務省令で定める場合にあつては、当該広告に表示し、かつ、広告に表示する方法以外の方法であつて主務省令で定める方法により表示していた場合)には、この限りでない。


⑦ 特定継続的役務提供に該当する、いわゆる美容医療契約に基づいて治療が行われ、当該治療に伴う傷の痛み止めのために医薬品が販売された場合、当該医薬品は「関連商品」に該当する。

正解:×

〔コメント〕美容を目的とする医薬品ではないので関連商品には当たらない。

〔参照条文〕特商法第48条第2項
特商法施行令 別表第五(第十四条関係)
 一 別表第四の一の項に掲げる特定継続的役務にあつては、次に掲げる商品
  イ ~ ハ 〔省略〕
 ニ 医薬品及び医薬部外品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第二項の医薬部外品をいう。)であつて、美容を目的とするもの

〔参照URL〕特定商取引に関する法律の解説(逐条解説)第4章 P322参照


⑧ 連鎖販売取引の要件である特定負担の額は、政令により、総額が2万円以上とされている。

正解:×

〔コメント〕平成12年改正以前、「連鎖販売取引」の要件として、(中略)、政令で「2万円以上」との基準を定めていたが、本法の適用を逃れる商法のトラブルが増加したことに鑑み、特定負担の金額による限定を廃止し、何らかの金銭負担があるものは全て規制対象。

〔参照条文〕特商法第33条


⑨ 連鎖販売加入者が連鎖販売契約を中途解約した場合、中途解約の効果は遡及し、その契約は、当初から無効であったことになる。

正解:×

〔コメント〕既に提供が終わった部分の原状回復等が複雑になるため、将来に向かって解除できるのみ。

〔参照条文〕特定商取引に関する法律
第四十条の二 連鎖販売加入者は、第三十七条第二項の書面を受領した日から起算して二十日を経過した後(連鎖販売加入者が、統括者若しくは勧誘者が第三十四条第一項の規定に違反し若しくは一般連鎖販売業者が同条第二項の規定に違反して前条第一項の規定による連鎖販売契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は統括者、勧誘者若しくは一般連鎖販売業者が第三十四条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに前条第一項の規定による連鎖販売契約の解除を行わなかつた場合には、当該連鎖販売加入者が、その連鎖販売業に係る統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者が同項の主務省令で定めるところにより同項の規定による当該連鎖販売契約の解除を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して二十日を経過した後)においては、将来に向かつてその連鎖販売契約の解除を行うことができる


⑩ 事業者が、業務提供誘引販売契約の締結を勧誘する際に、断定的判断の提供を行った場合、主務大臣による「指示」の対象となる。この場合の契約の相手方は、「事業所等によらないで業務を行う個人」に限定されない。

正解:×

〔コメント〕契約の相手方は、「事業所等によらないで業務を行う個人」に限定される。
法人及び事業所等を構えて業務を行う個人は、一般的に商取引に習熟したものと考えられ、保護の対象とするまでの必要がないため。

〔参照条文〕特定商取引に関する法律
(指示等)
第五十六条 主務大臣は、業務提供誘引販売業を行う者が第五十一条の二、第五十二条、第五十三条、第五十四条、第五十四条の三(第五項を除く。)若しくは前条の規定に違反し、又は次に掲げる行為をした場合において、業務提供誘引販売取引の公正及び業務提供誘引販売取引の相手方の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その業務提供誘引販売業を行う者に対し、当該違反又は当該行為の是正のための措置、業務提供誘引販売取引の相手方の利益の保護を図るための措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができる。
 一 〔省略〕
 二 その業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売取引につき利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供してその業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売契約(その業務提供誘引販売業に関して提供され、又はあつせんされる業務を事業所等によらないで行う個人との契約に限る。次号において同じ。)の締結について勧誘をすること。


⑪ 訪問購入において、購入業者が消費者から購入した物品を第三者に売却し、引渡しをした場合には、当該第三者が、当該物品につきクーリング・オフされ得ることを知っていた場合でも、当該消費者は当該物品の返還を請求することはできない。

正解:×

〔コメント〕第三者が善意無過失の場合は対抗できないが、当該物品につきクーリング・オフされ得ることを知っていたに止まる場合は、第三者に対抗できるので、返還請求できる。

〔参照条文〕特定商取引に関する法律
(訪問購入における契約の申込みの撤回等)
第五十八条の十四 第1項 ~ 第2項 〔省略〕
3 申込者等である売買契約の相手方は、第一項の規定による売買契約の解除をもつて、第三者に対抗することができる。ただし、第三者が善意であり、かつ、過失がないときは、この限りでない