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消費生活相談員資格試験にチャレンジ2023(9)

2022年度 消費生活相談員資格試験(独立行政法人国民生活センター実施)の問題・正解に簡単な解説等を付した記事シリーズ第九弾、第14問、第15問です。


14.次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 電気通信事業法は、スマートフォン等の契約に関し、通信料金と端末代金の完全分離のため、通信役務の利用及び端末の購入等を条件として行う利益の提供を一律禁止している。

正解:×

〔コメント〕一律に禁止ではなく、セット割引の際の端末代金値引き額の上限額を2万円に制限等、一部例外はある。電気通信事業法第27条の3。


② 電気通信事業法は、スマートフォン等の利用に関し、通信契約の締結から一定期間内に当該契約の変更又は解除を行ったことを理由として違約金等を求める場合、その期間の上限を2年とするなど、顧客の不当な囲い込みを禁止している。

正解:○

〔参照URL〕【総務省】「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」改正案に関する意見募集の結果及び改正したガイドラインの公表


③ 割賦販売法において、個別信用購入あっせんとは、カード等を利用することなく、特定の販売業者等からの商品等の購入等を条件として、代金等に相当する額を当該販売業者等に交付し、購入者等から当該額を受領する契約であり、2ヵ月を超えない範囲内での受領は除外されている。

正解:○

〔参照条文〕割賦販売法
(定義)
第二条 1~3(省略)
4 この法律において「個別信用購入あつせん」とは、カード等を利用することなく、特定の販売業者が行う購入者への商品若しくは指定権利の販売又は特定の役務提供事業者が行う役務の提供を受ける者への役務の提供を条件として、当該商品若しくは当該指定権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部に相当する金額の当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするとともに、当該購入者又は当該役務の提供を受ける者からあらかじめ定められた時期までに当該金額を受領すること(当該購入者又は当該役務の提供を受ける者が当該販売業者から商品若しくは指定権利を購入する契約を締結し、又は当該役務提供事業者から役務の提供を受ける契約を締結した時から二月を超えない範囲内においてあらかじめ定められた時期までに受領することを除く。)をいう。
5~6(省略)


④ 割賦販売法によれば、訪問販売又は電話勧誘販売の方法による販売契約に係る個別信用購入あっせん契約について、購入者が販売業者に対してクーリング・オフの意思表示をすることにより、販売契約と与信契約の両方を解除することができる。

正解:×

〔コメント〕販売業者に対してではなく、個別信用購入あっせんを行った信販会社に対してクーリング・オフ通知をする必要があり、それによって与信契約と販売契約の両方を解除することができる。割賦販売法第35条の3の10参照。


⑤ 割賦販売法では、カード等を利用者に交付し、そのカード等の提示を受け、リボルビング方式にて代金を受領することを条件として商品等を販売することは、包括信用購入あっせんに該当する。

正解:×

〔参照条文〕割賦販売法
(定義)
第二条 1~2(省略)
3 この法律において「包括信用購入あつせん」とは、次に掲げるものをいう。
 一 それを提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下この項及び次項、第三章第一節並びに第三十五条の十六において「カード等」という。)をこれにより商品若しくは権利を購入しようとする者又は役務の提供を受けようとする者(以下この項、同節、同章第三節、同条、第三章の四第二節、第四十一条及び第四十一条の二において「利用者」という。)に交付し又は付与し、当該利用者がそのカード等を提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から役務の提供を受けるときは、当該販売業者又は当該役務提供事業者に当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするとともに、当該利用者から当該代金又は当該対価に相当する額をあらかじめ定められた時期までに受領すること(当該利用者が当該販売業者から商品若しくは権利を購入する契約を締結し、又は当該役務提供事業者から役務の提供を受ける契約を締結した時から二月を超えない範囲内においてあらかじめ定められた時期までに受領することを除く。)。
 二 カード等を利用者に交付し又は付与し、当該利用者がそのカード等を提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から役務の提供を受けるときは、当該販売業者又は当該役務提供事業者に当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするとともに、当該利用者からあらかじめ定められた時期ごとに当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た金額を受領すること。
4~6(省略)


⑥ 割賦販売法には、販売業者等から商品の引渡しがない等の場合に、購入者等は、販売業者等との間で生じている事由をもって、与信業者に対抗することができる旨の規定があるが、当該規定が定められているのは、個別信用購入あっせん、包括信用購入あっせん及び割賦販売である。

正解:×

〔コメント〕抗弁ができるのは、個別信用購入あっせんと包括信用購入あっせんのみ。割賦販売法第30条の4及び第35条の3の19参照。
 なお、クレジットカード支払いで広く利用されるマンスリークリア(翌月一括払い)は、そもそも割賦販売法の規定が適用されず、法的には抗弁が主張できないので注意が必要(ただし、カード会社側が法律によらず任意で抗弁に応じる場合はあり得る)。


⑦ インターネット通信販売で5万円の商品を翌月一括払いのクレジットカード決済で購入した後、支払方法をリボルビング払いに変更し、その後販売業者の倒産により商品の引渡しが不可能となった場合には、消費者はクレジットカード会社に対して、割賦販売法に基づく支払停止の抗弁を主張できない。

正解:×

〔コメント〕⑥で述べたとおり、マンスリークリア(翌月一括払い)では抗弁を主張できないが、リボルビング払いに変更することで割賦販売法の適用対象となり、支払停止の抗弁が主張できるようになる。消費生活相談の現場でも、クレジットカード一括払いで支払っていた契約にトラブルが生じた場合、支払い方法をリボルビング払いに変更するという対応策が採られることがある。


⑧ 割賦販売法により、「クレジットカード番号等取扱契約締結事業者」は、経済産業省に備える登録簿に登録を受けることが義務づけられており、外国法人の場合、国内に営業所を有していること等がその登録要件となっている。

正解:○

〔参照URL〕【経済産業省】割賦販売法(後払分野)の概要・FAQ (問11)


15.次の文章の[  ] に入る最も適切な語句を、各文章に続けて示す語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

① 取引デジタルプラットフォーム消費者保護法は、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益を保護することを目的とした法律である。取引デジタルプラットフォーム提供者について、当該法律で規定されていないのは、[ ア ]である。

【語群】

  1. 消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置を講ずる努力義務

  2. 内閣総理大臣による、取引デジタルプラットフォームの利用の停止等に係る要請

  3. 消費者による販売業者等情報の開示請求

  4. 取引デジタルプラットフォームを利用した販売業者等により損害を受けた消費者に対する損害賠償責任

正解:4

〔参照URL〕【消費者庁】取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律 概要https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/digital_platform/assets/consumer_policy_cms104_220628_03.pdf


② アフィリエイト広告は、成果報酬型のため、アフィリエイターが虚偽誇大広告を行うインセンティブが働きやすいとされている。ただ、問題のあるアフィリエイト広告では、アフィリエイターでなく[ イ ]がアフィリエイト広告の表示内容を決定しているといった実態が認められる。この場合、景品表示法上は、[ イ ]が責任の主体となると考えられている。

【語群】

  1. 広告主 2. ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)
    3.デジタルプラットフォーム 4. 媒体社・アドネットワーク事業者

正解:1

〔参照URL〕【消費者庁】インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms216_220629_05.pdf


③ 経済産業省では、2025 年までにキャッシュレス決済比率40%を目指してキャッシュレス決済の推進に取り組んでいるところ、2021(令和3)年の同比率は32.5%となった。内訳をみると、最も多いのは[ ウ ]である。

【語群】

  1. クレジットカード 2. デビットカード 3. 電子マネー 4. コード決済

正解:1

〔参照URL〕【経済産業省】2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました


④ インターネット上で公開した資金募集案件に対して投資や寄付を募る仕組みを[ エ ]といい、購入者から前払いで集めた代金を元手に製品を開発し、購入者に完成した製品等を提供するものも、[ エ ]の一種である。全国の消費生活センターには、商品が届かない、提供された商品が不良品であるといった相談が寄せられている。

【語群】

  1. ソーシャルレンディング 2. クラウドファンディング 3. 前払式証票 4. クラウドソーシング

正解:2

〔参照URL〕【国民生活センター】リターンが届かない クラウドファンディングのトラブル


⑤ サブスクリプションは、一般的に、一度契約すると自ら解約しない限り自動的に支払いが継続される。全国の消費生活センターには、「解約できない」「退会したつもりが請求されていた」など、サブスクリプションに関する相談が寄せられている。スマートフォンアプリの場合は、通常、[ オ ]ことでサブスクリプションの解約ができる。

【語群】

  1. OS のアカウントで「設定」から手続きをする

  2. アプリをアンインストール(削除)する

  3. スマートフォンを機種変更する

  4. アプリ開発者にメールを送る

正解:1

〔参照URL〕【国民生活センター】「解約したはず!」「契約してない!」と思い込んでいませんか? 予期せぬ“サブスク”の請求トラブルに注意!

【IPA】スマートフォンの偽セキュリティ警告から自動継続課金アプリのインストールへ誘導する手口にあらためて注意!


⑥ 実在する企業などをかたった電子メールからリンク先に誘導され、個人情報を詐取する犯罪の手口を[ カ ]と呼ぶ。最近はスマートフォンのSMS を利用した同様の手口もあり、2020(令和2)年頃には、個人情報が詐取されるほか、提供元不明のアプリがインストールされ勝手に海外や国内宛てにSMS が送信されるという被害が多発した。

【語群】

  1. ワンクリック詐欺 2. スキミング 3. フィッシング 4. ターゲティング

正解:3

〔参照URL〕【国民生活センター】実在する組織をかたるフィッシングメールに注意!