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消費生活相談員資格試験にチャレンジ2023(8)

2022年度 消費生活相談員資格試験(独立行政法人国民生活センター実施)の問題・正解に簡単な解説等を付した記事シリーズ第八弾、第12問と第13問です。


12.次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
※以下は、特定商取引法に関する問題である。

① 訪問販売において、事業者が消費者を威迫して困惑させたことにより、消費者が商品の売買契約を締結する意思表示をしたとき、消費者は、特定商取引法により、当該契約を取り消すことができる。

正解:×

〔コメント〕特定商取引法では事業者による威迫・困惑を禁じており、違反すれば処罰等の対象にはなるが、それにより当該契約の取り消しができるという規定はない。


② 訪問販売により消費者が化粧品のセットを購入し、自ら当該化粧品の使用を開始した場合で、法定書面が交付されているとき、消費した最小単位について、当該契約のクーリング・オフはできない。

正解:○

〔参照条文〕特定商取引に関する法律
(適用除外)
第二十六条 1~4(省略)
5 第九条及び第二十四条の規定は、訪問販売又は電話勧誘販売に該当する販売又は役務の提供が次に掲げる場合に該当する場合における当該販売又は役務の提供については、適用しない。
 一 第九条第一項に規定する申込者等又は第二十四条第一項に規定する申込者等が第四条第一項若しくは第五条第一項若しくは第二項又は第十八条第一項若しくは第十九条第一項若しくは第二項の書面を受領した場合において、その使用若しくは一部の消費により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該販売業者が当該申込者等に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)。
 二~三(省略)

特定商取引に関する法律施行令
第十六条 法第二十六条第五項第一号の政令で定める商品は、別表第三に掲げる商品とする。
別表第三(第十六条関係)
 一~四 (省略)
 五 化粧品、毛髪用剤及び石けん(医薬品を除く。)、浴用剤、合成洗剤、洗浄剤、つや出し剤、ワックス、靴クリーム並びに歯ブラシ
 六~八 (省略)
履物


③ 鍵修理業者のホームぺージの「鍵の修理3,000 円~1万円」という記載を見て、当該事業者に修理を依頼し、自宅に来てもらい、鍵を確認してもらったところ、「特殊な鍵なので修理代は15 万円だ」と言われて、修理の契約をした。この場合、訪問販売の規定は適用されない。

正解:×

〔コメント〕特定商取引法第26条第6項第1号において法の適用除外とされている「消費者側からの来訪要請」で論点となる典型事例。この点について、消費者庁の逐条解説では以下のように述べられている(一部抜粋)。
https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_06.pdf

広告等での表示額と実際の請求額に相当の開きがあった場合、訪問を依頼した段階においては、消費者は広告等で表示されていた安価な価格で契約を締結する程度の意思しか有しておらず、実際の請求額ほど高額な価格での契約を締結する意思を有していなかったといえ、実際に請求された金額で契約の申込み又は締結を行いたい旨の明確な意思を表示したといえないような場合には、当該消費者は「請求した者」には該当せず、適用除外に当たらないと考えられる。

【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説

④ 事業者は、電話勧誘販売をしようとするときは、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならないが、訪問販売をしようとするときは、その必要はない。

正解:×

〔参照条文〕特定商取引に関する法律
(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止等)
第3条の2 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならない。
2 (省略)


⑤ 通信販売において禁止される虚偽・誇大広告には、実際には当該商品が公認や推薦を受けていないにもかかわらず、「○○省公認」、「〇〇県推薦」という表示がなされた場合も含まれる。

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第2章第3節 通信販売・第12条)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_04.pdf


⑥ 通信販売業者が、電子契約の申込みを受ける場合において、電子契約に係る電子計算機の操作が当該電子契約の申込みとなることを、消費者が当該操作を行う際に容易に認識できるように表示しなかったときは、当該事業者は行政処分の対象となる。

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第2章第3節 通信販売・第12条の6)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_04.pdf


⑦特定継続的役務提供に該当する結婚相手紹介サービスの契約をする際に、消費者が、事業者から、「結婚相手紹介サービスの契約には婚約指輪の契約が必要」と言われ、当該事業者から婚約指輪も購入した。この場合において、当該結婚相手紹介サービスの契約をクーリング・オフしたときは、当該婚約指輪の購入契約もクーリング・オフをすることができる。

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第4章 特定継続的役務提供・第48条第2項)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_08.pdf


⑧ 連鎖販売取引には、観葉植物のレンタルなど、事業者が有償で行う役務提供と同種の役務を加入者が提供する取引も含まれる。

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第3章 連鎖販売取引・第33条第1項)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_07.pdf


⑨ 消費者が、事業者から「当社のデータ入力研修を受講すれば、データ入力業務を提供するので、パソコンを使って、ステイホームで稼げる」と勧誘され、当該事業者の提供する有償のデータ入力研修を受講した場合、当該研修受講契約は、業務提供誘引販売取引に該当する。

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第5章 業務提供誘引販売取引・第51条第1項)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_09.pdf


⑩ 業務提供誘引販売業を行う者が、勧誘目的を告げずに、営業所以外の場所で呼び止めた者を公衆の出入りする場所以外の場所へ同行させて、業務提供誘引販売取引契約の締結について勧誘することは、禁止されていない。

正解:×

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第5章 業務提供誘引販売取引・第52条)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_09.pdf


⑪ 訪問購入業者は、勧誘の要請をしていない者に対し、営業所等以外の場所において、訪問購入に係る売買契約の締結について勧誘をし、又は勧誘を受ける意思の有無を確認してはならない。

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第5章の2 訪問購入・第58条の6)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_10.pdf


⑫ 販売業者が、消費者に契約を締結させて代金を支払わせる目的で、売買契約に基づかずに商品を送付した場合、消費者は、7日間はその商品を保管しなければならない。

正解:×

〔コメント〕いわゆる「送り付け商法(ネガティブ・オプション)」に関する記述。従前は、注文や契約をしていないにもかかわらず、金銭を得ようとして一方的に送付された商品について、消費者は、その商品の送付があった日から起算して14日が経過するまでは、その商品を処分することはできなかったが、令和3年7月6日施行の特商法改正により、事業者は送付した商品について直ちに返還請求できなくなったため、注文や契約をしていないにもかかわらず、金銭を得ようとして一方的に送り付けられた商品については、消費者は直ちに処分することができるようになった。


13.次の文章のうち、下線部が2ヵ所とも正しい場合は○を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。
※以下は、特定商取引法に関する問題である。

① 訪問販売による商品売買契約がクーリング・オフされた場合であって、商品が既に消費者に引き渡され使用されているときは、事業者は、消費者に当該商品の使用利益相当額の支払いを㋐請求できない。訪問販売による役務提供契約がクーリング・オフされた場合であって、既に役務の提供がなされているときは、事業者は消費者に当該役務の対価の支払いを㋑請求できない

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第2章第2節 訪問販売・第9条)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_03.pdf


② 特定継続的役務提供契約において、その役務受領者が、営業のために当該契約を締結した場合、特定継続的役務提供に関する規定は㋐適用されない。連鎖販売業を行う者Aと連鎖販売契約を締結した居酒屋の店主Bが、特定負担として購入した洗剤を、もっぱら店舗外で知人等に再販売している場合、クーリング・オフの規定は、BがAと締結した連鎖販売契約に㋑適用される

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第4章 特定継続的役務提供・第4条、第3章 連鎖販売取引・第33条)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_08.pdf

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_07.pdf


③ 事業者からの電話で、消費者が商品の購入を勧誘され、その後ファクシミリで申込みをした場合は、電話勧誘販売に㋐該当しない。事業者から、販売目的の記載がなく、電話をするよう要求する記載のみがあるハガキが届いたため、消費者が当該事業者に電話をしたところ、その電話で商品の購入を勧誘され、その場で契約の申込みをした場合は、電話勧誘販売に㋑該当する

正解:㋐

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第2章第5節 雑則)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_06.pdf


④ インターネット上で、海外在住の消費者が、日本の事業者と商品購入契約をした場合には、通信販売の規定は㋐適用されない。インターネット上で、日本在住の消費者が、金融商品取引法上必要な登録をしていない事業者から金融商品を購入した場合には、通信販売の規定は㋑適用されない

正解:㋑

〔コメント〕「金融商品取引法第2条第9項に規定する金融商品取引業者が行う同条第8項に規定する金融商品取引業に係る販売又は役務の提供」は特定商取引法の適用除外だが、金融商品取引法未登録事業者はこの要件から外れるため、特定商取引法が適用となる。


⑤ 小学生を対象とした学校教育の補習のための学習塾は、特定継続的役務に㋐該当しない。浪人生のみを対象とした大学受験予備校は、特定継続的役務に㋑該当しない

正解:㋐

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第4章 特定継続的役務提供・第41条)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_08.pdf


⑥ 連鎖販売契約が締結され、連鎖販売業を行う者が、連鎖販売加入者Aに対し、商品を販売した。この場合に、Aが連鎖販売契約を中途解約したとしても、当該連鎖販売契約の締結から㋐1年を経過しているときや、㋑当該商品販売契約締結から90 日を経過しているときは、Aは当該商品販売契約を解除することができない。

正解:㋑

〔コメント〕後段部分は「当該商品販売契約締結」ではなく「当該商品の引渡し」が正しい。
〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引に関する法律の解説(第3章 連鎖販売取引・第40条の2)

https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230623la03_07.pdf