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消費生活相談員資格試験にチャレンジ2023(5)

2022年度 消費生活相談員資格試験(独立行政法人国民生活センター実施)の問題・正解に簡単な解説等を付した記事シリーズ第五弾、第6問と第7問です。


6. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が負う重要事項説明義務の範囲は、同法第35 条に規定されている各事項に限定されている。

正解:×

〔コメント〕宅地建物取引業法第35条第1項では、「少なくとも次に掲げる事項について、(中略)説明をさせなければならない。」と規定しており、同条に規定されている事項のみで事足りるとは限らない。

〔参照URL〕【国土交通省】宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(令和4年5月18日)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001479785.pdf
(P19、第35条第1項関係「本項各号に掲げる事項は、宅地建物取引業者がその相手方又は依頼者に説明すべき事項のうち最小限の事項を規定したものであり、これらの事項以外にも場合によっては説明を要する重要事項があり得る。」)


② 従来、借地借家法の規定は民法に優先して適用されてきたが、2017(平成29)年の民法改正により、民法が優先して適用されることになった。

正解:×

〔コメント〕一般法の民法より特別法の借地借家法が優先して適用されること自体には変わりはない。ただし、従前から借地借家法には規定されておらず民法によることとされていた事項が、民法改正により影響を受けることにはなった。


③ 借地借家法では、定期建物賃貸借契約について、契約の更新がないこととする旨を定めることができるのは、公正証書による等書面によって契約をするときに限られるとされている。

正解:○

〔参照条文〕借地借家法
(定期借地権)
第二十二条 存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
2 (省略)


④ 民法では、建物の賃貸人は、賃貸借が終了したときは速やかに敷金から所定の額を控除した残額を返還しなければならず、賃借人は、その返還を受けるまで賃借物の返還を留保することができるとされている。

正解:×

〔参照条文〕民法(令和2年4月1日施行の改正民法で新たに規定された条項)
第六百二十二条の二 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
2 (省略)


⑤ 住宅のリフォーム工事については、建築基準法に基づく建築確認が必要となることはない。

正解:×

〔コメント〕建物の構造・規模等によっては、住宅リフォームも建築確認が必要となることがあり得る。(建築基準法第6条)


⑥ 建築した当時の建築基準法を遵守して建築された建築物であれば、その建築後、建築基準法が改正され、その改正法に適合しないこととなったときでも、改正法は適用されない。

正解:○

〔参照条文〕建築基準法
(適用の除外)
第三条 1(省略)
2 この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。


⑦ 住宅品確法において、「日本住宅性能表示基準」とは、同法の規定により定められた、住宅の性能に関し表示すべき事項及びその表示の方法の基準をいう。

正解:○

〔参照条文〕住宅の品質確保の促進等に関する法律
(定義)
第二条 1~2(省略)
3 この法律において「日本住宅性能表示基準」とは、住宅の性能に関し表示すべき事項及びその表示の方法の基準であって、次条の規定により定められたものをいう。
4~5 (省略)


⑧ 老人福祉法によれば、有料老人ホームを設置しようとする者は、あらかじめ、その施設を設置しようとする地の都道府県知事に対して、同法で規定する事項を届け出る義務がある。

正解:○

〔参照条文〕老人福祉法
(届出等)
第二十九条 有料老人ホーム(老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの(以下「介護等」という。)の供与(他に委託して供与をする場合及び将来において供与をすることを約する場合を含む。第十三項を除き、以下この条において同じ。)をする事業を行う施設であつて、老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、あらかじめ、その施設を設置しようとする地の都道府県知事に、次の各号に掲げる事項を届け出なければならない。
 一 施設の名称及び設置予定地
 二 設置しようとする者の氏名及び住所又は名称及び所在地
 三 その他厚生労働省令で定める事項


⑨ 住宅瑕疵担保履行法は、新築住宅の建設業者又は新築住宅の売主である宅地建物取引業者に対し、瑕疵担保保証金の供託又は瑕疵担保責任保険契約の締結を義務づけている。

正解:○

〔参照URL〕【国土交通省】住宅瑕疵担保履行法について


⑩ 区分所有法では、マンションの区分所有者は、自らの専有部分であれば、自由にリフォーム工事をすることができる。

正解:×

〔コメント〕区分所有法では、第6条第1項で「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」と規定し、同条第3項で「第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(中略)に準用する。」と規定しているので、専有部分であれば自由にリフォームができるとは言えない。
 また、国土交通省が示している「マンション標準管理規約」でも、共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある専有部分の修繕等については、予め管理組合の理事長に申請し、承認を得なければならない旨の規定がモデルとされている。


7. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 旅行業法では、旅行業務の広告について、同法所定の事項に関し、著しく事実に相違する表示や実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示を禁止する規定を設けている。

正解:○

〔参照条文〕旅行業法
(誇大広告の禁止)
第十二条の八 旅行業者等は、旅行業務について広告をするときは、広告された旅行に関するサービスの内容その他の国土交通省令・内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。


② 標準旅行業約款によれば、手配旅行契約に基づき旅行業者が旅行者に対して宿泊施設の手配をした場合において、当該宿泊施設が休業により宿泊できなかったとしても、旅行業者が善管注意義務を尽くしていたときは、旅行業者は旅行者に対して債務不履行責任を負わない。

正解:○

〔参照URL〕【国土交通省】標準旅行業約款(手配旅行契約の部・第23条)https://www.mlit.go.jp/common/001339267.pdf


③ 標準引越運送約款では、引越運送業者は、見積書に記載した荷物の受取日の3日前までに、見積書の記載内容の変更の有無を申込者に対して確認しなかった場合は、荷送人の責任による解約がなされても、解約手数料を請求しないこととされている。

正解:○

〔参照URL〕【国土交通省】標準引越運送約款(第21条)
https://www.mlit.go.jp/common/001279970.pdf


④ 標準宅配便運送約款によれば、宅配業者が自己の不注意で傷つけた荷物の損傷に気づかないまま荷受人に引き渡した場合、荷物の引渡しを受けた日から14 日以内に損傷についての通知を発しなければ、宅配業者の荷物に対する責任は消滅する。

正解:○

〔参照URL〕【国土交通省】標準宅配便運送約款(第24条)


⑤ 倉庫業法におけるトランクルームとは、寄託を受けた消費者の物品の保管の用に供する倉庫をいい、倉庫業者は、トランクルームで行う寄託物の保管に関して善管注意義務を負う。

正解:○

〔参照条文〕商法
(倉庫営業者の責任)
第六百十条 倉庫営業者は、寄託物の保管に関し注意を怠らなかったことを証明しなければ、その滅失又は損傷につき損害賠償の責任を免れることができない。

 倉庫業法
(定義)
第二条 1~2(省略)
3 この法律で「トランクルーム」とは、その全部又は一部を寄託を受けた個人(事業として又は事業のために寄託契約の当事者となる場合におけるものを除く。以下「消費者」という。)の物品の保管の用に供する倉庫をいう。


⑥ チケット不正転売禁止法には、特定興行入場券の不正転売を禁止する規定はあるが、不正転売目的での特定興行入場券の譲受けを禁止する規定はない。

正解:×

〔参照条文〕特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律
(特定興行入場券の不正転売を目的とする特定興行入場券の譲受けの禁止)
第四条 何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。


⑦ 探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、当該依頼者の求めがない限り、探偵業法上、法定事項について記載した書面を交付する必要はない。

正解:×

〔参照条文〕探偵業の業務の適正化に関する法律
(重要事項の説明等)
第八条 探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該依頼者に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。
(以下省略)


⑧ 電気事業法によれば、小売電気事業者は、小売供給を受けようとする者と小売供給契約を締結したときは、経済産業省令で定める場合を除き、遅滞なく、その者に対し、法定事項を記載した書面を交付しなければならないとされている。

正解:○

〔参照条文〕電気事業法
(書面の交付)
第二条の十四 小売電気事業者等は、小売供給を受けようとする者と小売供給契約を締結したとき(小売供給契約の締結の媒介を業として行う者にあつては、当該媒介により小売供給契約が成立したとき)は、経済産業省令で定める場合を除き、遅滞なく、その者に対し、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
(以下省略)


⑨ 2019(令和元)年に改正された動物愛護管理法では、動物の適正な取扱いを促進するため、第一種動物取扱業の登録拒否事由を追加するとともに、第一種動物取扱業者が遵守しなければならない基準が具体化された。

正解:○

〔参照URL〕【環境省】動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律


⑩ 医薬品医療機器等法では、医薬品、医療機器等に関する虚偽・誇大広告が禁止されており、厚生労働大臣は、違反行為者に対し、原則として課徴金の納付を命じなければならないとされている。

正解:○

〔参照条文〕医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
(誇大広告等)
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2~3 (省略)
(課徴金納付命令)
第七十五条の五の二 第六十六条第一項の規定に違反する行為(以下「課徴金対象行為」という。)をした者(以下「課徴金対象行為者」という。)があるときは、厚生労働大臣は、当該課徴金対象行為者に対し、課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額の合計額(次条及び第七十五条の五の五第八項において「対価合計額」という。)に百分の四・五を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。
2~4 (省略)


⑪ 医療法及び「医療広告ガイドライン」によれば、医療法による規制の対象となる「広告」とは、①患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)、又は、②医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)のいずれかの要件を満たすものをいう。

正解:×

〔コメント〕①②のいずれの要件も満たしていることが条件。
〔参照URL〕【厚生労働省】医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)
https://www.mhlw.go.jp/content/001041533.pdf