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消費生活相談員資格試験にチャレンジ(16)

2021年度 消費生活相談員資格試験(国民生活センター実施)の問題・正解に簡単な解説等を付した記事シリーズ、今回は16・17・18問目をまとめて掲載します。
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16.次の文章の[   ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

インターネットを利用してウェブサイトを閲覧すると、そのウェブサイトから[ ア ]と呼ばれる識別子が閲覧者に送信され、その後、閲覧者が同じウェブサイトを訪れた際に、この[ ア ]によりウェブサイト側に再閲覧が認識される。広告配信事業者がこの仕組みを利用して、閲覧者のウェブサイト閲覧履歴などの行動履歴情報によりカテゴリー分類を行い、それぞれに適した[ イ ]広告を表示させることができる。
[ ウ ]では、個人データの[ エ ]については、原則として本人の同意を得る必要がある。[ ア ]だけでは、直接、閲覧者の個人は特定できないが、その情報の提供先が自ら取得している個人情報とひも付けることで、提供先では閲覧者の個人を特定することが可能となる場合がある。
問題になったケースでは、就職支援サービスにおいて、この仕組みをもとに算定した学生の内定辞退率を、本人の明確な同意なく外部企業に販売したことなどについて、[ オ ]から勧告等を受けている。
インターネットに関連する最近の動きとして、2021(令和3)年2月1日に「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」が施行された。国内売上高が 3,000 億円以上の物販総合オンラインモールと 2,000 億円以上の[ カ ]は特定デジタルプラットフォーム提供者として指定され、取引条件等の情報の開示や自主的な手続・体制の整備などの役割が定められた。

【語群】

  1. 個人情報保護法  2. 行動ターゲティング  3. 利用目的の変更  4. フリマアプリ  5. IP アドレス  6. 消費者庁  7. リスティング(listing)  8. SNS  9. 個人情報保護委員会  10. 情報公開法  11. クッキー(cookie)  12. 第三者提供  13. ステルス(stealth)  14. アプリストア  15. 公益通報者保護法  16. 委託先への提供

正解

インターネットを利用してウェブサイトを閲覧すると、そのウェブサイトから[ア:11.クッキー(cookie)]と呼ばれる識別子が閲覧者に送信され、その後、閲覧者が同じウェブサイトを訪れた際に、この[ア:11.クッキー(cookie) ]によりウェブサイト側に再閲覧が認識される。広告配信事業者がこの仕組みを利用して、閲覧者のウェブサイト閲覧履歴などの行動履歴情報によりカテゴリー分類を行い、それぞれに適した[イ:2.行動ターゲティング ]広告を表示させることができる。
[ウ:1.個人情報保護法 ]では、個人データの[エ:12.第三者提供 ]については、原則として本人の同意を得る必要がある。[ア:11.クッキー(cookie)]だけでは、直接、閲覧者の個人は特定できないが、その情報の提供先が自ら取得している個人情報とひも付けることで、提供先では閲覧者の個人を特定することが可能となる場合がある。
問題になったケースでは、就職支援サービスにおいて、この仕組みをもとに算定した学生の内定辞退率を、本人の明確な同意なく外部企業に販売したことなどについて、[オ:9.個人情報保護委員会 ]から勧告等を受けている。
インターネットに関連する最近の動きとして、2021(令和3)年2月1日に「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」が施行された。国内売上高が 3,000 億円以上の物販総合オンラインモールと 2,000 億円以上の[カ:14.アプリストア ]は特定デジタルプラットフォーム提供者として指定され、取引条件等の情報の開示や自主的な手続・体制の整備などの役割が定められた。

〔参照URL〕


17.問題①から④のそれぞれについてア~オの文章の中から、誤っている文章を2つ選んで、その記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 以下のア~オは、少額訴訟に関する問題である。
ア 特別の事情がある場合を除き、1回の口頭弁論期日で審理が完了する。
イ 請求の目的が金銭の支払いであるときに限り、反訴を提起することができる。
ウ 80万円の金銭の支払いの請求を目的とする訴えについて、簡易裁判所に審理及び裁判を求めることができる。
エ 判決に対して控訴をすることはできない。
オ 被告が口頭弁論期日において弁論をした後は、被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができない。

正解:イ、ウ

〔コメント〕
イ:反訴提起はできない。
ウ:少額訴訟は60万円以下の金銭の支払を求める訴え

〔参照条文〕民事訴訟法 
(少額訴訟の要件等)
第三百六十八条 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
2 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
3 前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。
(反訴の禁止)
第三百六十九条 少額訴訟においては、反訴を提起することができない


② 以下のア~オは、国民生活センター紛争解決委員会における重要紛争解決手続に関する問題である。
ア 和解仲介手続において当事者間に和解が成立した場合、当該和解は、確定判決と同一の効力を有する。
イ 紛争解決委員会は、和解で定められた義務について、義務者に対し、義務の履行に関する勧告をすることができる。
ウ 和解仲介手続の申請は、消費者のほか、適格消費者団体や事業者もすることができる。
エ 和解仲介手続及び仲裁手続は、非公開とされている。
オ 仲裁手続では、法令により他人の法律事務を取り扱うことを業とすることができる者でなければ、当事者の代理人となることができない。

正解:ア、オ

〔コメント〕
ア:和解の仲介によってなされた合意(和解)は、裁判所で行う和解と異なり、和解により義務を負った当事者が、これを履行しなかった場合でも、合意(和解)に基づいて直ちに強制執行することができない。
オ:法令により他人の法律事務を取り扱うことを業とすることができる者又は委員会等が承認した者

〔参照条文〕独立行政法人国民生活センター法施行規則
(代理人等)
第十条 重要消費者紛争解決手続については、法令により他人の法律事務を取り扱うことを業とすることができる者(重要消費者紛争がその法令により取り扱うことができる事件である場合のものに限る。)又は委員会等が承認した者でなければ、代理人となることができない。

〔参照URL〕


③ 下のア~オは、景品表示法に関する問題である。
ア 商品、容器又は包装による広告及びこれらに添付したものによる広告は、表示に該当する。
イ 優良誤認表示及び有利誤認表示に該当するには、表示をした事業者の故意又は過失が必要である。
ウ 商品の品質に関して不当表示が行われた場合、規制の対象となる事業者は、不当な表示についてその内容の決定に関与した事業者である。
エ 「著しく優良であると示す」表示に当たるか否かは、一般消費者に、「著しく優良」と認識されるか否かという観点から判断される。
オ 適格消費者団体は、事業者が優良誤認表示又は有利誤認表示を現に行っているときは当該行為の差止を請求できるが、当該行為を行うおそれがあるのみでは差止を請求できない。

正解:イ、オ

〔コメント〕
イ:表示を行う事業者の主観的意図、その故意・過失は問題とされない。
オ:優良誤認表示及び有利誤認表示を行うおそれがあるときも当該事業者に対し、適格消費者団体は当該行為の差止を請求できる。

〔参照条文〕不当景品類及び不当表示防止法
第三十条 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体(以下この条及び第四十一条において単に「適格消費者団体」という。)は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると誤認される表示をすること。
 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
〔第2項以下省略〕


④ 以下のア~オは、個人情報保護法に関する問題である。
ア 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うにあたっては、その利用目的をできる限り特定しなければならない。
イ 個人情報取扱事業者は、本人から保有個人データの開示請求を受けた場合、当該開示の実施に関し、手数料を徴収してはならない。
ウ 要配慮個人情報とは、生存する個人に関する情報のうち、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいう。
エ 個人情報取扱事業者は、人の生命、身体又は財産の保護のために必要があり、本人の同意を得ることが困難である場合、本人の同意を得ずに、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱うことができる。
オ 個人情報保護委員会は、必要な限度において、個人情報取扱事業者等の個人情報等の取扱いに関し立入検査を行うことができるが、当該権限は、犯罪捜査のために認められたものではない。

正解:イ、ウ

〔コメント〕
イ:手数料を徴収することができる。
ウ:要配慮個人情報とは、本人の人種、信条等

〔参照条文〕個人情報の保護に関する法律
(手数料)
第二条第3項 この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。
第三十八条 個人情報取扱事業者は、第三十二条第二項の規定による利用目的の通知を求められたとき又は第三十三条第一項の規定による開示の請求を受けたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができる


18.次の文章の[   ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

カジノ施設について定める[ ア ]の審議過程において、ギャンブル等依存症患者への対策を抜本的に強化することの重要性が確認されたことから、2018(平成30)年にギャンブル等依存症対策基本法が成立した。
ギャンブル等依存症対策基本法において、ギャンブル等依存症とは、ギャンブル等にのめり込むことにより日常生活又は[ イ ]に支障が生じている状態をいうとされる。2019(平成31)年に閣議決定された「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」においては「[ ウ ]問題等への取組」も掲げられ、[ エ ]及び消費者庁は相談対応マニュアルの改訂などにより、[ ウ ]相談窓口とギャンブル等依存症対策に関する相談拠点等との連携を進めている。
なお、ギャンブルが原因で支払不能に陥った場合であっても、裁判所に自己破産を申し立てて、[ オ ]の決定を得ることによって救済が図られることがある。

【語群】

  1. 観光立国推進基本法   2. 社会生活   3. 再生許可   4. 文部科学省   5. 多重債務   6. エコツーリズム推進法   7. 貧困   8. 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律   9. 事業活動   10. 免責許可   11. 金融庁   12. 自殺

正解

カジノ施設について定める[ア:8.特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律 ]の審議過程において、ギャンブル等依存症患者への対策を抜本的に強化することの重要性が確認されたことから、2018(平成30)年にギャンブル等依存症対策基本法が成立した。
ギャンブル等依存症対策基本法において、ギャンブル等依存症とは、ギャンブル等にのめり込むことにより日常生活又は[イ:2.社会生活 ]に支障が生じている状態をいうとされる。2019(平成31)年に閣議決定された「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」においては「[ウ:5.多重債務 ]問題等への取組」も掲げられ、[エ:11.金融庁 ]及び消費者庁は相談対応マニュアルの改訂などにより、[ウ:5.多重債務 ]相談窓口とギャンブル等依存症対策に関する相談拠点等との連携を進めている。
なお、ギャンブルが原因で支払不能に陥った場合であっても、裁判所に自己破産を申し立てて、[オ:10.免責許可 ]の決定を得ることによって救済が図られることがある。

〔参照URL〕特定複合観光施設区域整備法案の概要
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/kokkaiteisyutsuhoan/gaiyou.pdf