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His Favorite Songs of Ryuichi Sakamoto

坂本龍一さんが2023年3月28日に亡くなった。

TOKYO FM番組「Radio Sakamoto」の終了(最終回は大貫妙子さんが代わって進行を務め、高橋幸宏さんの追悼特集だった)、神宮外苑の樹木伐採中止を東京都知事等に対し求めた手紙の文面は、嫌な予感を抱かせるものだったが、しかしこれほど早く、とは、40年以上、彼の音楽をライヴ、レコードやCDで聴いてきた者として、気持ちを整理できないままでいる。

メディアでは、彼の作品が幾つか取り上げられていて、偏りや勘違いもあるものの、率直に「こんなところだろうな」とは思う。

私も"極私的・坂本龍一の何曲"を考えようとしたのだが、とてもまとまらないので、変則的な追悼とはなるが、坂本さん自身が「好き」と言っていた、と私が憶えている曲を挙げていきたい。

ラヴェル : 弦楽四重奏 ヘ長調

ETV「スコラ 音楽の学校」で、坂本さんが影響を受けたアルバムとして挙げたのが、アルバン・ベルク・カルテットの演奏による「ドビュッシー & ラヴェル」。

そのレコードのB面(CDでは後半)がラヴェルの弦楽四重奏曲で、中でも私には「第二楽章」が興味深い。

坂本さんが学生のとき、近代フランスの作曲家たちを学んだことは、多くの人がご存知と思う。

この第二楽章の旋律と音色を聴くと、坂本さんの作品を知る人は、なるほど、と頷けるだろう。


ビル・エヴァンス・トリオ : タイム・リメンバード

2019年の映画「ビル・エヴァンス タイム・リメンバード」のタイトルにもなった、同名アルバムのラストを飾る表題曲。

坂本さんが、ビル・エヴァンスの持つクラシック素養がよく表現された曲である、として挙げたもので、場所はこれも「スコラ」だったと思うが、違うかもしれない。

ビル・エヴァンスは熱心なリスナーが多いので、素人同然の私がとやかく言うのではないが、このイントロの数音を聴けば、心が揺れ動くだろう。
逆に言えば、心が動かない人は、ビル・エヴァンスとは縁が無い。


坂本龍一 : Diabaram

坂本さん自身の1989年のアルバム「Beauty」に収められている曲。

セネガルのミュージシャン、ユッスー・ンドゥールがヴォーカルを務めていて、彼の発声では曲名が「ヂャバラム、ヂャバラム」と聴こえる。

私がこの曲を挙げたのは、1991年に開催された「WOMAD 横浜」の三日目、全体の掉尾を飾るガラ・コンサートで坂本さんが登場し、前日のトリだったユッスーを舞台に招いて演奏したからだ。

この「早すぎたフェス」については、参加した者の一人として、いずれ書きたいが、ユッスーのステージは凄まじい、なぞというレベルではなく、これは音楽なのか、という全く未知の体験だった(アルバム収録曲を演じたにも関わらず、だ)。

坂本さんもユッスーの音楽に衝撃を受けて、ユッスーの音楽が好きだからこそ、自作に彼を招いたのだろう。


まとまるようで、まとまらなかったが、一リスナーの私もまだまだ混乱している、ということで、ご勘弁ください。

これらの曲を、坂本さんの枕頭に捧げます。

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