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二十四節気の養生法【2022處暑】

 秋の2番目の節気。8月23日から9月6日(白露の前日)までの2週間が「處暑」です。
暦便覧には「陽気とどまりて、初めて退きやまんとすれば也」とあります。  
 今年は地球レベルで大気が非常に不安定ですね。ヨーロッパや中国でも40℃を超える気温で水不足となり大干ばつや山火事などの被害があるかと思えば、同じ町で1か月分の降雨量が1時間で降り大洪水になるなど大きな災害となっています。日本でも東北や北海道、さらに北陸や滋賀でも線状降水帯が発生して洪水災害が発生したりしています。京都街中でも1時間に100㎜以上の雨が降るなどもありました。秋は、夏から冬への大きな季節の変わり目と言えます。例年でも台風や秋霖など天候が不順になりやすい時期なので、今年は特に注意が必要です。今年は五黄土星が中宮に廻座しており、地震や噴火など大きな災害が発生しやすい歳と言われています。これからも自然災害は起こりますので十分気をつけてお過ごしください。

今月の癒しの庭園 智積院の「利休好みの庭」

 今回のお庭は、東山七条にある「智積院」です。京都を西から東へ通じる七条通りの東の突き当りにあるお寺です。弘法大師空海が開宗しその後徳川家康によって現在の地に寄進された真言宗智山派の総本山となっています。中には、「利休好みの庭」と伝えられる中国の廬山を模って作られた名勝庭園があり、四季折々の美しさを楽しめます。前はよく通るのですが一度拝見してみたいなぁと思っていたお庭です。

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七条通りの東の突き当りに立派な総門があります。

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大きな狛犬に出迎えられ、「利休好みの庭」と書かれた名勝庭園へ

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講堂として使われている大広間の縁側の先に、池を配し築山・泉水式の庭園が広がります。誰もいない静かな日でしたので縁側の柱にもたれて、いつまでもボーッと庭を眺められました。

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庭の反対側の襖と正面には田渕俊夫画伯の襖絵が奉納され金箔に描かれた花や木が生き生きと彩られています。

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 かつては国宝の長谷川等伯によって描かれた障壁画が飾られていた大書院にまで続くとても広い池には鯉が泳ぎ、時折跳ねる音が響きます。この日はまだまだ暑くツクツクボウシの鳴き声も賑やかでした。

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 七条通りの総門から入ると正面にある大書院の玄関にはたくさんの子どもたちと戯れる布袋さんが描かれてココロがほっこり和みます。

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ついでに立ち寄った法務所の玄関には立派な龍の衝立が立てられていました。実は非公開だそうですが、金堂の横にある三部権現社拝殿の天井には龍の絵が描かれているそうです。公開が待ち遠しいです。

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大きな石をくりぬいた手水鉢や雀の襖絵などや、また立派な梵鐘や蓮の咲く池などもあり大きなお寺でゆったりと時を過ごせます。お堂越しに京都タワーが間近に見えるほど京都駅からもほど近く、近くには京都国立博物館や三十三間堂などがありますのでぜひ京都にお越しの際にはお立ち寄りになられてはいかがでしょう。すぐ隣にはフォーシーズンズホテル、向かいにはハイアットリージェンシーホテルと超高級ホテルもありますよ。

 皆さまも、お時間を見つけて少しリラックスできる場所に出かけて、静かに時の流れを感じてくださいね。すぐに忙しくてストレスフルな現実に引き戻されますが、癒されてリセットされたココロがカラダの奥底でエネルギーを充足してくれているはずです。

さて、では處暑の養生法です。

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 處暑とは、処暑とも書きますが、處は処の古い漢字でなんとなく私は處暑の方がイメージが良くてこちらを好んで使っています。
處とは、ところ、場所、場などを意味する漢字ですが、處暑とは夏の暑さが落ち着く頃という意味です。
 太陽の黄経が150度に来たことを示し、夏の終わりを告げるようにヒグラシが盛んに鳴き、三伏天と呼ばれる猛暑期も過ぎて暑さもようやく峠を越すころですが、「穀物は處暑になると黄色くなる」と言われ、穀物などの農作物にとっては収穫を控えた最も大切な成長期を迎える時期ですが、台風の季節にもなり、立春から数えて二百十日(今年は9/1)は、昔から農家が最も嫌う日とされます。

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 秋は、秋霖や秋雨と言われる秋雨前線が停滞し秋の訪れを知らせる長雨が降ります。台風と重なると大雨をもたらします。自然災害は甘く見ると危険です。9月1日は「防災の日」でもありますので、避難グッズや非常食などをチェックしたり、最近は交通機関なども早めにストップするので帰宅困難にならないよう事前に対策を考えておくことも大切です。陰陽五行の基である易経では、時を中ることと兆しを読むこと、つまり今やるべきことを行い、これから起こりうることを兆しから読み取ることで禍を避けられると書かれています。

 とは言え8月23日は旧暦の7月26日なのでまだ夏の真っ最中とも言えます。 残暑のことを“秋老虎,毒如虎”と言い、まだまだ蒸し暑い日が続きますので「暑さ対策」や「湿度対策」が必要です。日によって暑かったり涼しかったりするので、服装などで小まめに調整したり、夜寝る時も扇風機が必要な日や逆に窓を開けたままでは寒く感じる日もありますので、特に年配の方やお子さまなどは適度な調整が大切です。
 暑いからと言っていつまでもアイスクリームやスイカなどを食べているとお腹を壊したりするので、少しずつ温かいものを摂るように変えていきましょう。

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 秋は、陽気が旺盛だった夏から陰気が旺盛になる冬への大きな季節の変わり目です。自然界の「気」は巡っており、躍動感あふれる夏とは異なり、秋は万物が収斂する季節で全体的なリズムは少しずつ静かに穏やかになります。
食べる物や着る物も夏から冬へと切り替え、また私たちの暮らしのリズムもゆったりしたペースにして「」を養うことを意識することが大切です。 秋は心静かに月を愛で、野山に花を求むといった趣があります。 
 中医学では、陽気の盛衰をとても重視します。陽気は四季に応じて、「春生、夏長、秋収、冬臓」と変化します。陽気が最盛期を過ぎ、少しずつ陰の気が盛んになってくるこの季節の変わり目を、きちんと養生をして過ごすことが厳しい冬を無事に過ごすためにとても大切です。
陽が減り陰が増えるのに伴い、私たちのカラダにも十分に「」を養わなければなりません。陰は夜に旺盛になるので、しっかりと睡眠と休養をとってを養います。夜ぐっすり寝てしっかりと陰を養うことが出来ると、朝スッキリと目覚め、今度は陽の気を使って日中しっかりと活動することが出来ます。日中、陽の気を使って元気に活動すると、また夜にぐっすりと眠れて陰を養うことが出来るのです。これが中医学で考える陰陽の調和で、現代医学的には自律神経の正常な活動となります。この切り替えがうまくいかないと自律神経失調症になり、不眠症や日中でも眠たいとか、朝起きられないといった不調を招きます。それを防ぐためにはまず生活のリズムを陰陽調和させることが大切ですね。いつも言いますが「」はに属します。女性は特に生理期間中だけでも早く寝て失った陰血をたっぷり補充しないと貧血になります。

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 秋の養生は「滋陰潤肺」や「養陰防燥」ですが、 良い睡眠が陰を養い、疲れをとり体力を回復し、精神を穏やかに安定させ、免疫力を高めます。 また睡眠は、子どもは発育を促進し、女性には美容にとっても効果的です。 昔の時刻の呼び方で「(うま)」は午後0時、「(ね)」は午前0時で、一日の間ではこの時間に陽と陰が交替し陰陽が調和すると考えます。この時間は陰陽の変わり目で体力が低下しやすい時間なので、この時間に睡眠や休息をとることが大切だという考えがあり、昼寝は心臓や脳血管障害の予防にもとても有効な養生法だと考えられています。處暑の時期は、ちょうど夏から秋へ、陽から陰への変わり目なのでややこしい時期ですね。まだまだ残暑が厳しく夏のようなお天気が続きますが、「天気以急」と言い秋は天候が急変しやすいのが特徴ですので気をつけてください。もう少し秋が深まってくるまでは、夏の養生法を取り入れつつ、カラダを冷やすものや習慣は少しずつ避けるように気をつけていきましょう。

京都伝統中医学研究所の"処暑におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.「滋陰潤肺・養陰防燥」陰を養い肺を潤し乾燥から守るための薬膳茶&食材  
 「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように秋分の日ごろまでは、まだまだ暑い日も多いです。秋の前半は「温燥」と言って空気は温かい乾燥状態。 カラダの中に余分な熱を溜めやすい季節です。この時期はカラダの余分な熱を冷ましながら、乾燥を防ぎ潤す養生法が大切です。
陰を補い余分な熱を冷まし、肺を潤すオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「カラダ潤し茶」、「五望茶」、「増血美肌茶」、「野ばらとなつめの美顔茶」、「なつめ薬膳茶」、「酸梅湯」など、
薬膳食材では、「白キクラゲ」、「百合」、「金針菜」、「菊花」、「蓮の実」、「山査子」、「白きくらげのスィーツ」などがオススメ。
普段召し上がっているお味噌汁やスープに白キクラゲや百合、蓮の実、金針菜などを加えてお召し上がりいただくと滋陰潤肺、養陰防燥の効果がアップします。

2.「健脾利湿」湿邪から脾を守り、お腹の調子を調えるための薬膳茶&食材 
 秋分の日ごろまでは、まだまだムシムシと蒸し暑い日もあります。台風や突然の豪雨など意外と湿度が高い日も多いです。暑い日や涼しい日があり体調管理も難しい時期ですね。夏の疲れで弱った「脾」の働きを回復させ、お腹の調子を調えましょう。 
お腹を温め、脾の働きを高めるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「なつめ薬膳茶」、「薏棗紅豆茶」、「桂棗黒豆茶」、「健やか茶」、「美顔茶」など、
薬膳食材では、「なつめ」、「クコの実」、「蓮の実」、「美潤湯」、「いろいろお豆のお汁粉」、「食べる薬膳茶」などがオススメ。

3.「漢方入浴剤」カラダを温め、気血の巡りを促進し、ココロもカラダもリラックス 
 ヨモギがたっぷり入った「ポカポカあたため乃湯」でカラダが温まりココロの緊張もほぐれ、気の巡りを促進。ヨモギは温経止痛、散寒止痛、除湿止痒の効果があり内科、婦人科、皮膚科でもよく使われます。あせもや湿疹など皮膚病の予防にオススメです。
 また、エキゾチックでオリエンタルな香りの 「すっきりさっぱり乃湯」は、藿香正気散で有名な去暑薬の「藿香 」(かつこう)をたっぷり配合。 気の巡りが促進し、モヤモヤ気分もスッキリさっぱり、暑気あたりの体調不調やストレス、気鬱、不眠の解消にオススメです。ぬるめのお湯で半身浴などでリラックス、香りで癒されますよ♪

中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。
次回は、9月8日「白露」ですね。まだまだ残暑も厳しいでしょうかね!?  
秋と言っても空気が冷たくなる晩秋までは、「温燥」と言い、残暑の養生が大切です! 


 

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