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二十四節気の養生法【2023 穀雨】

 いよいよ春も最後の節気「穀雨(こくう)」ですね。ようやく気温も上がりアチコチで花も咲き、春真っ盛りなのにもう最後!?という感じで早いですね。今年は4月20日から5月5日までが穀雨です。穀物の成長を助ける雨のことで暦便覧には「春雨降りて百穀を生化すれば也」とあります。温かい春の雨が降り、それに合わせて田植えの準備が整う時期で、変りやすい春の天気も安定して日差しも徐々に強まってきます。
4月17日からは立夏の前18日になり「春の土用」にも入っています。 
 少しずつ自然界の気は「」から「」に移り変わり、万物がどんどん成長していく気に進んでいます。季節の気に合わせて「春の気」を取り入れて楽しみましょう。

今月の癒しの庭園 「梨木神社」

 今年は全国的に桜の開花が早かったですね。青森弘前城の桜ももう見ごろは終わって、北海道の桜が見ごろになっているでしょうか?
例年ならまだ見られる京都仁和寺の御室桜も今年は開花が早くもう葉桜のようです。

 今回は「梨木神社」をご案内します。京都御苑の東側を通る寺町通りの清和院御門のすぐ近くにあるこの神社は、本当は「萩」の花が有名で、毎年9月になると境内に萩の花が咲き乱れ「萩まつり」が開催されます。花ではなくどちらかというと「おはぎ」好きの私としては、また是非その頃に「おはぎ」を持って伺いたいですね。

秋には参道の両側に萩が咲き乱れます
湯川秀樹博士の石碑

 鳥居をくぐるとすぐに日本最初のノーベル物理学賞を受賞された湯川秀樹博士が詠まれた歌の石碑があります。
『千年の昔の園も かくやありし 木の下かげに 乱れさく萩』 湯川博士は「萩の会」初代会長を務められたそうです。

染井の井戸

 奥に進むと左手に手水舎がありますが、ここに京都の三名水の一つで「染井の井戸」があります。京都の三名水とは『染井(そめい)・佐女牛井(さめがい)・縣井(あがたい)』と言われますが、佐女牛井と縣井は今は枯れてしまっており、この染井の井戸だけが今も名水を拝受できます。

 そして染井のすぐ隣には、ご神木「愛の木」が聳えています。桂の木でハート形の可愛らしい葉が新緑で眩しく輝いています。
木に触れながら祈りごとをすると願いが叶うと言われているので、木の生命力からパワーをいただきましょう。

ご神木「愛の木」

境内に入ると大きな舞台があり、その向こう側に拝殿があります。

 お参りを済ませ門をくぐって参道を戻ると、染井の横に「虚中庵」という茶室があり、その隣にカフェがあります。虚中庵が出来る前に宮中から移築され、茶室として使われていた旧春興殿をリノベーションされカフェとしてオープンされています。

「Coffee Base NASHINOKI」

 もちろん名水「染井」の水を使いハンドドリップで入れていただいた美味しい珈琲とこの珈琲にマッチするようオリジナルで作られたお饅頭をいただきました。

 縁側に腰を掛けて、足をプランプランさせながら、お庭の新緑を眺めて美味しい珈琲とお饅頭でほっこりするひと時。

縁側好きにはたまりません

 少しずつ新緑が鮮やかになってきました。これからますます緑に癒されるようになりますね。皆さまもぜひ新緑に癒されにお出かけくださいね。
ついでに美味しい珈琲やお饅頭などもいただきながらたまにはリラックスするのも大切ですね(笑)心と体の緊張がほぐれ癒されますよ。

穀雨の養生法

土用は脾土を健やかに

 4月17日から「春土用」に入りました。土用というと若い方は、「鰻を食べる日」ということさえも知らないかもしれませんが、二十四節気や五節句以外で、夏も近づく八十八夜や台風の二百十日など主に農作業の目安や季節の移ろいを感じる日を雑節としました。鰻を食べるのは夏土用中の丑の日ですね。
 ただし、土用は、二十四節気が中国から伝わったのちに日本の農作業や生活に合わせて日本独自に出来た考え方や習慣で、中国では土用はありません。中国では夏の終わりを長夏と言い五行の「」に配当します。
五行の季節の配当は長夏となり、自然界の気は、春⇒、夏⇒、長夏⇒、秋⇒、冬⇒と変化します。
このように長夏は陽から陰への大きな変化の時と捉えています。

二十四節気と一年の陰陽五行

 日本では長夏がありませんので、立春、立夏、立秋、立冬の前18日間を、季節の分かれ目と考え、天候もカラダも不安定になりやすいのでそれぞれの季節の変わり目が土用としました。一年間の分かれ目として冬の土用の最終日(2月3日)を「節分」とし、翌日が立春で二十四節気では一年の始まりとされます。
 今年は5月6日が立夏となるのでその前18日間が春の土用となり、4月17日が土用の入りとなります。五行説では春は木夏は火、秋は金、冬は水と分類しますが、それぞれの季節の変わり目18日間をに分類して五行と為します。
陰陽五行説を基礎とする中医学も同様に、肝木、心火、肺金、腎水と配分しに配当します。(※脾とは中医学では消化器系=お腹のこと)

 土用の期間には、陰陽道の土公神と呼ばれる土を司る神様が、春は竈、夏は門、秋は井、冬は庭の土の中に入るので、土公神の居場所の土を掘り起こしたり、土木工事などを行うと神様の怒りを買い祟りに合うと忌み嫌います。特に五行で同じに配されるを傷めると考えられてきました。今の時代では「ホンマかいな!?」みたいな話かも知れませんが、私のお向かいの97歳になるお婆ちゃん(今でもピンピン元気です)に、以前我が家で推拿(マッサージ)をしたときに、そんな話をしたら『昔、家族みんなで庭いじりをしていたら通りがかった人が「今はそんなことしたらダメやのに」って言われたそうで、その時は「なぜダメなんだろう」って家族で話をしていたそうですが、そのあとすぐ旦那さんが胃潰瘍で入院したり、娘さんが盲腸になったり、私も食あたりになったりしたんよ』と話をされました。話した私が逆にちょっと怖くなりましたが、やっぱりそんなことがあるんだと思いました。宇宙人ではありませんが、「信じるか、信じないかは、あなた次第!?」

脾経・胃経を心地良くストレッチ

 ダメだと言われていることに、あえて挑戦しなくてもとも思いますね。
やはり季節の変わり目となり、大気も不安定でお天気も荒れやすく、体調も壊しやすいということなのかもしれませんね。特に暴飲暴食や冷たい物の飲みすぎ食べ過ぎに気をつけないと、お腹を壊して気血を作れなくなるよという戒めだと思います。脾を傷めないよう気をつけてお過ごしください。
 せっかくのゴールデンウィークで、冬の間、手を付けられなかった庭の手入れや畑仕事を頑張るぞ!と思っている方には申し訳ありませんが、この期間は庭仕事はやめてもう少しゆっくり過ごした方が良いかもしれません。
土用の期間は、脾経・胃経を良く伸ばすストレッチやヨガでリラックスするのがオススメです。

穀雨の時期に植えるから美味しい穀物が実る

美味しいお米を作ってください

 穀雨は、「雨水がいろいろな穀物を生みだす」という意味があり、4月25日は七十二候の「霜止出苗(しもやみてなえいづる)」時ですが、「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りることもなくなる」と言われます。
 降雨量が日に日に多くなり、お米の稲や栽培した農作物にもたっぷりの水が注がれ五穀がすくすくと成長する時です。桑の新芽も出て、昔はカイコを飼う人たちも忙しくなったり、「夏も近づく八十八夜~♪」と茶摘み歌を歌いながらお茶摘みも忙しくなる時期ですね。八十八夜は立春から数えて88日目で今年は5月2日です。穀雨のころから農作業にとって一年で最も忙しい農繁期になる時期ですね。
 時を逸することなく、入念に田畑を耕し、お天気の変化に気をつけて、作物を植えたり栽培したりして秋の収穫が豊作になるよう願います。

女性の三大要薬

25番、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

 前回【2023清明】で、女性の三大要薬の「24番、加味逍遥散(かみしょうようさん)」についてお話ししました。
続いて、今回は「25番、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」について話したいと思います。
 「25番、桂枝茯苓丸」は『金匱要略』(婦人妊娠病脈証并治第二十)に収戴され、元々は癥塊(ちょうかい)と呼ばれる子宮内の瘀血(血の塊)を取り除く漢方薬で、実証体質で滞った血を瀉する活血化瘀薬とされています。

25番、桂枝茯苓丸がオススメなのはどんな体質?

 桂枝茯苓丸は、桂枝(通陽・解表)・茯苓(健脾・利湿)・牡丹皮(活血・清熱)・芍薬(養血)・桃仁(活血化瘀)を粉末にして蜂蜜で丸く固めた漢方薬です。
桂枝茯苓丸を必要とする体質は、血の巡りが悪くなった血瘀(けつお)と呼ばれる体質で、肩こりや頭痛、腰痛、生理痛や足は冷えるのに汗がダラダラ冷えのぼせというような更年期症状、さらに子宮内膜症や子宮筋腫などにも使われます。

起こりやすい症状は?

 舌や唇が紫色っぽく、肌もくすみがちでシミやクマが出来やすい、下肢静脈瘤がある、虫刺されや小さな傷跡が消えにくい、青アザが出来やすい・消えにくい、頭痛、肩こり、腰痛、生理痛(キリキリ刺痛、固定痛、夜間痛)、月経血が赤黒い・ドロッとした塊りがある、月経困難症、子宮内膜症、肌荒れやアトピー、痔など。

瘀血になる体質的なパターンと中医養生法

 瘀血になる体質的な原因としては、主に4つのパターンが考えられます。
1.気滞血瘀
ストレスで気の巡りが悪くなり、やがて気血同源から血の巡りも悪くなる
このタイプの養生法は理気活血
2.血虚血瘀
血の絶対量が少なくチョロチョロしか流れていないため、血の巡りが悪く末端まで届かない。
このタイプの養生法は養血
3.寒凝血瘀
カラダが冷えているため、血の巡りが悪くなる。
このタイプの養生法は温補腎陽
4.食滞血瘀
血液がドロドロになって、血の巡りが悪くなる。
このタイプの養生法は消導や健脾養胃

 血瘀体質の中医治法は、活血化瘀、通経消瘕を行い鬱血を取り除き、行気解鬱、利湿を行い随伴して起こる気や水の障害も除くことで、桂枝茯苓丸もこの目的を持った漢方薬です。

桂枝茯苓丸タイプにオススメの薬膳

 桂枝茯苓丸は、このように活血化瘀をして鬱血を除き、行気解鬱利湿もする漢方薬なので、食べる食材なども同じ作用や効果があるものを選んで、桂枝茯苓丸を応援し、より薬の効き目を発揮させるのがオススメです。
 桂枝茯苓丸を服用されている場合は、その薬を処方された主治医によく相談されて食べる物を選択してください。処方した医師はなぜその薬を処方したのか根拠や意図があるはずです。前回も書きましたが服用された薬を応援して、効果を最大限発揮してくれた方が症状が早く収まり自分自身が楽になります。間違っても薬の効果が減ってしまうようなものを食べていては症状は治まらず薬代ばかりかかってしまいます。
 まだ桂枝茯苓丸を飲むほどまではいってないと言う人も、顔色が悪いとか内出血(青アザ)が消えにくいなどの場合は「未病」(黄色信号)状態なので、今の自分の体質的をみて、自分の体質に合った薬膳や養生を行って赤信号になる前に青信号に戻るように調えましょう。

食材では、
活血化瘀作用のあるもの
黒きくらげ、金針菜、菊花、山査子、紅花、マイカイ花、はと麦、青梗菜、あぶら菜、くわい、レンコン(生)、黒豆、なた豆、うど、みょうが、ぜんまい、バジル、紫蘇、ごぼう、しょうが、なす、ニラ、へチマ、よもぎ、三七人参、ウコン、桃仁、くるみ、黒ごま、大豆もやし、キウイ、ぐみ、バナナ、マンゴー、カラシ、黒砂糖、ごま油、酢、紅麴、酒、イカ墨、クラゲ、鯉、はも、青是の魚(あじ、さんま、さば、いわし)、など。

行気解鬱作用のあるもの 
金針菜、ジャスミン、マイカイ花、キャベツ、春菊、しょうが、ねぎ、紫蘇、ミント、タイム、ニラ、にんにく、ねぎ、バジル、よもぎ、らっきょう、なた豆、発芽玄米、金柑、仏手柑、橙、やまもも、りんご、ライチ、陳皮、クローブ、胡椒、山椒、シナモン、八角、など。
ポン酢や柚子、スダチ、レモン、オレンジなど柑橘系の味付けや大葉、三つ葉、香菜(パクチー)、みょうがなどの沿え野菜もオススメです。

利湿作用のあるもの
うど、だいこん、きゅうり、キャベツ、もやし、ごぼう、冬瓜、白菜、とうもろこし、へちま、スイカ、黒豆、そら豆、大豆、小豆、枝豆、インゲン豆、鮎、鯉、鯛、鱧、ドジョウ、アサリ、シジミ、ハマグリ、海苔、昆布、ひじき、ワカメ、鶏肉、鴨肉、酢、味噌、コーヒー、緑茶、烏龍茶、ハイビスカス、山査子、ジャスミン、緑豆、はと麦、金針菜、かぼちゃの種など。

血の巡りを良く養生法をしましょう

 血の巡りを調えるために、ヨガやストレッチやゆったりウォーキングなど軽い運動を心掛けましょう。でも頑張りすぎて汗をかき過ぎないこと(特にドロドロ血の人は要注意、サウナやホットヨガなどは避けましょう。どうしてもサウナやホットヨガをやりたいと言う人は、まず血の巡りを調えて桂枝茯苓丸のお世話にならなくてもよいカラダづくりをしてからにしましょう)、こってり食や冷たい物の飲食は極力控える、血に疲労物質が溜まるので過労、心労を避ける、出来るだけ早く寝て質の良い睡眠をとる(悩み事や考え事は布団に入るまでに終える)、過密スケジュールや自分にノルマを課す生活は見直すなど、できることから少しづつ取り入れてください。
 そしていつもハッピーハッピーに過ごしましょう。血の巡りが良くなってツライ症状もいつの間にか消え、桂枝茯苓丸のお世話にならなくてもよくなりますよ~♪

いつもハッピーハッピーな気分で過ごそう

京都伝統中医学研究所の"穀雨におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.「活血化瘀」におすすめ薬膳茶&食材

 薬膳茶では、「気血巡茶」「崑崙雪菊茶」「ダイエット応援爽快茶」「黒薔薇茶」「五望茶」など。
 薬膳食材では、「紅花」「山査子」「金針菜」「はと麦」「桑の実」「緑豆」「菊花」「マイカイ花」など。 

2.「行気解鬱」におすすめ薬膳茶&食材

 薬膳茶では、「気血巡茶」「理気明目茶」「麗香龍珠茶」「茉莉龍珠茶」「五望茶」「全部食べる薬膳茶 桑の実茶」「酸梅湯」など。
 薬膳食材では、「金針菜」、「ジャスミン」、「マイカイ花」など。

3.「利湿」におすすめ薬膳茶&食材

薬膳茶では、「水巡茶」「なつめ薬膳茶」など。
薬膳食材では、「金針菜」「緑豆」「はと麦」など。
薬膳スープ「四神湯スープ」、「いろいろお豆のスィーツセット」も。

中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。

薬膳茶や薬膳食材などの商品は各ショップでお買い求めいただけます。

薬膳茶&薬膳食材専門店 京都 楽楽堂  本店公式サイト正式オープン

ただいま京都 楽楽堂にて会員登録の上、商品をご購入いただいた方にもれなく彦阪泥舟社中共催企画で「紹運 易経曼荼羅」ファイルと「2023年貴女の星の開運の手引書」をプレゼント中!

京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/

 次回は、5月6日「立夏」ですね。もう夏ですよ!というのは早すぎます。
夏の気が立つ初夏ですね。一年で一番過ごしやすい季節でもあります。
かくいう私も数年前から花粉症で春は嫌いに!ヒノキ花粉がようやく収まるGW明けぐらいから梅雨入りまでが一番過ごしやすい季節です。
 



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