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宝石箱

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#オリジナル小説

この街を出て行くんだ。

「俺さ、卒業したら、この街を出て行くんだ」 いつもの放課後。いつもの暗くなった公園。 隣でブランコを漕ぐ優也が、前を見ながら言った。 「……何それ」 「何で?」とか「どうして?」ではなく、私の口から出てきた言葉はそれだった。 卒業したら、街を出て行く。 物語によくありがちな台詞に、現実味が湧かなかった。 「両親が、この街にいるのは危ないって。どんどん治安が悪くなってるから、最悪な事態が起きる前にって」 「何それ」 てっきり、夢とか何かがあって、それを叶える為に出