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私のMeToo

3さい

ゆきのあとのひに、きんじょのアパートのしたで、つもったゆきで、ひとりであそんでいた。
えりがくびまであってまっすぐにとじたせいふく(学ラン)のおおきなおにいさんが、まえからあるいてきて、とおりすぎた。
まだゆきであそんでいると、すこしして、うしろからきゅうにぱんつのなかにてをいれられた。
びっくりしてないて、いえにかえった。
なきながら、おかあさんにはなして、てれびのへやで、がようしにそのおとこのひとのにがおえをかいた。
おおきくて、くびまでくろいせいふくで、かみがみじかくて、かおがしかくかった。
にがおえがかきあがるころに、おまわりさんがげんかんにきていたのでわたしたら、びっくりしてほめてくれた。

・この先、性という特別なものを段階的に意識して行く時、その度に思い出します。
そしてそれは、感触の追体験でもあります。
思い出す度に、大切にしたいはずの性の感触が汚されます。

6才

きんじょのNちゃんが、おひめさまとおうじさまごっこをしようと言って、だんちのおどりばにわたしをおしたおした。
「おうじさまとおひめさまははだかでだきあってキスをするんだよ」とNちゃんはいった。

7才

通学路の帰り道、通りすがりの上級生に、「」って言って、としつこく声をかけられて、ずっと言われたので、言われた通りに「」と言ったら大笑いして騒いでいた。知らない言葉なのに後から恥ずかしくなった。植木の畑ばかりだった通学路の脇には、汚いエロ本がいつも落ちていた。

8才

家族旅行に行った時に、お父さんと男風呂に入った。
先に出ていてと言われて、ロッカーの前で着替えようとしていると、他の若い男の人達が「エッロー!エッロー!」と騒いでいたので、にらんだ。

・お父さんダメです絶対。お父さんがそうじゃなくてもそういう人は、思うよりも多いから。
一応擁護しますが、実際の父自身は、幼いところがありますが正義感の強い人です。
ちょうどこの頃、宮崎勤の事件でもちきりで、友人一家と家族で遊んだ際に、酒を飲んだ父と友人父達が「自分の娘にあんなことをされたら…」「殺す…」と話していたのが印象的です。

11才

親に連れられてスキー場に行った時に、スキーウェアをレンタルできる小屋に行った。
スキーウェアを合わせる時に、前の股から首までのチャックを、上げるのを、自分でやろうとしていたのにやられた。他にも、チェックをする感じで色々なところを触られてとても嫌だった。
自分でやる、と、もっとはっきり言うことができたのに、という気持ちがあるので、くやしくて、とても気持ち悪い。

・今でもこのことは一番気持ちが悪いです。 

13才

都内の私立中学に通うことになった。
朝の田園都市線、急行停車駅は混んでいて乗車口に詰めきれない人たちが膨らんでいるのでドアが閉まらない。人々肉肉を駅員が押し混んで閉める、1人で押し込められない時はもう1人駆けつけて2人がかりで押し込む。

初めて遭った痴漢は、入学まもない帰りの電車だった。
帰りの電車は行きの電車よりマシだが、立っている人間の肩が触れ合う位には混んでいる。
「他人が無断で尻を触って来ている」という、イレギュラーな状況に、まず心臓がバクンバクンと打ち、血流がおかしくなって、声も出ない。心臓の強い鼓動が、勝手に肺も、横隔膜も、振動させているのに、どうして声を振り絞れるだろうか。
ただでさえ、他人の大人に自分から声をかける、ということ自体、胸がドキドキしてしまう年齢だ。

家に帰って、自分の部屋に入っても震えが止まらない。悔しさと恐怖で泣く。

生理も来ていなかった。

*
それから、週に1回以上は満員電車の痴漢に遭う日々になった。

朝の狂ったような満員電車、いくつもの人という物体の圧力が、カバンをローリングして持って行ってしまう。ほとんどの人よりも背が低い私は、顔すらろくに動かせずに、視線だけを動かしても、どこに痴漢がいるのか、誰が触っているのか、わからない。

痴漢には、「やめてください」と言う。それはどこかで知っていた。
2回目からはもう、「やめて下さい」と言えた。

しかし言う時には、もう触られていて、ドクドクという自分の心臓の脈動が疎ましかった。

一番狙われる尻に、カバンを当てて隠すと、もっと嫌な前を触られ、尻にはカバン、前は手で、ガードしても手を触られる始末。頻繁に私は痴漢の手をつねった。

つねることができても、やめてと言っても、また性感帯を侵されたことには変わりない。

私の体は好きな人ではなくて、顔も見えないおっさんに触られるためにあるのだろうか

14才

まだ生理が来ていない。

「やめて下さい」ではなく、「やめろよ」と言うようになっていた。

「やめてください」と言っても、やめないやつがよく居るのだ。

ブレザーのポケットにカッターナイフを入れていた。
しかし満員電車の圧力は強すぎて、上手く切りつけることは出来なかった。

毎日のように遭う痴漢、満員電車による物理的心理的な体調不良、それまでとても「良い子」だった私は、停車駅で人がドアから溢れ出、また押し込まれるために乗車口に突進する、それをするための私の中の何かがカラになり、その日は溢れ出てそのまま電車を見送った。

「サボる」というダサい言葉が、自分の中に入ったその時、自分が白く透明なものではなくなったと知った。


当時の心理を描いた掌編はこちら


今でも

電車通学6年間の間に、ずっと痴漢に遭いました。

四方から手が伸びてきた時には、「痴漢の人口がそんなに多いんだ」と、ショックでした。
これについては何年も経ってから、打ち合わせて集合する「集団痴漢」というものの存在を2chで知りました。「たまたま近くにいた男達数人が痴漢」という痴漢人口じゃなかったんだ、良かった、と思いました。

度重なる痴漢で、痴漢の可能な至近距離なら彼の心臓部分が脈打つ様子や鼓動音で、あ、こいつ痴漢するな、とわかるようになりました。

「金払って風俗行けよ」「お前の妹や娘が同じことされたらどう思うんだよ」
手を掴めた時説教することもありました。足も浮く満員電車の中で。
ある男性はガタガタと震え、ある男性とはもみ合いになって彼が自分は無実だから警察へ行こうと言うので二人で交番へ行きました。

その時は、その男性が無実を喚き続ける様子を暫く見てから、被害を取り下げました。

私はそもそも、自分から警察へ突き出すことは嫌でした。満員電車があまりにもキツすぎて立証しにくいし、なにより書面に汚らわしい人と名前を連ねて残したくなかったのです。

親は、学校を変えることも提案してきましたが、変えたら負ける気がして。痴漢のせいで変えた人生を送りたくなくて。

短大の進学し、ラッシュの時間帯を避けられるようになり、狙われる制服でもなくなり、ズボン、ズボン、そして気が向いて初めてスカートを履き電車に乗った時、空いた電車の中で悪心と動悸が止まりませんでした。

その時、もうとっくに痴漢によって自分の人生が変わってしまったことを知りました。


今でも、どんなに混んでいても並ぶことはできません。背後に立たれるときついので、一番最後に乗ります。




満員電車について女性専用車両についての考え方

満員になるような電車は、男女別車両にすべきです。

満員電車から離れてよくわかりますが、あれはトイレが男女一緒であるのと同じです。

女性専用車両なんか…と思っていましたが、実際に乗ると、正常に呼吸ができていることに気づきます。

インターネットで、男性の被害者と度々やりとりをしたことがあります。

性被害に深く傷つくことに、男女の違いはありません。

よって、女性専用車両、男性専用車両両方を、という意見に同意します。

その考えに至ったのは、現在バラエティで活躍している小原ブラスさん(旧ぶいら君)との過去のレスバトルです。

懐かしいですね。ブラスさん活躍されていて何よりです。

痴漢冤罪について

痴漢冤罪が話題になりますが、千の痴漢泣き寝入りがあって一つの痴漢冤罪があるのです。

だから、千の痴漢を冤罪と思わせる、でっち上げは痴漢一人の千倍憎いです。

痴漢が無ければ、痴漢冤罪も起きないので、痴漢は痴漢冤罪の無限倍…。

ペンで殺してくれたから

荒んだ私を一番最初に救ったのは、高校生の時にできた恋人でした。恋人というよりはソウルメイトだった彼は、Campasのノートに、痴漢の指を切り、刺し、痛めつける漫画を描いて見せてくれました。

彼は後に漫画家となり、野球漫画を何冊も出しました。

正面から向きってくれたから

時は飛び、水商売のキャバクラに勤めたのは20代後半でした。

性被害者が、水商売や性風俗店の勤務に引きつけられる意味がよくわかった。

だってお客さんは顔と顔をつき合わせて、正面から向き合ってくれるのです(本当は斜め横か横なのですが私にとっては)。

ああ、ああ!

私はそのことに感激しました。

クラブの席での多少のセクハラは気になりませんでした。
昼の職場、ベンチャー企業の社内で言い寄ってくる上司の「日常への侵略」のほうがよっぽど嫌悪対象でした。

私の中の「男という他者」が、幼い私を背後から搾取し、生理前に背後から汚し、そっと背後からはした金を囁く比率がどれほど多くなっていたか。
会社の上司すら、私の背後を取ろうと躍起だ。

背後の手。

それが私の世界では普通でしたが、水商売という世界でお客さんが正面からお金を払って、しかも同意の上でアクセスしてくることで比率が変わって行きました。

「性被害者が風俗勤務を始めた話をまた聞いた、自暴自棄になってかわいそう」

そう思っていましたが、自分が同様の経験をすることでその考えは変わりました。

水商売や風俗店で接客をし、正面から合意の上の関係をいくつも作ることで、背後から搾取する手の比率を小さくする。

八か月という短い期間でしたが、お客さま達、どうもありがとう。

お水でも風俗でも、ちゃんとした大手のお店なら、働きたいと思ったら働くと良い、それが私の考えです。

出会った書籍や作家

また、「無垢、汚れの花」という、母親からの被性的虐待を描いた電子書籍を出版した女性がいました。

性被害に遭った方が、その後幸せを掴んで輝いている姿は何より勇気付けられます。

特に、この投稿の冒頭の、ひらがなでの独白は、「無垢、汚れの花」著者が保育園児の時に母親に性虐待を受けた様子を綴った手法です。

現在書籍はクローズされて読めませんが、お子さんを育てて輝いていた姿に感銘を受けました。

逸見さん

逸見さんは、自律神経系や心理の話を、時には身を斬るように書かれていて、共感したり触発させられることの多いnoterさんです。そして、とても勉強熱心。

精神不調の栄養学は、私は健康板、サプリ板でわっふるわっふるしていた程度ですが、最新の「精神不調に対応する栄養学」を書籍で学んでいる。必見です。

今回も、「色んな人ととやりとりする上で、自分のMeTooあったほうがいいなあ〜でもめんどいな〜ああ、あの痴漢被害者の人…と見られるのもちょっと…」なーんて、下書きを熟成させていた私を掘り起こしてくれました。

ブータンノワールといちじくの果肉が絶妙にお互いを引き立てるパイのように栄養満点の文章を読ませてくれる方です。


旦那

最後に現旦那、彼は積極的に共感をするタイプではありません。
でも寄り添って、私に恋を続けさせてくてたことで、私は自分の脚で立つことができるのです。

私のMeTooについて今回はここまでです。

近年たくさんの人がMeTooを告白していますが、扇動者のメンツと方向性はともかくとして、真実を書けることに重要性を感じています。

現在2歳半の私の子供も女児です。後世のために「私の #MeToo 」はもっと早く書くべきでした。反省しています。心の生きた血で書いてくれた逸見さんに重ねてお礼を申し上げます。

以下noteで目に止まった、性犯罪経験についてのマガジンです。


その後の私は、フラッシュバックで暴れてることが数度あったものの、性は人並み以上に楽しんでいるほうだと思います。

愛以外で性を楽しむ時、自分の魂と身体を切り離すことができるようにすると自衛しながら楽しむことができます。無意識にそうしている人は多いかもしれません。もちろん他者を傷付けないで下さい。現実で他者を傷つけない工夫や出会いが、広大な性の世界にはきっとあります。

性嗜好と性犯罪についても、近く書けたらと思っています。

※ヘッダー写真は百年ほど前の私です。




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