2018年アカデミー賞: ゲイリー・オールドマンのスピーチ
だいぶ遅くなりましたが、2018年3月4日に開催された第90回アカデミー賞授賞式の感想などを書いていきたいと思います。
毎年、誰のスピーチがよかったか、という話になりますが、今年は『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』で主演男優賞を初獲得したゲイリー・オールドマンのスピーチがステキでした。
ゲイリー・オールドマンって、いろんな映画に出てるし、恋愛遍歴も豪華でゴシップも多い俳優ですが、普通に話す姿をちゃんと見たことがありませんでした。だから、舞台に上がってスピーチを始めた彼の話し方に、まずちょっとびっくりしました。こんなに優しい話し方をする人やったのか、と。
私の中で彼は『レオン』の悪役スタンのイメージだったんです。冷酷で残忍で、癖が強くて、つかみどころがなく、こっちの常識が絶対に通用しなさそうな感じ。あのイメージが強烈すぎて、他の映画で彼を見ても、ゲイリーの素はきっとスタンなんだろうなと勝手に思っていたわけです。
オスカー像を手に舞台に立つ彼は、感激のあまり声が少し震えているようでした。イギリス訛りのゆっくりとした英語で、途切れ途切れに感謝の気持ちを述べます。
監督のジョー・ライトに対しては、「一緒に仕事ができるまでに20年もかかりましたね。でも待つ価値がありました」と。
スピーチが長くなってくると、「この調子では、どう考えてもジェットスキーは無理そうですね(最短のスピーチをした人にジェットスキーがプレゼントされるというルール)」とジョーク。
そして、最後に述べた母親へのメッセージがとにかくステキだったんです。
「私の母はアカデミー賞よりも年上です。次の誕生日で99歳になります。今日は家で、お気に入りのソファに座って、この授賞式を見てくれています。ケトルにお湯を沸かしておいてね、オスカーを持って帰るから」
“オスカーを持って帰るから、お茶を入れておいて"という母親へのメッセージで締めるなんて、なんと粋なスピーチでしょう。99歳という年齢を、"99 years old"ではなく"99 years young"と言ったのもシャレてました。
彼のイメージが、"厄介な悪役"から、"母親思いの英国紳士"に一変した瞬間でした。
スピーチの様子はこちらから。黒縁メガネもいいです。
https://www.youtube.com/watch?v=X-fHTqrBXNM
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