あんこ

金曜日は映画の感想を肴にお酒を飲みたい🍻

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  • 日記

    My extraordinary ordinary life.

最近の記事

ピンクとグレー

NEWSの加藤シゲアキが小説家としてもすごい!と大評判だった彼の処女作の映画化。随分話題にはなってましたが、今まで機会がなくて今回初めて見ました。 1回目見たときは、ふ〜んって感じで正直あまりグッとくるものはありませんでした。"開始62分の衝撃!"という宣伝文句どおり、中盤のツイストにはたしかにビックリしましたが、その驚きで帳消しにはできないほど前半がちょっとイマイチでした。 原作は未読ですが、原作から大きく変えたってことは知っていたので、原作者はこの映画を見て"しょ〜じ

    • More betterをどう訳すか

      字幕翻訳をしていると、英語のセリフの中の文法的な間違いや言い間違いをそのまんま、日本語に訳さなければならない、という場面に多々出くわす。大抵がジョークにつながるセリフなので、原文の可笑しさを残したまま、日本語にしなければならない。 "オレたちの作品をmore betterにしようぜ!"と、ちょっとおバカなキャラの男が言った。betterはgoodの比較級で、moreはmuchの比較級だから、比較級のダブル使いということで、英文法的にはNGである。betterを強調したいなら

      • 借景の京都タワー

        1日に1回は京都タワーを見ている。 というか、京都タワーが目に入ってくる。 ふと顔を上げると遠くにぼんやり見えたり、川の向こうにてっぺんだけ見えたり、山の上から小さく見えたり。夜、遠くに見える京都タワーは、夜景の少ない京都に灯るロウソクみたい。 つくづく、京都タワーは背景によって顔つきが変わると思う。 京都駅の中央改札を出ると、眼前にそびえ立つ堂々たる京都タワー。晴れた日は最高である。改札を出てすぐにカメラを構える人も多い。 駅ビルのピカピカの壁面に映り込むのもいい

        • 匂いと臭い

          コロンビアから来た彼女は、京都の大学に通いながら、スペイン語を教えている。私は生徒としてはかなり不真面目だけど、彼女とスペイン語で話す時間が好きだ。 私たちの授業は友達同士のおしゃべりみたいで、最近あったことを報告し合うだけ。私は彼女からラテンアメリカのことを聞くのが楽しくて、彼女は私が話す日本語にも日本文化にも興味津々で、話は尽きない。 先日、"におう"というスペイン語の活用がすごくややこしいね、という話になった。そもそもイレギュラーな活用をする上に、現在形と過去形で発

        ピンクとグレー

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          16本

        記事

          一時停止標識の本当の意味とは

          免許が切れていた。気付いたのは春だった。 身分証明のために出した自分の免許証をよくよく見ると、1ヶ月前に有効期限が切れていた。 平成30年に切れることは知っていたけど、平成30年なんてまだまだ未来だと思っていたら、もう今年だったのだ。 調べると、免許が切れてから半年以内なら講習を受けるだけで再発行してもらえるらしい。もう一度試験を受ける必要もない。よかった。 普段車に乗らない私は、そこで安心してしまい、気付いたら5ヶ月が過ぎていた。 いよいよ来週で失効から半年という

          一時停止標識の本当の意味とは

          寝ても覚めても

          見終わった瞬間、「なんや、これは」と思いました。「なんちゅう勝手な子や...」と。 でも、見てから数日経っても、ふと気付いたらこの映画のことを考えてしまっていたりする。そんな映画でした。 映画を見ている間中、そわそわドキドキしていましたが、それは恋愛映画を見るときのトキメキではなく、ホラーを見るときに目を手で覆って指の隙間から画面を見る、あの感じに似ています。 やめて...頼むからもうこれ以上、東出さんを傷つけないでくれ... そんな感じ。どんなに幸せそうな場面でも、

          寝ても覚めても

          旧三井家下鴨別邸

          下鴨神社のすぐ近くに、もともと三井家の別邸だったお屋敷がある。前を通ると、高い壁と広い庭に囲まれたお屋敷の3階部分だけがチラリと見える。 建物の1階とお庭は数年前から一般公開が始まり、2階と3階は年に数回だけ、期間限定で特別公開されている。 台風21号が猛威をふるった直後に行ってみると、お庭の大木が無残にも根こそぎやられていた。倒れた電柱より、割れた窓ガラスより、木が倒れているのを見ると本当に悲しい。修理して直せるものじゃないから、やるせない気持ちになる。 下鴨別邸は、

          旧三井家下鴨別邸

          4年目の翻訳

          PCに向かって一心不乱に翻訳をしていると、自分がどこにいるのか分からないような感覚に陥ることがある。 ひたすら、英語と日本語に埋もれていく感じ。目に入った言葉が日本語なら英語の中で、英語なら日本語の中で、その言葉に一番近い言葉を考えていく。頭の中の語彙の中から、これだ!というのを捕まえて、当てはめていく。分からないことがあれば、ネットで調べて、理解して、それにぴったりの表現をターゲット言語の中から見つけ出す。 えっと、いつだっけ。あの時読んだ資料でいい感じの表現があったは

          4年目の翻訳

          おばあちゃんの誕生日

          1人で暮らすおばあちゃんが89歳になった。家族や親戚はみんな遠くにいて、今年は誰も当日にお祝いに来れない。私は仕事を終えて、スーパーでありったけのごちそうを買い込んで、おばあちゃんの家に行った。本当は作ってあげたかったけど、仕方ない。 89歳になってどんな気持ち?と聞くと、昼間にデイケアで誕生日を祝ってもらったらしいおばあちゃんは、「いくつになっても誕生日の歌を歌われるとうれしい」と言う。 テーブルいっぱいにお惣菜を並べた。中華ちまき、しゅうまい、ゴーヤーチャンプルー、キ

          おばあちゃんの誕生日

          カメラを止めるな!~ネタバレなし でもまだの人は見ないほうがいいかも~

          東京方面から漏れ聞こえる評判にソワソワしながら、関西での上映開始を待っていた本作。近所の映画館での上映されるまで我慢しようと思っていましたが、リピーターが増えると上映中にリピーターの反応が気になってしまうかも、という友人のアドバイスを聞いて、急いで行ってきました。 ~ここから先、感想です。ネタバレはしませんが、何の情報も入れずに見たほうが面白いと思うので、まだ見てない人は読まないほうがいいかも~ 評判どおり、面白い!何度も声を出して笑っちゃいました。そして、最後には感動し

          カメラを止めるな!~ネタバレなし でもまだの人は見ないほうがいいかも~

          万引き家族

          是枝監督の描く、生活臭が好きです。 生活臭って“生活の臭い”と書くように、目で見て分かるものではなく、漂ってくる雰囲気を指すもの。例えば、物がない部屋を見て、"生活感がない"と言うことがありますが、どんなに"生活感"がなくても、人がそこに住んでいれば、“生活臭“は必ず存在すると思います。つまり生活臭って、そこにある物理的なモノをどうにかしたところで簡単に消えるものではないように、簡単に作ることができないもの。 是枝監督の映画にはそういう、生活に染み込んだ臭い、みたいなもの

          万引き家族

          スリー・ビルボード

          “スリー”なんだから、”ビルボーズ”にすればいいんだけれども、なぜか日本語だと”スリー・ビルボード”のほうがしっくりきちゃう。カタカナ英語は不思議です。(因みに原題は、"Three Billboards Outside Ebbing, Missouri"で、看板がある場所がそのままタイトルになっています) さて、映画を見終わってまず、「脚本書いた人すごい!」って思いました。こんな突拍子もない展開、よく思いついたな!って感じです。「えっそれやっちゃって、警察に捕まらないの?バ

          スリー・ビルボード

          心と体と

          ”夢の中で鹿になって恋する話” そう聞けば、なんてファンタジックな映画なんだと思われるでしょう。でも実際はそうでもないのが、この映画の面白いところ。 映画の舞台となるのは食肉処理場です。暴れる牛を押さえつけ、殺し、吊るし、頭や足を切り落とす。血で真っ赤に染まった床を掃除する。そんな、食肉処理の残酷な現実を背景に、現実と夢物語の差を見せつけるような、ひと味違った恋愛映画でした。 処理場の経理部長を務めるエンドレは、片手が不自由な中年男やもめ。新しく職場に入ってきた品質検査官

          心と体と

          ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

          まさか、この映画で泣くとは…。 邦題がカタいせいか、難しい政治系映画を覚悟して観に行ったんですが、想像とは全っく違いました。 ポリティカル・サスペンス?いやいや、ヒューマンドラマでしょう。 新聞社を亡き夫から引き継いだ発行人のキャサリン(メリル・ストリープ)と、編集主幹であるベン(トム・ハンクス)。本作は、政府の重要機密の公表うんぬんよりも、社を懸けた決断を通して、この2人の人間関係が変化する様を描いた映画でした。 そういう意味では、日本版ポスターより、ヘッド画像に使

          ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

          初めてのアベンジャーズ

          連休最終日に「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」を観てきました。結果、翌日から仕事なのに、興奮しすぎて夜中の3時まで眠れない事態に陥ってしまいました。 実は今までアベンジャーズに興味がなく、前2作品は観たことがありません。興味がないというか、クロスオーバーは話がややこしそうだし、原作コミックまで読んでいるようなファン向けの内輪ネタが多そうという勝手なイメージで踏み込みにくい領域でした。 それぞれのヒーローの単独映画はつまみ食い程度に観ていますが、マーベルで一番好きな

          初めてのアベンジャーズ

          軍艦島

          長崎港から軍艦島に向かう船は、すごい揺れでした。 普段は船酔いをしない私でも気持ち悪くなってしまうぐらいで、家族で来ている小学生ぐらいの子供たちがあちこちでビニール袋に顔を突っ込んでいました。 白波が立つ海を眺めながら、「今日は上陸できないだろうな」と思いました。 港を出て30分で軍艦島の隣にある高島という小さな島に到着。この島にある石炭資料館で軍艦島に関する展示を見ながらレクチャーを受けたあとトイレを済ませ、もう一度船に乗って、いよいよ軍艦島へ向かいます。 さらに揺