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映画『メッセージ』と親鸞の決定論

【親鸞の決定論】

「決定論」に関してはXでかなりの数をつぶやいている。
そのうちで親鸞の決定論についてのXにおける最初の言及は2011年9月末のこれ↓。

ツイ数が圧倒的に増えたのは2011年3月からなんだけど、親鸞の思想に接近し始めたのは母が亡くなった頃から。うちは母方も父方もたまたま宗派が「おひがしさん」だったので。
その頃はXではなくすでに消滅したブログにせっせと書いていた。
私が「控えめに言ってどちらかというとかなり強めの決定論者」になったのは、すべてではないが親鸞の思想に負うところがかなり多い。特に『歎異抄』のこれ↓。

先に「母が亡くなってから」と書いたけど、ちなみに私は母親譲りのヨチマー↓です。

↑これまで何度かこんなことがありました。
その対処法および治療法として「決定論」というのが出てきた↓。

そんなわけで親鸞の「他力決定論」というのが夢で未来の出来事を見てしまう私にとってとても強力で頼もしい存在となりました。
↓以下に親鸞の決定論について書いた大量の連ツイをコピペします。

【映画『メッセージ』と決定論】

で、ここで唐突ですが、わたくしさいきん映画『メッセージ』というのをアマプラで視聴しました。
けっこう話題になった作品なので見た方も多いんじゃないかと思いますが、私は松岡正剛さんが千夜千冊でこの映画の原作者であるテッド・チャンさんの『息吹』回↓で取り上げて紹介されていたので探したところアマプラで見れることが判明。

監督はドゥニ・ヴィルヌーヴで、この方は『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021版)の制作・監督もしている。
この『砂の惑星』とか『最後にして最初の人類』とか『メッセージ』とかの「哲学的SF映画」における宇宙論や時間論のテイストは超絶私好みです(よだれ)。
で、メッセージの原作者であるテッド・チャン氏もまた「かなり強めの決定論者」だそうで、そこらへんのことは松岡さんのところでも書かれているけど、大森望さんとの対談で御本人が語られたものがあるので以下に転載↓。

…脳は物質でつくられており、物質は古典物理学の法則にしたがってふるまう。だとすれば、ある時点におけるシステムの状態は、その直前の状態によって決まる。そういう決定論の考え方とと自由意志とは両立しうると考える人もいるし、決定論などまったく受け入れられないと思う人もいる。僕自身は、決定論の主張には大きな説得力があると思う。しかし、最大の問題は、未来についての情報を得られた場合、人間がどうふるまうかだ。

『息吹』創作の秘密が明らかに! テッド・チャン インタビュー

映画『メッセージ』でも主人公および遭遇する宇宙人は予知能力を持つ存在として描かれており、そのような未来予知が成立しうる理論的バックボーンに哲学的・物理学的(もしくはオカルト的な)時間論が存在しています。
それが私がツイートしたこのような↓親鸞の他力本願思想における決定論とどれほど近しいものであるかは、この映画を興味深く見た人ならきっとご理解いただけることでしょう、と手抜きして読者の皆様に「丸投げ」しておきますね(笑)。
この映画、ぜひ見てね、今ならアマプラでタダだから。

ちょっと話は変わって、原作者のテッド・チャン氏は両親の代で台湾から移住してきてアメリカで生まれた方だからか、東洋的な思想や文化からの影響が色濃く残っているように思われます(これには反対意見もありますが)。
映画の中で古典的タコ型宇宙人が墨を吐いて書く「非線形言語」にはさながら「高僧が描く円相」の趣がありました。
松岡さんちから引用↓

映画《メッセージ》は突如謎の巨大飛行体に乗ってやってきた宇宙人ヘプタポッドのメッセージを、言語学者ルイーズが解読していく物語。上の画像は10種類の映画ポスターで、飛行体が降り立った世界各地ごとにバージョンがつくられた。下の画像はヘプタポッドが主人公とコミュニケーションしているシーン。ヘプタポッドは言葉の代わりに黒い墨を噴出する。主人公ルイーズは黒い墨の微妙な波形の違いを解読し、時制にとらわれない非線形言語(ノンリニア・ヴァーヴァル)であることを突き止めるが、その過程で自分の過去・現在・未来の感覚が混交していく。

千夜千冊1843夜 2024年2月05日『息吹』テッド・チャン

この「円相言語」といいグレイよりさらに古典的な「タコ型宇宙人」といい、この映画はビジュアル的にもちょこちょこくすぐられるポイントがあって私のツボにはまります。
この映画を見てからずっと、私の脳内には若かりし日の田中裕子さん(現ジュリーの奥さん)がささやく「タコが言うの」という声がこだまし続けているのは内緒にしといてください(笑)。

「時間論」もなんだけど、「非線形」というのも今回のこの記事のスピンオフみたいなのがあって、これまた後日、余力があれば書いてみたいと思います。

ここでは直接的に言及しなかったその他の評論も以下に載せておきます↓

ではでは、たぶんしばらく続く。
ああそうだ、言うの忘れてた。今日のこの記事は先日のこれ↓の「決定論」つながりです。


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