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映画みたいだったな

時間にして、2秒くらい。

私はその日の夕方、自転車に乗って駅に向かっていました。
その道中に見かけた人の話です。

駅に向かう途中に床屋さんがあります。ずっと昔からあって、私もお世話になったことがある床屋。幼い頃はそこで飼われていたラブラドール・レトリーバーを撫でさせてもらえるのが楽しみでした。大人しくてとってもいいコだったな。

その床屋を通りすぎるとき、ふと目に止まった人がいました。

頭にはパーマするときの帽子(?)をつけて、ポンチョみたいなやつと、オレンジ色の襟元につけるやつ……全然名前が分からない。あれ正式名称なんなのでしょう。

名称調べました。
パーマするときの帽子→パーマキャップ
ポンチョみたいなやつ→カットクロス
襟元につけるやつ→ネックシャッター

だそうです。

つまり、床屋スタイル。床屋のおじさんとちょうど談笑しながら施術うけてましたよ〜って感じのおじさんが、道の端で空を見上げながら深刻な顔でスマホを耳に当て電話しながら立っていました。急用だったんだろうな、聞かれるわけにはいかない話だったのかな。格好もお構いなしに飛び出してきた、という感じでした。働いている人はえらいです。

自転車に乗っていた私の目にはネックシャッターのあざやかなオレンジが飛び込んできて、そのまま流れていきました。

2秒くらい。

一瞬のことだったから、今の光景はなんだ!? と頭の中で状況を整理し、繋がった瞬間にふっと笑いが漏れてました。自転車に乗りながらにやにやしてる変人ですね。

本人は至って真面目なのだろうけど、はたから見ると滑稽な瞬間ってとても愛おしいなあと思うのです。

まず、屋外で床屋スタイルの人を見かけることってなかなかない。し、床屋スタイルで立ってる人もお店の中以外ではそうそう見ない。し、大体、髪の毛を素敵にしてもらっている人ってなんだかおすまし顔じゃありません??

だから、それはちょっとだけ異質な光景で、2日経ってもまだくっきりとその画が残っています。

邦画の中に突然意味もなくあのおじさん登場したら、多分その監督の映画は欠かさず観るようになる気がします。日常の何気ないけど、本人にとってはたぶん重要で、だからこそ少し滑稽な瞬間を切り取った作品、きゅん、としちゃうんですよね。よし決めた、私がもしも映画監督になったらそのときは、あのおじさんを意味もなく登場させます。あ、もしもこういうおじさん出てくる映画知ってたら教えてください。

そして、私に絵心があったらあの光景絶対に描きとめるのに……!
とも思います。今日マチ子さんがSNSで日常を切り取ったイラストをアップされているのですが(めちゃめちゃ好き、おすすめです)、あんなふうに。

日常の何気ない瞬間にきゅんを見つけて、手軽にハッピーになって、にやにやしながら生きていきたいです。そして、こういう話は人にしても大体「へえ〜」しか生まないので、誰かに共有したい……! というエゴを文章にして昇華させていくのです。
お付き合いよろしくお願いいたします。



あのおじさん、深刻な顔してたけど怒られてないといいなあ。

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