見出し画像

日本で唯一の「サウナのまち宣言」をした豊後大野で、地域(まち)の未来を語り合ってきたよ(後編)

とにかく面白いアイデアを次々に打ち出してくる、豊後大野の若者たち。「サウナのまち宣言」は時流にもあっているし、アウトドアサウナを通じて自然豊かな豊後大野を知ってほしい、そしてその後のサウナ飯を楽しんでもらう飲食店への送客アイデア、思わず”天才!!”って叫んじゃいます。

(前編をぜひご覧ください)
            ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

そんなまちで、にわかにザワザワしているのが宇宙人問題。新たなアイデアでまちを盛り上げようとしている田浦大(ダイ)くんをははじめとした宇宙人観光推進委員会の発足時のステートメントは以下の通り。

⑷宇宙人とは
宇宙人観光推進委員会が定義する宇宙人とは、地球外生命体のみをさしているわけではありません。アメリカなどの空港で旅行者をエイリアンと呼ぶように、市外、県外、国外、地球外などの膜の外から来る相手を宇宙人と定義しています。近代までわれわれ人間は肌の色の違いや宗教の違い、国の違いで争ってきました。ダイバーシティやLGBTの問題が叫ばれる中、大分県は宇宙人を受け入れるいわゆる、「外から来た自分と違う相手」を受け入れる宣言をします。それが例え宇宙人(地球外生命体)であっても歓迎すると宣言をすることで、われわれは自分との違う相手を差別せず、違いで争わず、相手の違いを受け入れる真のダイバーシティを実現する宇宙県大分を目指しています。

メディアリリースより

全ての人種、セクシャルマイノリティ、宗教的考え方、そういった「違い」を多様性と捉えて真のダイバーシティを目指したいという想い。そのためのシンボル的な比喩表現として宇宙人であり、宇宙人=エイリアン(自分と違う多様性)を歓迎するというギミックは、つまり、壮大なコメディを街全体で演じることでダイバーシティの思想・考え方をゆるやかに浸透させていきたいというアイデア、なのです。

この定義に照らせば、「宇宙人の姿を実際に登場」させることは禁じ手。なぜならば、その姿を話題作りに利用するということは、全身黒塗りにしたタレントをテレビで晒して笑いを取ったり、セクシャルな容姿・性的な個性を嘲笑することによって”異質なものイジリ”で楽しんでいた、昭和的な価値観を排除していこうというマインドに反することになるからです。

しかし、彼らの意図と反して、行政が発注した大手広告代理店によって展開されている広告キャンペーンは、おんせん県に宇宙人が現れた!という分かりやすい、絵的なバズり効果を狙ったものとなってしまいました。

宇宙人=ダイバーシティの象徴であり、その姿を晒して見せ物にしてはいけないと考えた宇宙人観光推進委員会の考えと、全国に向けた話題づくりを加速したいと考えた発注元である行政関係者とメディア。

「宇宙人歓迎としたのは、宇宙人(エイリアン/ALIEN)という表現を国際的な観光都市を目指す大分らしい”多様性の象徴”として表現したかったからなんです。だから、その”象徴”であるべき宇宙人を登場させてしまったら、この企画は何処にでもありがちな、お祭り騒ぎのファンタジーになってしまう。」(ダイくん)

そのあたりの複雑な想いを、発起人代表であるダイくんがひっそりと(?)語っていたので、興味のある方は見ていただけたらと思います。

ここで大事なのは、どっちが正しいという論争を巻き起こそうとしているわけではない、ということです。ここはとても重要なこと。僕自身もそうした分断を煽りたいからこうしたNoteを書いたわけではないので、重ねてしっかりと申し上げておきます。

外からノウハウを提供しようとする専門家(機関)の知識や、全国津々浦々にばらまかれる地方創生における「定型化されたビジネスモデル」は、時に地元の想いを置き去りにすることがあります。小さなまち、豊後大野のまちづくりに情熱を注ぐ若者たちの間で巻き起こっている葛藤は、一つの事実としてしっかりと受け止めて、僕らは今後の在り方を考えていかなくてはならないと思います。

大分の宇宙人観光には、ここにしかない価値を、次世代に浸透させていきたい思想文化を時間をかけて一から構築しようとする優しさとともに、そこかクスリと笑えるユニークネスがあります。

はたして大分県の小さなまち、自然豊かな豊後大野の湯けむりの向こうに舞おりた宇宙人は本物か、偽物か…。

雑誌「ムー」が大好きなオカルト少年だった僕としては、今後も宇宙人問題から目が離せません!




よろしければサポートお願いいたします。頂いたサポートは、世の中の誰かのためになる活動に使わせていただきます。