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「ゴールにボールを蹴り込む」という欲望を抜きにしては、戦術は成立しない。

「ゴールにボールを蹴り込む」という欲望を抜きにしては、戦術は成立しない。 村上龍

出典:村上 龍 すべての男は消耗品である〈Vol.5〉

この1年の低学年のトレーニングを通して学んだことをご紹介します。


サッカーのプレー中に周りを観ることはかなり難しいことだと思います。指導によって周りを観れる選手が増えてきた中で、誰にも教わったことがないのにそれができる選手もいます。
メキシコで指導していたチームにもそのような選手がいたので「どうしてできるようになったのか?」と聞いても、なぜできたのかを本人もよくわかっていませんでした。
おそらく周りを観ることでプレーがやりやすくなることを無意識レベルでわかっているからだと思います。


この映像は2年生の選手がボールの移動中に周りを観ています。この選手は左利きなのですが、右足でオープンコントロールをして身体の向きも良い状態でボールを受けていました。
彼はまだオープンコントロールや周りを観ることを誰にも教わっていません。その良い部分を潰さないように私たち指導者が彼に対して「そのプレーはすごく良い」というのを伝えることが必要だと考えています。


2つ目はゲーム形式の練習で、チームに分かれてコーチの言った人数が出てくるメニューです。
1~3年生なので足下の技術などは低いですが、全員が勝つためにプレーしていました。
音声をを聞いていただければ伝わると思いますが、外で待っている選手は自分がプレーしていないのにチームが勝つために必死な声で味方へ指示を出しています。

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この写真は、そのゲーム時に1年生と2年生のボールの奪い合いのシーンで、相手を腕でブロックしながらボールを奪いにいっています。
2~3ヵ月くらい前までは練習にすらまともに参加しないような子たちでしたが、低学年のカテゴリーでもゲームでは本気でプレーする子が増えてきたので、この2人も周りの選手や雰囲気から良い影響を受けたものと思われます。
もちろん指導者として、周りを観ることや腕を使って相手をブロックすることなどを教えていかなければなりませんが、最初の村上龍の言葉にもありますが、そもそも選手自身に勝ちたいという欲がなければ、教わったところでそのツールを使いこなせないでしょう。
やはりゲームを通してこういった意識やプレーを本人が自分自身で学んでいけるのが上達への近道だと思います。


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