※2024/5/11 13:29追記
DifyのLuyu Zhang CEOから直接コメントをいただきましたので、この記事の最後に追記いたしました。
Difyはテンセント系企業?使用して大丈夫?
最近注目を集めているLLMOpsプラットフォームのDify.aiですが、中国のテンセントがバックにいるのではないかとの憶測がネット上で広がっていました。以下はXで話題の投稿です。
この記事では、それに対するDifyの公式コメント、利用規約やGitHub、ドメインのWhois情報、出資者などの情報を調べてまとめました。ネット上で誰でも閲覧できる情報を調べただけですので、特別な調査をしたわけではありません。
ちなみに私自身は、OSS(デプロイ)版を使用し続ける予定ですが、心配な方は下記情報などを参考にして、Difyを使用するか否かの判断の参考にしてみてください。
Dify公式コメントはテンセントや政府機関との関係を否定
まず、DifyのX公式アカウントのコメントです。公式に「Difyは、Tencentや政府機関とは一切関係がなく、純粋に市場主導型です」と否定しました。
以下はこの公式コメントの翻訳です。
Dify公式ブログ
Dify.AI: Easy-to-Use LLMOps Platform for Visually Creating and Operating Your AI Native Applications - Dify Blog
Dify公式ブログも見てみましょう。開発者は元TencentのCODINGというDevOpsチームのメンバーで、そこでの開発経験がDifyの開発に大いに役立っていると書いてあります。
GiuHubのREADME
LangGenius (github.com)GitHubのReadmeの翻訳です。
GitHubのReadmeには開発を始めたきっかけとして、OpenAIのAPIに基づいてGPTアプリケーションを開発することが少し面倒だと感じ、より多くの人が自然言語を使って面白いアプリケーションを開発できるようにしたいという想いから始まったプロジェクトと書かれています。
ここにも元Tencent CloudのDevOpsチームメンバーが、開発者の効率化ツールの研究開発で培った長年の経験を活かし、作成したと書かれています。
これらが「テンセントがバック」と憶測を呼んだわけです。
Difyの利用規約
Terms of Service - Dify
Difyの利用規約の翻訳です。アメリカで登記された企業と記載がありました。また、この利用規約は「米国カリフォルニア州法に準拠」すると明記されていました。
DifyのCEOについて
登記簿にも記載されている最高経営責任者(CEO)のLuyu Zhang氏とはいったいどんな人物なのでしょうか?こちらは下記の記事を参照ください。
話題のDifyの紹介:DifyのCEOは?どんな会社?について調べてみた|KII (note.com)
langgenius.aiの情報
参考までに、ドメイン名「langgenius.ai」のWHOIS情報も参照してみました。所有者情報が「非公開」なのですが、利用者の増加に伴ってこの辺は公開していく方が企業の姿勢としては正しいと思います。
Domain Name: langgenius.ai
Registry Domain ID: 1786984_nic_ai
Registrar URL: https:
Domain Status: clientDeleteProhibited https:
Domain Status: clientRenewProhibited https:
Domain Status: clientTransferProhibited https:
Domain Status: clientUpdateProhibited https:
Registry Registrant ID: OiMh4-iZ6cB
Registrant Name: Redacted | EU Registrar
Registrant Organization: Domains By Proxy, LLC
Registrant Street: DomainsByProxy.com, 2155 E Warner Rd
Registrant City: Tempe
Registrant State/Province: Arizona
Registrant Postal Code: 85284
Registrant Country: US
Registrant Phone: Redacted | EU Registrar
Registrant Email: Redacted | EU Registrar
Registry Admin ID: nRZon-8Qp87
Admin Name: Redacted | EU Registrar
Admin Organization: Domains By Proxy, LLC
Admin Street: Redacted | EU Registrar
Admin City: Redacted | EU Registrar
Admin State/Province: Redacted | EU Registrar
Admin Postal Code: Redacted | EU Registrar
Admin Country: US
Admin Phone: Redacted | EU Registrar
Admin Email: Redacted | EU Registrar
Registry Tech ID: lyALu-DPQKk
Tech Name: Redacted | EU Registrar
Tech Organization: Domains By Proxy, LLC
Tech Street: Redacted | EU Registrar
Tech City: Redacted | EU Registrar
Tech State/Province: Redacted | EU Registrar
Tech Postal Code: Redacted | EU Registrar
Tech Country: US
Tech Phone: Redacted | EU Registrar
Tech Email: Redacted | EU Registrar
Registrar: 1api.net
Registrar Abuse Contact Email: abuse@1api.net
Registrar Abuse Contact Phone: +49.68949396850
Name Server: dana.ns.cloudflare.com
Name Server: rocky.ns.cloudflare.com
DNSSEC: unsigned
For more information on EPP status codes, please visit https:
出資者について
LangGenius, Inc.への出資状況について
LangGenius, Inc. - Crunchbase Company Profile & Funding
こちらを参照したら、「LangGenius, Inc.」は「Delian Capitalからシードラウンドで非公開の金額を調達」したとありました。
Delian Capitalについて
Delian Capital - Crunchbase Investor Profile & Investments
テック分野に特化したベンチャーキャピタルのようです。
まとめ
Difyの開発メンバーの多くは元テンセントクラウドのDevOpsチームの技術者というのは間違いないようです。
しかし、DifyはそもそもOSSですし、公式に「テンセントや政府機関とは一切関係がない」と表明しており、「クラウドサービスに不安がある場合は、オープンソース版を自由にご利用ください」と呼びかけるなど、透明性を重視する姿勢を見せています。
また、Difyを運営しているのは米国で登記されたLangGenius, Inc.という会社であり、利用規約でも米国カリフォルニア州法に準拠すると明記されています。
ただし、現時点ではスタートアップ段階の企業のため、多くの情報は出ていません。
今後ユーザーが増えるにつれ、さらなる情報公開が求められます。
利用者は最新の情報を確認しながら、扱う情報の機密性の高さを考慮して、クラウドサービス版、オープンソース版の選択を適切に行い、プライバシーなどを考慮した上で使用を検討することをおすすめします。
追記:Dify CEOよりコメントをいただきました!(2024/5/11 13:29)
Dify CEO Luyu Zhang氏からの私への直接コメント
なんと!この記事をお読みいただき「丁寧なご説明をしていただきありがとうございます。」と感謝のお言葉をいただきました。センシティブな記事内容でしたが、なるべく公平にDifyの状況が伝わるように記事を書いたつもりでしたので、上手く真意が伝わってくれていたようで安心しました。
ドメインのWhois情報も今後公開していくとのことでした。日本語で書かれたNoteの記事まで目を通して、速やかにそこでの意見を取り入れて、透明性を推進していく姿勢には好感が持てます。
Dify CEO Luyu Zhang氏からの別の方へのコメント
これに対してのLuyu ZhangCEOからのコメント
テンセントを過大評価しすぎと反論し、さらに、そのテンセント(の社風)に合わなかったと退社の経緯も明かしてくれました。
これに対してのLuyu ZhangCEOからのコメント
改めて、名目上のアメリカ企業ではないと反論、顧問事務所名を明かしカリフォルニア州法を完全に遵守していると反論しました。
最後に
このテンポの速さ。素晴らしいですね。さすがOSSコミュニティのCEOと言った対応です。このテンポの良さでDifyを改善し続けて、素晴らしいUIを開発してきたのだと改めて実感しました。
GitHubのReadmeの最後に「より面白く便利なAIアプリケーションを一緒に構築できることを楽しみにしています!」とあります。Difyプラットフォームは誰にでも開かれたOSSであり、GitHubのスター数は約28,500(2024/5/11時点)です。
Difyはとても使いやすい素晴らしいUIなので、今後世界中にますます大きく広がっていくと思います。Difyやその運営会社について正しく理解し、使用される方は1つ1つ適切・安全に選択・設定をして、この世界的な大きなウェーブに乗っていきましょう!