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Facebookの新発表で最も注目すべきは「マッチングアプリ化」ではない

ちょっと大それたタイトルにしてしまったかなと恐れながらも、最近いちばんワクワクしたことを書きます。

僕は普段、『新R25』というメディアで編集をしながら、IT業界の動向を趣味でウォッチしています。

その一貫で、先日おこなわれたFacebookのカンファレンス「F8」の動画を見ました。

みなさんも見ましたか?これからけっこうおもしろいことになりそうなんですよ。

今回の発表で目についたものをざっくりまとめると、こんな感じです。(拙い英語力なので間違いがあるかも)

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〈 Facebookについて〉
・グループ機能に注力します
・デート機能(Dating)を実装するよ

〈 Instagramについて〉
・検索を強化するよ
・ビデオチャットができるようになるよ
・ARエフェクトをつくるよ

〈Messengerについて〉
・デザインを刷新。翻訳機能を搭載
・AR エフェクト使えるようになるよ

〈VRについて〉
・単独で使えるVR機器「オキュラス Go」を発売するよ
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この中でも特に注目されたのはおそらく「デート機能(Dating)」ですかね。簡単にいえば、Facebook上で異性と出会う機能が実装されるそうで、「Tinder」っぽいマッチングアプリが内包されるイメージ。

以前から「こんな機能があればいいのに」という提案は見られましたが、いざ実装されるとなると驚きです。

なんてったって月間アクティブユーザー数が20億人にものぼる(うろ覚え)サービスが、構造を大きく変えるような機能を実装するというんですから。IT業界の端くれとして、新機能を実装する苦労を見ているので尊敬しかありません。

ただし...

もちろんこのデート機能をはじめとする、“未来的”な機能には僕も期待していますが、直近でFacebookをより大きく変えるであろう変更点は、別の場所にあるように見えました。

注目したのは「グループ機能」。

以前からあったグループ機能をFacebookアプリのタブへ配置するというのです。

これまでFacebookは何度も大きな方針転換をしており、そのたびにアプリの一等地であるタブへ注力ポイントを配置しています。

たとえば2016年から始まった動画に注力するフェーズでは、「Watch」タブをアプリに配置しています。(アメリカだけ?) さらには、ニュースフィード(いつも見ているところ)になにをどんな順番で表示するのかという仕組みも、動画を優位に調整。

つまり、アプリのタブに配置するということは、Facebook上でこれから最も注力し、優遇していくという意志の表れでもあるのです。

さらに「グループ参加ボタン」も実装されるらしい。

イメージ的には一時期メディア界隈で流行ったFacebookページへの「いいね」みたいな感じですね。おそらくいろんなWebページの下部に配置されるようになるはず。

でも新しい機能じゃないのに、なぜいまさら注力するのでしょう...?

僕は最近になってグループ機能を多用しているのでFacebookがちょっとずつおもしろくなってきました。だからこそ今回の発表に勝手にワクワクしているのですが、大抵の人は使っておらずイメージがしづらいでしょう。

そこで僕がグループ機能を使うようになったきっかけと、これからこうなるんじゃないかという予測をお話しします。

グループ機能を多用するようになったのは、完全にオンラインサロンブームのせいです。

オンラインサロンの形式自体はだいぶ前(2010年とか?)からありましたが、2017年にブームが再燃しています。そのブームの火付け役は幻冬舎の編集者である箕輪さん。

2017年からクラウドファンディングサービス「Campfire」のファンクラブ機能、Facebookのグループ機能を併用して「箕輪編集室」というオンラインサロンを始めました。

(https://camp-fire.jp/projects/view/34264)

メンバーは800人を超え、書籍の製作過程を生放送で公開したり、PRをメンバーと協力しておこなったり、さらにはメンバー主導で1500人規模のイベントがおこなわれるほど。恐ろしい。

こうした動きを横目で見ていて、オンラインサロンという形式に興味を持ち、複数に所属するようになったため、僕はFacebookのグループ機能を使うようになったというわけです。

とはいえFacebookがグループ機能に注力するからといって、参加者はそんなに増えないのでは…?という疑問があるかもしれませんが、僕はそうは思いません。

なぜならユーザーと企業(グループ運営者)、双方にとってメリットがあるからです。

まずユーザーのメリットについてお話ししますね。

Facebookのグループ機能は、ざっくりいうとクローズドなコミュニティを運営できる機能なんですよ。「ビールが好き」「20代の編集者グループ」「ホリエモンの『多動力』がバイブル」など同じ価値観を共有した人が集まることになり、投稿を非難されるリスクはかなり低くなります。

誰に見られるかわからず炎上リスクの高いオープンなSNSとはちがって、安全が確保されているので「ここだけの話」ができるんですよね。これが楽しい。

加えて、同じ価値観を共有していることによって生まれる“親近感”のおかげで、投稿がよりおもしろく感じられます。

たとえば親友の結婚式の出し物で、見飽きたお笑い芸人の質の低いモノマネが披露されたとしても、楽しくないですか?おもしろさは、質だけではなく親近感にも強く影響されるものだと考えています。

次に、企業側のメリットです。この話をするためにセルフツッコミをしてみます。

「すでにいろんなメディアやお店がつくっているFacebookページとFacebookグループは同じでは…?」

いや、実はここがけっこう違うんですよ。似ているように見えますが、構造が大きく変わります。

FacebookグループとFacebookページのいちばんの違いは、コミュニケーションの方法です。基本的にFacebookページへ投稿できるのは管理者(複数可)のみなので1対多のコミュニケーションになりやすいですが、一方のFacebookグループは管理者が許可していれば誰でも投稿できます(管理者の承認制にもできます)。

つまりFacebookページからFacebookグループへの移行は CGM化(Consumer Generated Media)を意味します。

コンテンツの量は爆発的に増えて、勝手にn対nのコミュニケーションが多発することになるでしょう。ブログや、いま見てくださっている「note」のように一般人が投稿できる構造になる、といえばわかりやすいでしょうか。当然ながら良し悪しはありますが、うまくいけば運営コストは格段に下がります。

業界的な流れもふまえて、この影響を予見したメディアやイベントはこぞってFacebookグループを持つようになるはずです。すると目的に応じたコミュニティ運営の需要が生まれ、「コミュニティマネージャー」のような役割が重宝されそうです。

たとえばユナイテッドアローズが運営する、ユナイテッドアローズ好きのFacebookグループがつくられ、フリーのコミュニティマネージャーがアサインされて報酬が支払われるというビジネスが多発するかもしれませんね。(そういうのやりたい)

これまで宣伝費をつかってオウンドメディアをイヤイヤ運営していた企業もありそうですが、これからはファンさえいればユーザー同士がブランドを盛り上げてくれるようになる、というわけです。

こうしたグループ機能に注力する方針を発表するにあたって、マーク・ザッカーバーグは幸せについての調査を引用しています。

端的にいうと「受動的にニュースなどを消費するよりも、人とコミュニケーションをとったほうが幸せにつながる」とのこと。

どこかのメディアがつくった動画やニュースなどをただ消費するだけだったこれまでの体験から、ユーザー同士のコミュニケーションが活発になるような構造に変える(グループ機能)ことで、Facebook上の体験をユーザの幸せへとつなげようというのです。壮大ですね。

最近のFacebookは“劣化版のTwitter”に成り下がってしまっているなと勝手に思っていましたが、グループ機能が活発に使われるようになると、

Twitter=オープンでゆるいつながり
Facebook=クローズドなコミュニティの集合体

みたいに住み分けが明確になるかもしれませんね。

どうですか?グループ機能だけ見ても、けっこうFacebookが変わりそうな気がしてきませんか?

最後にこの記事のまとめ!

・いろんな発表があったけど、直近でいちばん影響が大きそうなのはFacebookのグループ機能への注力かも

・Facebookグループによってできるクローズドなコミュニティは「ここだけの話」ができるから楽しい

・FacebookページからFacebookグループへの移行はCGM化を意味する。新しい職業の需要が生まれそう

・Facebookはクローズドなコミュニティの集合体になるのでは

これからも得た知見をシェアしていくので、Twitterやnoteをヒョローしてくださると嬉しいです!

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