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JFL2位の衝撃(下)

2月2日、早朝の気温は4度。午前8:45、ブリオベッカ浦安競技場にはユニフォーム姿の選手たちの姿があった。2024年度版JFLガイドブックのチーム撮影だった。寒い。全員が鳥肌を立てながらも笑顔を作るため発したのは栗田選手のなんとも言えない脱力する掛け声。写真はその失笑の場面だ。
(後になんとなく見えるのはディズニーシーのタワー・オブ・テラー)
最後は2024年3月4日の今を描こうと思う。


Jリーグに昇格した選手たち(2022-2023)

前項でも書いたが2023年は期中も含めて4名の選手がJリーグに旅立った。2022年が終了した時点でも1名。この1年と少しの期間に5名の主力選手が個人昇格した格好だ。
最初に昇格を手にしたのはSC相模原に移籍した加藤大育(だいすけ)だ。JFL昇格には彼の右サイドウィングバックとしての力が欠かせなかった。2022年の関東リーグでは全ての試合に出場。彼の抜けた穴を埋めるために都並監督は苦労したはずだ。先に書いた栗田選手はその役割を期待されて順天堂大学から入団したものの抱えていた故障の影響で出場時間が少なかった。JFLのリーグ後半で好調さを取り戻し2位への扉を開けたことはある意味その存在価値を示してくれた。

驚いたのはリーグ中盤の5月に正GKの谷口裕介がヴァンラーレ八戸に移籍をしたことだ。GKに故障が相次いだ八戸はGKが4名登録されていた浦安に「相談」をしてきた。クラブとしてはJリーグに選手を送り込むことは後押ししたい。ただずっと試合に出ていた守護神を移籍させることにはもちろん躊躇いがあった。しかし本人の意向は「チャレンジしたい」だった。クラブは彼に舞い込んだチャンスを活かす選択をした。その後谷口裕介はJ3で試合に出続け活躍することになった。先のSC相模原に移籍した加藤との対戦カードは7月1日に実現した。両者ともどもスターティングメンバー入りをしていた。
いずれこんなことが当たり前になると確信した瞬間だ。ブリオベッカ浦安は育成チームであることを忘れない。それは子供達だけでなく、トップ選手も上位のカテゴリーで活躍して欲しい。そのためには今クラブにマイナスがあろうとその選手個人の成長にプライオリティーを置くことはクラブのフィロソフィーでもあるのだ。

Jリーグに昇格した選手たち(2023終了後)

3名の選手が個人昇格を果たした。
最初に声がかかったのは伊川拓だ。2021年に入団。突破力のある選手でプレイスキックの精度も高い。都並の指導で守備力も身につけて右サイドバックやサイドハーフで活躍した。JFLの昇格がかかった全国大会では大活躍振りを見せた。JFLでもその突破力で対戦相手を翻弄した。
上松選手が浦安ー>鳥取ー>浦安というルートを辿ったこともあり、ガイナーレ鳥取からは好意的にチームを見ていただいていたのだろうと推察する。練習参加もなく契約が成立した。

その流れを受けて左サイドバックの小泉もガイナーレ鳥取に移籍することとなった。伊川の話を聞いて本人が意欲を高めてチャンスを捉えたのだ。
小泉も突破力があり、なにより左利きでドリブルに持ち味がある。ディフェンスながら積極的に前に駆け上がり、中盤左の村越との掛け合いでゴールに迫る「魅せる」サッカーができる選手だ。彼も都並の元でディフェンスを磨いて急成長した選手だ。90分間途切れることなく自陣から前線までずっと往復する底知れない体力に私もいつも感心してばかりだった。
小泉は2024年シーズンでこれまでJ3で2試合にスタメン入りをしている。

「今年の個人昇格は2人かな。もう打ち止めにしてもらいたい」とクラブの誰もが思っていた。心の中ではこの選手は声がかかるかもしれない、という選手は数名いたが、そういった動きもなく静かに年が過ぎようとしていた。それに加えて「この選手だけは声がかからないで欲しい」という正直な気持ちもあった。このまま静かに年を越せば来期の体制もなんとかなるだろうと。しかしそうではなかった。DFの中核である西袋裕太にFC今治からオファーがあった。本人は千葉県で仕事をしながらの生活もあり、悩みに悩んだと思うが最終的には今治に行く決心をした。ニュースにもなった。

我々クラブの夢となってみなさんには活躍をしてもらいたい。

新加入(他クラブから)

クラブとしては同じカテゴリーや上のカテゴリーからの補強はあまり積極的には行わないこととなった。もちろん魅力的な選手が見つかれば積極的にアプローチはしたいが、予算の関係が大きな理由だ。
そこで強化としては地域リーグで活躍している選手を中心にスカウティングをすることとなった。
ちなみにこれもJFL2位の結果だと思うが、練習参加の希望が本当にたくさんあった。ある意味、これもJFL2位の衝撃の一つだと思う。加入するしないに関わらず練習参加をいただいた皆様には心からお礼を申し上げる。

まずは同じ関東リーグから。東京23FCから3名の選手が加入してくれた。隣街のチームとしていつもシノギを削ってきた仲間のチーム。一昨年の対戦でも苦しめられたがその選手たちだ。
FWの東駿、ボランチの菊地紘平、左サイドハーフの若杉好輝(通称ジョニー)だ。

同じく関東リーグの東京ユナイテッドFCから山崎広大。彼の右サイドの突破力には驚きを持って見ていた。

BTOP北海道からは岩出拓也選手。彼は以前は関東リーグのジョイフル本田つくばFCに在籍をしておりその時に対戦をしている。

GKはレイジェンド滋賀FCから天野友心選手。先の東選手とは清水エスパルスジュニアユースから大学まで全く一緒だったがお互いに入団するまで知らなかったと驚いていた。

3名のDFの選手がJ3に昇格していったことからDFの選手を探していたら松本山雅FCの志村 滉選手の期限付き移籍の合意をすることが出来た。大卒2年目になるが活躍が楽しみだ。

新加入(新卒)

新卒選手も例年より少しだけ多くなった。(例年はだいたい3名だった)
浦安市内の明海大学からは豊島朱凌(しゅり)選手。
新潟医療福祉大学から松谷昂輝 選手。彼は市立船橋高校サッカー部出身で千葉県出身でもある。
仙台大学からは寺田一貴 選手。彼も千葉県出身で隣街の市川市だ。
東京国際大学からは富永涼大 選手。彼は埼玉県出身。
そして東洋大学から富田英寿 選手。彼については少し書く必要がある。
というのも彼は浦安市生まれなのだ。事務所のある地区の明海FC(ジュニアチーム)出身でU15,U18と柏レイソルに所属していた。生粋の浦安っ子なのだ。先日も6年生の最後のトーナメント戦で集まったジュニアのチームたちに先輩として紹介されていた。

浦安出身の富田選手

全体としてなんとなく感じていただけると思うが、他クラブからは関東、新卒は千葉県出身者が多い。

プレシーズンテストマッチ

さて2月に入り毎週末はプレシーズンのテストマッチを行なっている。
その結果を列挙したい。
0−3 ヴァンラーレ八戸  (2/4)
0−1 中央学院大学  (2/11)
1−1 桐蔭横浜大学  (2/17)
1−2 南葛SC  (2/18)
0−0 ジョイフル本田つくばFC  (2/24)
0−2 立正大学  (2/25)
1−2 南葛SC  (3/2)
2−0 明海大学  (3/3)

見ていただくとわかるがほぼ勝利がない。
ヴァンラーレ八戸以外のチームは開幕が4月以降なのであちらもまだまだ調整中のはずだ。しかし勝てない。
過去に下位のカテゴリーのチームにプレシーズンで勝てなかった年はほぼ良い結果に恵まれなかった。
2023ではあれだけのパフォーマンスを発揮したチームとは違うチームに見える。
監督都並は育て上げたDF3名の抜けたスペースをどう埋めるかに苦心しているように見える。守りを重視するがゆえに都並のディフェンスの約束事がまだ新チームに身についていないのだ。

得点力はどうだろうか?実は一見深刻のように見える。都並監督は「攻撃で遊べ!」とよく声をかける。昨年は(移籍した)小泉と伊川のサイドバックがチャンスとなれば攻撃を仕掛けた。DFが安定するまで攻撃に参加する気持ちの余裕がないように見える。

言葉を変えると、DFが安定することでチームは一気に力を発揮する。その準備段階と理解してもらえれば良いのではないだろうか。
補強したDFの選手は5名だ。しかも2年目の志村以外は新卒。この若い選手たちが高いポテンシャルを持って戦ってくれるに違いない。

攻撃陣は充実している。彼らの競争が一層激しくなることでチーム全体には良い効果が生まれるに違いない。

来週から開幕

この記事を書いているのは3月4日(月)。10日(日)にはJFLが開幕する。
連戦のトレーニングマッチでチームは一つにまとまって来ている様に見える。
運営面でも充実している。昨年からインターンで参加してくれていた副務の鈴木君はJapanサッカーカレッジから来てくれた。もう3ヶ月も仕事をしてくれており、選手の信頼も厚い。
同じく東京スポーツレクレーション専門学校に通いながら半年以上インターンを続けてくれていた小田嶋君。彼も卒業と同時にスタッフとして採用される。すでに広報としてSNSも更新の責任を持っている。ファンクラブを含めた投稿数が昨年と比べて圧倒的に多いのは彼のおかげだ。
育成スタッフとして阿達君がやはりJapanサッカーカレッジから採用された。同期の専門学校卒が3名加わることになる。

南葛と鈴鹿で主務を経験してきた朝田の存在も大きい。これまで石下が孤軍奮闘してきたが、役割分担をしながらお互いにバックアップもできる。
朝田はホームタウン責任者としてもすでに力を発揮し始めている。

J3昇格条件が厳しくなった


J3の昇格条件が以前に増して厳しくなったことはご存じだろうか?
昨年は入場2000人の努力目標で良かったが、今年から平均2000人以上、さらに驚いたことに入場料収入が1000万円以上という条件がついた。無料チケットを配りまくって入場者を増やすやり方は通用しないのだ。
我々のチームはまだライセンス取得ができないが、すでにライセンスを取得しているJFLのチームは頭を悩ませているに違いない。

我々も手をこまねいている場合ではない。
JFL昇格初年度は運営だけで手一杯だったが、入場者を増やすための様々な施策を考えながら準備を始めている。

是非とも公式戦に足を運んでいたいだき、1年を通しての選手たちの成長を楽しんでいただきたい。
開幕戦のお知らせはこちら





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