プールで見る水着 << 試着室で見る水着

価値は、機能と文脈の組み合わせで変わる。

たとえば、

プールで見る水着よりも、試着室で見る水着のほうがエロい

というのは私見が入り過ぎてる気もしたので別の例も出すと

家で飲む水よりも、砂漠で飲む水のほうがおいしい(多分)。

そのものが持つ機能は変わっていないのに、それが置かれる文脈で価値が変わっている。つまり、価値は機能だけでは決まらず、機能と文脈の組み合わせで決まる。

文脈×機能→価値

すべての商品は機能をもつ。

「その機能はいつ最大の価値を発揮するのか?」を発見して、商品名の肩に適切なことばをのせる。広告企画屋の重要な仕事のひとつだと思う。(これを広告業界ではタグラインと呼んだりする。)

ここでひとつすばらしい事例を。

ブラックサンダーというお菓子がある。安価で、コンビニにいけばいつだって手に入る国民的お菓子。

「どこでも手に入る、かつ、安価」

という機能は、日常においてはありがたい。けれど、バレンタインというプレゼント文脈とはミスマッチだった。そのため、バレンタイン市場からブラックサンダーは無視されつづけていた。

そんな状況を覆した名タグラインがある。

一目で義理とわかるチョコ ブラックサンダー

各社が情緒的な広告を展開するなかで、この自虐的なキャンペーンは大きな話題を生んだ。結果、ブラックサンダーは大きな売上を上げた。

参考記事:「一目で義理とわかるチョコ」。初めての広告が世に出るまで」https://www.advertimes.com/20130909/article124900/

機能を変えずに文脈を変える

このキャンペーンの前後で、ブラックサンダーの持つ機能は変わっていない。消費の文脈を設定してあげることで商品価値が大きくあがった。

機能に対して、さまざまな角度から光を当てる。そのなかで最も美しい影が落ちる角度を発見する。

エジソンの蓄音機も、もともとは「遺族への遺言の録音・再生に」と売ろうとしたがまったく売れず「音楽の録音・再生に」とことばを変えたら飛ぶように売れたという話を聞いたことがある。

以上、

機能に適切な文脈を与えて、価値を最大化させましょう。

という話でした。