葛原健太//クズケン

Tech-Powered Creative Director

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「いい写真」と「”いいね”な写真」

写真をよく撮る。撮った写真は主にInstagramにアップしているのだけれど、常々思う。「いい写真」と「”いいね”な写真」は違う。 SNSを回遊していると「”いいね”を集めるような写真は何も映っていない、もっといい写真が評価されるべき」という声を見かける。 しかし、そもそも「いい写真」とはなんだろう? この問いを考えるにあたって、メディアとコンテンツの関係性がヒントになる。 メディアとコンテンツの関係メディアとコンテンツには、密接な関係がある。 たとえば、テレビでウ

    • クリエイティビティの拡張←この”クリエイティビティ”って何?という話

      広告マーケットが小さくなっていく中で、広告クリエイターが拡張や応用を志していろいろやっているけれど、その前手にあるクリエイティビティそのものの定義が曖昧なように感じることもしばしば。なので、自分なりに考え定義してみます。 結論、3つの力を指すと思います。 1. 前提を疑い、問いを立てる力 2. 立てた問いに、答えを出す力 3. 伝わる形にする、表現力←狭義のクリエイティビティ 具体例。自分が最高にクリエイティブだと思う人の一人に、黒鳥社の若林恵さんがいます。彼の書い

      • 今日、ゆで卵を茹でた。

        今日、ゆで卵を茹でた。 最初にブロッコリーを茹でたあと、その残り湯に卵を入れて弱火で8分。冷たい流水に晒して3分。あけてみると、殻に身がくっついてしまい、ボロボロと崩壊。内側もまだまだ半熟で、とても食べられる状態ではなかった。 そこでやめようとも思ったのだけれど、まだ冷蔵庫には6個卵があった。最近家にいる時間が少なく、消費期限を切らしてしまうことも多かったので、せっかくなら今の機会にもうワントライしてみようと思った。 次は、お湯にいれる前に包丁で少しだけ空気の入る穴をつく

        • 脳の仕組みから考える「なぜ広告はおもしろくなければならないのか」

          注)この記事はChatGPT-4をつかって作成してみたものです 人間の脳は日々膨大な情報を処理していますが、そのすべてが記憶に残るわけではありません。記憶の定着には、注意を引き、感情を刺激する要素が重要です。面白い、または興味深い広告は、人々の注意を引きやすく、感情的な反応を引き起こしやすいため、記憶に残りやすくなります。 脳の記憶システムは大きく分けて「短期記憶」と「長期記憶」があります。短期記憶は一時的な記憶保持に関わり、長期記憶は情報を長期間保持するシステムです。面

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        「いい写真」と「”いいね”な写真」

          AppleScriptでつくる爆速始業/終業報告

          ウヴォーさん、聞こえますか。今回の記事は、最近上長へのメールでの始業/終業報告が必須になったという某大手広告会社の皆様への俺からの鎮魂歌(レクイエム)です。 AppleScriptってやつを使いますが、プログラミング知識不要で、15分あればできると思うので非エンジニアでもぜひやってみてください。 動作の様子設定したメールアドレスに、設定したメッセージを送るスクリプトを実行している様子です。3クリックで報告が終わります。 いちいちメーラー立ち上げて、宛先入れて、タイトルと本

          AppleScriptでつくる爆速始業/終業報告

          Notionのボードビューに締め切りまでの残り日数を表示したい

          はじめにNotionでタスク管理をすることにした。締切のプロパティで日付を設定しても、日付が表示されるだけで、いまいち切迫感がない。 ということで「そのタスクがあと何日で締切を迎えるのか?」を可視化することに。 最終成果物やり方now()と期限の日付を比較して、差分のdaysを取得。 ただし、これだとズレる。たとえば、期限9/5のタスクを9/4に確認すると「あと0日」となってしまう。 調整ということで、絶対値で1日追加して調整することに "締切まで、あと" + for

          Notionのボードビューに締め切りまでの残り日数を表示したい

          マーケティング界に大きな影響を与えた史上の偉人を知らなかった(マーシャル、ヴェブレン、コープランド、ボードリヤール)

          ミシェル・ウエルベックの「プラットフォーム」に、こんな一節があった。 僕は旅行カタログが好きだ。その抽象作業、制限内で可能なかぎりの幸福と適正価格を追求し、世の中から適当な場所を抽き出すその手順が好きだ。とりわけ、期待できる幸福度を星で示すシステムが気に入っている。 僕は幸福ではないが、幸福の価値を認めているし、憧れている。 マーシャル式に考えるなら、旅行購入者は適正と思われる価格で目一杯楽しみたい、ちゃっかりとした個人である。 それとは対照的に、ヴェブレンなら購入プ

          マーケティング界に大きな影響を与えた史上の偉人を知らなかった(マーシャル、ヴェブレン、コープランド、ボードリヤール)

          【広告企画48手】低クオリティ広告

          こんにちは、広告会社で企画をしております葛原健太と申します。5年前から広告企画の事例収集をはじめ「毎日3事例・毎週末に分類」をしてストックしてきた方法論を紹介していきたいと思います。 今回は、自分が広告企画を考えるときに使っている手法のうちのひとつ「低クオリティ広告」についてご紹介します。 ✍️ 広告企画手法:低クオリティ広告企業が出す広告は、クオリティが高い。 わざわざ高いお金を払って媒体を買っているので、当然です。 そんな状況を逆手に取るのが「低クオリティ広告」とい

          【広告企画48手】低クオリティ広告

          プールで見る水着 << 試着室で見る水着

          価値は、機能と文脈の組み合わせで変わる。 たとえば、 プールで見る水着よりも、試着室で見る水着のほうがエロい というのは私見が入り過ぎてる気もしたので別の例も出すと 家で飲む水よりも、砂漠で飲む水のほうがおいしい(多分)。 そのものが持つ機能は変わっていないのに、それが置かれる文脈で価値が変わっている。つまり、価値は機能だけでは決まらず、機能と文脈の組み合わせで決まる。 文脈×機能→価値すべての商品は機能をもつ。 「その機能はいつ最大の価値を発揮するのか?」を発

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          何者にもなれない優しいおっさん

          歳をとるごとに、許せる価値観が増えている。 どんな意見を見ても 「そう考える人もいるかもな」 「その人にはその人なりの考えがあるのだろう」 「過激なことばを使っているけれど、きっと仕方ない事情があったはずだ」 と、ほとんど許容できてしまう。 さまざまな人との出会いや、小説や映画との出会いが、人への想像力や思いやりを育ててしまう。 それはいいことなのだろうか? 許せる価値観が増えるということは、”おっさん”になるということなのでは。 許せる価値観を減らしたい身

          何者にもなれない優しいおっさん

          SNSがもたらした「多様性の時代」の光と影

          人間は、情報で動く。そして情報はメディアを通じて人に届く。つまり、メディアが変われば、世の中は変わる。 2010年頃からスマートフォンとSNSがキャズムを超えて普及し、メディア環境が激変した。そのときに起こった世の中の変化についての考察覚書。 2010以降のメディア環境の激変具体的に、メディアはどう変わったのだろう? マス的なトップダウン型メディアから、 インターネット的なボトムアップ型メディアへと移り変わっていった。 結果、どうなったか? 「多様性の時代」が到来

          SNSがもたらした「多様性の時代」の光と影

          覗きの時代

          ダグ・リカードという写真家・映像アーカイバーがいます。 Googleストリートビューの画像を切り取ってまとめた写真集をつくったひと、といえばピンとくるひとも多いのではないでしょうか。 その彼が「TOM」という写真集を2013年につくってます。そのなかではフェティッシュに切り取られたミニスカートの女性の写真が並びます。一種の盗撮とすら呼べるかもしれません。ダグは1960年代のロサンゼルスの女性を盗撮したヴィンテージの画像を発見し、これを再編集して写真集として仕立てたそうです

          マスメディアの時代から、マスがメディアの時代へ。

          SNSとスマートフォンというふたつのイノベーションにより、メディア環境は一変しました。いまや国民総メディア時代。総務省の調査によると、SNSの利用率は13歳〜69歳の全世代含めて7割以上だそうです。10~30代に限って言えば9割を超え、ほぼ全員がSNSに触れていると言えるでしょう。 消費時間からみても、SNSの勢いは止まりません。すべての年代についてテレビの視聴時間が年々減っていっているのに対して、SNSの利用時間は増加傾向にあります。この傾向は向こう10年以上にわたってす

          マスメディアの時代から、マスがメディアの時代へ。

          デジタル時代の情報流通全体MAP

          先日、これまでTVCMなどのマス・コミュニケーションしかやってこなかったクライアントが初めてデジタル施策をやることになりました。 そこで「デジタル施策の基礎となる部分から資料をつくって説明してくれ」とお願いされてつくった資料のうち、情報流通に関するMAPができたので、ここでもシェアさせてください。 いまの生活者が触れるメディアは多様化してて、すべてに出稿しようと思うと煩雑になってつくるクリエイティブの数も増えすぎる=コストがでかくなりすぎます。体力のある会社は全方位的にや

          デジタル時代の情報流通全体MAP

          NOと言えないのは、強いYESがないから。

          ”NOと言えないのは、強いYESがないからだ。” Tumblrでそんな文章が流れてきました。たしかにそうかも、とハッとしました。光ができれば影が生まれるように、自分のやりたいことが明確になれば、逆にやりたくないことも明確になりますよね。 数年前、一度スプツニ子さんとSkype越しにお話を伺う機会がありました。そのときに「それだけ若くして、MIT副所長というポジションまで到達してる背景にはどういう理由があるとご自身で考えていらっしゃいますか」的な質問をしたのですが、そのとき

          NOと言えないのは、強いYESがないから。

          企画書は弱者のツール

          企画書はなんのためにあるかというと、企画をほかの誰かに伝えるためにあります。なぜほかの誰かに伝えるかというと、その誰かに協力してもらうためです。つまり、ひとりではできないことを、誰かと一緒にやるためのツール。それが企画書です。 そのとき、企画書はどうあるべきかと考えると、ただ企画が伝わるだけ、では不十分であることがわかります。 「これはおもしろいからやりたい!」 「これはやると得をしそう!」 「私がやる意味がある!」 などその企画書を受け取った相手に「やりたい!」と思っ

          企画書は弱者のツール