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ややこしい相手はかわいい

最近、植物をよく枯らしています。

大切にしていないから枯らしてしまうのではなくて、
毎日お水をあげて、日当たりも気にして、大切にしているけど、何かに命を吸い取られているようにみるみる枯れていきます。私は草木を育てる能力がびっくりするくらい低いのです。

枯れた牧草のような香りになったラベンダー
見たことないタイプの綿毛になったガーベラ
シンプルな棒になってしまったオリーブ

でも楽しい。植物と一緒に暮らすのがこんなに楽しいことだなんて知らなくて、あきらめずに新しい苗を植え替えては毎日覗き込んでいます。なんでこんなに楽しいんだろうと考えてみたのですが、それはたぶん「ややこしい」からではないかと思いました。

ややこしさ1.数字で把握できない

「土が乾いたらたっぷりと水をあげましょう」
まずこの時点でややこしい。「この土は湿っているのか乾いているのか?たっぷりって何ミリリットル?」初心者の私には、まずそこからわかりません。首を傾げながら恐る恐る水やりをしているうちに、みるみる植物たちが弱って、花が枯れ、葉がしおれ、牧草になってしまいました。
もしこれが料理レシビなら、「何分火を通してから大さじ1杯ずつ各調味料をいれてね」と具体的な数字を教えてくれるのに。それに比べて、植物の育て方に関する説明ときたら、再現が難しいこと、山の如しです。

ややこしさ2.すぐに結果がでない

「何日後に変化が起きるのか検討がつかない」
これがまたとてもややこしい。色々と判断がつかない中で、自分なりに精一杯調べながら剪定や植え替えをしたあとは「この施策は効いたのか?効かなかったのか?」と、とにかく結果が気になって仕方ありません。でも全然変わってない、なにも変わってない、根が伸びたのかもわからないし、芽も出てない。「生き物なんだからそんなにすぐに変化するわけないよ」と夫は諭してくれますが、確かめたくて確かめたくて仕方ない私は、トトロに登場するメイのように、毎日じっと鉢を観察してしまいます。

ややこしさ3.努力が無になる

「ある日突然、さっきまで咲いていた花が消えている」
大事にしている植物たち、どんなに私が頑張って世話していても、虫・猫・子どもからの攻撃はいつも突然です。ある昼下がり、可憐に咲いていた小さな水色の花が、飼い猫ハナちゃんに食べられたときはショックすぎて叫びました。だってカリカリと全然味違いそうじゃん…!完全にノーマーク!私が守ってあげないとすぐにやられてしまう…そんな気持ちから、より一層真剣に植物たちに目配りするようになりました。

ややこしさ=嬰児しさ

調べてみると、ややしこしいとは “嬰児(ややこ)しい” つまり「赤ん坊のように、他人が統御することができないの意」だそうです。なるほど、だからこんなに植物たちのことが愛しいのかと納得しました。

子どもはひとりひとり個性が違うから「正しい数字」なんて存在しなくて、常に観察しながら相手にあわせて対応してあげる必要があるし、自分がしてきたことが正しかったのかを確かめるための効果測定もできない。危険から身を守ってあげなくてはいけないし、想定外のトラブルもある。でも、かわいい、ややこしくて面白くてかわいい存在です。

考え抜いて、心を砕いて、手をかけて育てているから、どんどん大切な存在になっていく、植物も同じだったんだなと気付きました。(枯らすけど)

ややこしさを知ると皆かわいい

そんなややこしい思いをして植物を育てて(枯らして?)いるせいか、近頃は散歩のたびに、よそのお家の花や木を目で追いかけてしまうようになりました。どの子もかわいく思うようになり、歩く楽しみが増えました。
道端でお日さまをあびて、乾いた土でも元気にやっている植物たちを眺めていると「あ、無理に私があれこれしなくていいのかも」と思えたりします。そうしてしばらく何もせず放っておいてみた鉢にふと目をやると、この間まで「もう終わりだ…」みたいな顔をしていた枝から新芽が伸びているのを見つけたりして、とてつもない愛しさが爆発します。

前に、Nanami Tohseと「何か課題があるとすぐ解決したがって施策を打ったり効果測定したりするの、PM職業病だよね」と笑いあったのを思い出して、なんとなく書いてみました。

なにもせず待つこと

よく観察して感じ取ること

そういうのも大事だったな〜と思い出しながら、今日も手探りで(若干首をかしげつつ)水やりをしています。


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